あるピアニストの一生

2002/5/6(休) ピアノ・フルート発表会 @草津アミカホール 13:00開演

<第1部>

1.おほしさま(外国曲)、茶色のこびん(アメリカ民謡)
2.家路(ドヴォルザーク)
3.カッコウワルツ(ヨナソン)
4(fl).春の日の花と輝く(イギリス民謡)
5(fl).「冬」よりラルゴ(ヴィヴァルディ)
6(fl).ユモレスク(ドヴォルザーク)
7.踊る人形(ポルディーニ)
8.「セヴィリアの理髪師」序曲(ロッシーニ)
9.チューリップのラインダンス(平吉毅州)
10.ジャズ風「パスピエ」(ドビュッシー=稲森康利)
11.コッペリアのワルツ(ドリーブ)
12.オリエンタル(グラナドス)
13(fl).青春の輝き(カーペンターズ)
14(fl).ヘカド(フェヘイラ)
15(fl).二人でお茶を(ユーマンス)
16.アルプスの夕映え(エステン)
17.キラキラ星の主題による変奏曲(モーツァルト)

<第2部>

✩フルートアンサンブル 
 サウンド・オブ・ミュージック(ロジャース)、オリジナル・ラグズ(ジョブリン)

1.ティンサグヌハナ(沖縄民謡)、十人のインデアン(アメリカ民謡)
2.未完成交響曲より(シューベルト)
3.ハンガリア舞曲 No.5(ブラームス)
4.ハンガリア舞曲 No.1(ブラームス)
5.スラブ舞曲 Op.72-2,46-1(ドヴォルザーク)

☆フルートクァルテット 四重奏曲(デュポワ)

講師(fl).Recollection(田所理央)

<第3部>

1.ノクターンNo.2(ショパン)
2.ソナタK.332 3楽章
3(fl).春の海(宮城道雄)
4(fl).コンチェルト D 1楽章(ボッケリーニ)
5.ソナタK.331 1,3楽章
6.アストゥリアス(アルベニス)
7.ロンド・ブリランテ(ウェーバー)
8.ソナタ「月光」1,3楽章(ベートーヴェン)
9(fl).ソナタ(プーランク)
10.バラード No.2(リスト)
11.ソナチネ 1,3楽章(ラヴェル)
12.バラード No.1(ショパン)

田所政人 ハンガリア狂詩曲 No.12(リスト)

生徒数 pf 23人(昨年-3+3)、fl 11人

 2部は連弾である。ここ数年連弾特集をやっていた冬の音楽会がなくなったので、夏のほうに組み込むことにしたのであろう。
 99年の冬にコンクール入選の話で少し触れさせていただいた、今まで4,5年にわたってずっとトリを務めてきた相当の実力者であるAさんが、この年のバラ1をもって卒業した。本来なら、よく頑張りました、大学に行ってもぜひ努力を続けてくださいと、お互い家族ぐるみで拍手喝采の見送りとなってもいいところである。しかしそうはならなかった。
 彼はある音大というか芸大のピアノ科を受けたのである。もちろん父の受験指導のもとに。そして失敗してしまった。それだけではない。浪人して、なんと来年はもう普通の大学を受験します、ピアノの道を志すのはもうやめますという話だったのである。おそらく父は強く引き止めなかったであろう、その子の人生を決定的に左右するような場面で他人が口出しをするというのは、父にとってはルール違反であった。
 国際コンクールで入選するくらいの才能を、遂に拓いてやることができなったという落胆は大きかったに違いない。責任感が強くプライドも高い父であったから、絶対に受からせてやると思っていただろうし、事実その仕上がりには自信を持っていたというか、合格を確信しているような様子であった。1校目が不合格と聞いたときも、滑り止めの2つ目は絶対受かってるから、と慰めではなく本心からそう言っていた。大袈裟に言えば、自分が音大出身でないことに負い目を感じていた分、生徒を音大に進ませることに自分の欠如の補完を託していたようなところが、心の奥底に少しだけあったのかもしれない。2校目の不合格の電話がかかってきたときの一瞬の表情の陰りと、振り絞るように言った「それはどうもお役に立てませんで、申し訳ない」の言葉に、父の落胆と自責の深さが込められていた。
 今から思えば、息子として何かかけるべき言葉、伝えるべき温かさがあったのではないかと思う、しかし父のこの落胆を自分事として背負ってしまうと、この負の感情に共感共鳴してしまうと、自分の心のほうも相当痛い思いをするであろうという本能的な直感が、「反抗期だから」という歪んだ言い訳となって、私を父の心に近づかせなかった。その贖罪であろうか、今こんなサイトをまとめることに躍起になっている自分がいる。

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