あるピアニストの一生

ピアノ教材研究

はじめに

 楽器店に行くと・・山ほどもあるピアノ教材・・いったいどれを選べばいいのか、お困りになったことはございませんか。 拙宅から一番近い楽器店には、ピアノ教本、ピアノ曲集、併用曲集、大人向きの曲集、ポピュラー曲集、ヒット曲まで含めますとおそらく(数えたことはないが)2000から3000冊くらいのピアノ関係の楽譜があります。

 世に様々な評論があります。文芸評論から映画評論、最近ではゲーム評論まで。音楽関係では演奏会の評はしばしば目にします。しかしピアノ教材の評は(特に辛口のものは)あまりお目にかかったことがない。理由はおそらく、この世界があまりに狭いため、下手に批評をすると自分の身にろくでもないことが跳ね返ってくる・・まあ、他にもあるでしょうが。

 ピアノ教師歴30年、50の坂を越え、今更少々誰かに睨まれたところで痛くもかゆくもないし・・ということで私がピアノ教材の評論をやってみることにしました。

 25,6歳の頃、当時発行されていた教材のおそらく半ば以上を調べました。600冊くらいでしょうか。現在発行されているピアノ楽譜は10000冊を越えているようです。当時ほどの馬力はないが、そのころよりは経験を積んだ分、ましなことが言えそうです。

 ということで、このページは(ベテランの)ピアノ教師による(若い)ピアノ教師のためのページです。

○基本方針

1.ピアノ併用曲集の評をメインに行う。評の定まっているもの(ベートーヴェンのソナタとかショパンのエチュードとか)については、原則として扱わない。

 というのが最初の方針でしたが、評価はともかく難易度は皆様に有益であると考えられますし、必修教材の国内版の版による異同も興味深いことですので、クラシック関係についてはあらゆるものを対象に変更いたしました。その際、評価につきましては、己の主観のみならず演奏会での取り上げられ方やCDの枚数なども考慮に入れることとします。(2003:4月)

 ポピュラー系統については、スタンダードナンバーのみ対象とする。(つまり10年先に生き残っているかどうか分からないような曲は対象外ということ。)

2.子どもの視点に立って行う。具体的にいえば、

 A.教材としての作品の評価に、芸術性と並んで、子どもが喜ぶかどうかというのが大きなウエイトを占める。(とりわけ初心者用の場合)

 B.指使いはプロのピアニストの視点と、プロのピアノ教師の視点とでは微妙に異なる。そのレベルの平均的な(手の大きさを含めて)子供に最もふさわしいと思われる観点から考察する。

○註             

 難易度 1~28

 教材評価 A 名曲、名編曲、おすすめ教材。

      B 佳曲、準おすすめ教材。

      C 使おうと思えば使えるかな。

      D すすめません。

      E やめた方がいい。

  2004:11月より☆推薦表示に一部切り替えます。★特選・・これは全くの個人的趣味です。

 総合評価 A ピアノ教師必携。

      B 有益な本です。

      C 持っていて損にはならない。 

      D 暇とがあれば・・・ 

      E ちょっとひどいんじゃないかい。

○蛇足

 日本人は議論が苦手である。議論=喧嘩と思ってしまうのだ。だから議論に負けると相手の理屈が正しいと認めるのではなく「あのやろう」と恨みを抱くことになる。

 私のこの評にしろ「あのやろう」と恨みを抱かれかねない部分がある。他人様の仕事を勝にランク付けするのだから。しかしすべての曲集がAとかBとかの評がつくのならそもそもこんなページは無用である。そして経験を積んだピアノ教師なら、世に溢れている教材のうち相当数ろくでもないものがあることは知っているはずである。だから誰かが言わねばならない。そしてみんなが声を出すことでろくでもない教材が淘汰されていくことを願う。

 楽譜を公に出版するということは、当然その中身に対しての責任を伴うものである。私のこのページがその責任を広く自覚せしめる契機となればこんな嬉しいことはない。 

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