あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ブルグミュラー25の練習曲 徹底比較

 予告しておりましたようにブルグミュラーの徹底比較を行います。淋しいことに会員の皆様からの一覧表はございませんでした。締め切りはございませんので、気が向けばいつでもお知らせ下さい。さて比較検討する版は全音版(校訂、北村智恵)、音友版、カワイ版(校訂、井内澄子)、ウイーン原典版(校訂、種田直之)、2台用のシンコー版(アルフレッド・バトラー)

 ウイーン原典版の解説によれば、自筆は不明で、初版が残されているだけとのことである。その解説にもあるがスラーの用法が当時変化しつつあり、気を付けなければならない。

 初版のスラーは弦楽器の用法を模したもので、ことごとく短い。他の版は現在のピアノにふさわしいように修正している。このことについては特に気をつけるべき箇所以外いちいち記さない。 音友は新版で初版のスラーに戻した。

 バトラー(シンコー版)は、スラーは混乱の原因となるとしてほとんどすべてのスラーを消し、代わりに所々にカンマを入れている(クロイツァー版のショパンと同様)。

 なお初版のテンポ指示は、誰もが指摘することであるが速すぎる。音友版を除いて修正したテンポが参考にと記されている。 (修正したテンポ~初版のテンポ) としてある場合もあるが初版に一応の敬意を払ったに過ぎないと思われる、修正したテンポのみをコメントの終わりに記す。

 他にも子供用に譜面を大きくしたものなどが各社から出ているが、中身が明らかに異なるものは私は知らない。もし出ていたら検討の対象にしますので、お知らせ下さい。

 省略記号は友(音友版)、全(全音版)、カ(カワイ版)、ウ(ウイーン原典版)、シ(シンコー版)。音友は2006年に新版を出した、 旧版をお持ちの先生は多数いらっしゃるでしょうが、生徒はもはや入手不可能なため、旧版については原則として消去します。

番号 曲名1 曲名2 曲名3 難易度 評価
 1 すなおな心(全、カ、ウ) 正直(シ) 素直(友)   6  A
 2 アラベスク からくさもよう(シ)     6  A
 3 牧歌(友、ウ) パストラル(全、カ) 牧場のうた(シ)   6  A
 4 小さな集会(友) 小さなつどい(全) 子どものパーティ(カ、シ)   7  B
 5 無邪気 むじゃき(カ)     6  A
 6 進歩(全、ウ、シ) 前進(友、カ)     7  A
 7 清い流れ(シ) 清い小川(ウ) 清らかな小川(全)   7  A
 8 優美(ウ、カ) 優しく美しく(全) 優雅な人(友)   7  A
 9 狩(全、友、ウ) 狩り(カ) 狩のうた(シ)   8  A
10 やさしい花       7  A
11 せきれい       8  B
12 別れ(全、ウ、カ) さようなら(シ) お別れ(友)   9  A
13 なぐさめ コンソレーション(全)     9  B
14 スティリエンヌ(友) シュタイヤー舞曲(全) シュタイヤーの踊り(ウ)   9  A
15 バラード ふしぎなおはなし(シ)     8  A
16 小さな嘆き(シ) ひそかな嘆き(ウ) ちょっとした悲しみ(全)   8  A
17 おしゃべり(ウ、シ) おしゃべりさん(全) おしゃべりな人(カ)   9  B
18 不安(カ) 気がかり(全、ウ) 心配(友、シ)   8  A
19 アヴェ・マリア(友、全、ウ) アベ マリア(カ) アヴェマリア(シ)   9  A
20 タランテラ       9  A
21 天使の合唱(全、シ) 天使の音楽(ウ) 天使たちの合唱(友)   9  A
22 舟歌 バルカロール(全)     9  A
23 再会(全、ウ) 帰郷(友) たのしい帰り道(シ)  10  B
24 つばめ つばめのちゅうがえり(シ)    10  B
25 乗馬(全、ウ) 貴婦人の乗馬(シ) お嬢様の乗馬(カ)  10  A

1.9小節目、初版はp、カワイはmfに修正してある(11でpにしている)。これはどうでしょうね、作者の意図を尊重するか(非常にしずかなひっそりとささやくような曲になります)、強弱の対比という練習をさせるという修正を施すか、難問。音友は、2番かっこ頭にcrescを付け加えている。

 ウイーン、バトラー、音友は10、12小節3~4拍目の左の指、1212(他は1312)。カワイは6小節左を531から532の指換え、不要と思う。1番かっこ左手、バトラーは3121。 

 カワイは12小節左最後3で次が5。2番かっこ左53.

 全音は細かいペダルを多用している、この段階では無用と思う。カワイも最後の2小節にある。

 バトラーは冒頭dolceではなくlegato。松葉のdimが7ではなく8小節目にある。9はmf、10に松葉のcrescがあり、11がp、12に同じくcresc、13はmf、15後半に松葉のdimで、2ばんかっこにp、次にfがあり、mfはなく、p以下は同様。

 テンポ。全、音友は126~138、ウ138、カ138、シ132。私はもっと遅くて良いと思う。まだまだ全て初版の速さにとらわれすぎている。

 13小節目の右手の2声に注意。そこだけ難しい。

2.子どもの心に強烈な印象を与える名曲。ブルグミュラーを使わない先生でもこれはやらせてあげたい。

 ウイーンは17小節目左、頭に1。23小節最初の右が2、(ということは7小節の右は3になっているが、他の版とは異なり334のつもりであろう)

 カワイは17小節左3453、一理はある。

 全音は8,10,24の2拍目、10の二番かっこ、最後ずっと、11,27,29の1拍目、14のお終いから15にかけてペダル記号。カワイは上記の内、8,10,24,10の二番かっこ、最後にある。

 ウイーンは最初の2小節以外左の和音にスタカートがない。バトラーはnon legatoの指示、他の版はスタカートを補充。

 バトラーは11をmfにし、13をf、18はrall、19にa tempo(19のデュナーミクが不明)、28にmfで30のfは同じ。risolutoの指示がなく、しかしその小節の指は右が32131,左が12313(つまりrisoluteを意識してる)。最後のsfもない。

 テンポ。全126、友126~132、ウ132、カ152(初版のまま)、シ126~138。

 16分音符の4の指を意識させて。

3.この曲はウイーンと他の版の間にスラーの解釈に大きな相違がある。9小節目左、ウイーン以外は3拍目からスラーになっているが、ウイーンを見ると4~6拍目の短いスラー、ということは3拍目と4拍目の間をつなげない解釈が当然あり得る(むしろそれが自然か)。11小節からの右、ウイーンは各小節ごとのスラー、他の版で12,14でスラーを離しているが、少なくともこれは作曲者の意図には背く、23,24も同様。 音友新版もウイーンに同じ。

 15、16小節の2~3拍目、カワイはポルタメントを付けている(普通に弾けばそうなる)。18小節の6拍目、カワイにはスタカートがある、不要だろう。

 全音、カワイは左の和音に合わせてペダルを付けている。この段階では無用と思う。

 15小節左、カワイは323,音友、全音、ウイーン、バトラーは2○○(おそらく222)、16小節右、カワイは3434,音友は1333,全音、ウイーンは13○○,バトラーは34○○、 17小節右は、カワイが123542、音友、全音、ウイーンが21○4○1、バトラーは○○○○○1(どうしてこうなるのかはわかりにくい、最も考えられるのは前の小節から343321,212431)、18小節が音友、カワイは1254、全音、ウイーンが2143、19の頭、音友、カワイは3,全音、ウイーンは2。26の装飾音、ウイーンは5にしている(他は4)。

 カワイは22小節左531。24小節右最後35。

 バトラーはAndatinoをAndanteにしているが、用語の註にはAndantinoが載っている、訳者との意志疎通不足? バトラーは4小節右頭にテヌート、9小節のcrescは松葉で10小節に松葉のdimがある。

 11、13小節右手5拍目、バトラーは3。18小節4拍目でバトラーはカンマを入れている、ここは他の版は全て4~5拍にスラーだが、音楽として頷けないことはない。25小節にバトラーはmf。26後半にppでuna corda、最後はppp。

 装飾音について、北村さんは近代奏法。種田さんもそうだが生徒が古典奏法で弾いてきたら、直すほどのことはないと書いてある。ついでに記しておくと、すぐ近代奏法が弾けるというのは、ある程度リズム感が良いということの証左でもある。

 テンポ。友60~66、全56、ウ56、カ66(初版のまま)、シ63。

4.訳がバラバラで表に入りきらない、ウイーンの表題は「小さな集まり」、その昔は「子どもの集会」という訳だったはず。「子どものパーティ」が一番解りやすい訳だとは思うが、少し意味が変わる気はする。要するに子どもが何人か集まっている、ということ、室内とは限らない(冒頭の応答などは戸外を思わせる)。

 左手が呼び声、右手は子どもが遠くから駆けてくる、それが繰り返され、連中が集まったところで、さあ何をしよう、決めた(fの部分)、という感じかな。

 種田さんの解説が言い尽くしているが、右手の6度、初版(ウイーン)には最初51とあるだけで後は一切何もない、つまりこの段階では各版に後に付け加えられたスラー、あるいは52やら41やらの指は不可能であることをブルグミュラー自身が承知していたからであると思われる。 当然ここは全て51で、ノンレガートになる(バトラーがそうしているようである。カワイは指使いだけそうしている)。

 19,20の右手2分音符上のアクセント、ウイーン、音友にはない。20,21左の頭、カワイは3、音友、全音、ウイーンは1。

 冒頭の右手3度下降、カワイ、シンコーは全て42でも良いとしている、良いと思う、なおシンコーはスタカ-トではなくノンレガートにしている。

 バトラーは5のfをmfに変えている。11もmfにしてpはない。14後半に松葉のdim。中間部はデュナーミクが一切ない。

 バトラーは7、11小節2拍目と4拍目の終わりにカンマを置いている、全音、カワイとは対立する解釈である、(初版のスラーからはどちらもありうる)。

 テンポ。友126~132、全120~126、ウ152(初版のまま)、カ152、シ80~120。これは大きく解釈が分かれている。

5.珍しく訳が一致している。「むじゃき」はちょっと・・

 全音のペダルは使うとすれば適切。

 最後の左、ウイーンと音友以外はFC、おそらくCが後の補充であろう。

 各版の間にほとんど相違がない。

 カワイは4小節左最後542で次を541。14小節右1拍目裏を5(賛成できない)。最後の左51。

 バトラーは5小節目右手頭を4にしている。

 4~5小節目左のC-Cis-Dのラインを大切に。最初の繰り返しは付ける。9~12のcrescを効果的に、13からは解放されたかのように、のびのびと輝く音で。

 テンポ 友100~104、全100、ウ100、カ112(初版のまま)、シ92。

6.この曲から一段難しくなったという感がする。

 冒頭2小節、ウイーン、音友では2拍ごとにスラーがある、バトラーには何もないが第2ピアノからは、ウイーンのフレージングに従っていることが推測できる、他の2つの版は3拍目の頭で切れる。指使いもそれにあわせて3拍目のHが、 ウイーンは2,バトラーは3、他は1。2小節目後半、ウイーンは5○○3で、次が1になる。バトラーは記載無し、他は5で切って2○○、次が2。5~6小節も同様。

 伝統的な弾き方もそれなりに音楽としてもう市民権を得ているが、ブルグミュラーの頭にあった音楽とは異なっているようである。

 4小節目左、ウイーン、音友は21414151,カワイは31515151,全音は21425141.ここは全音が勝るか。

 9小節右、ウイーン、音友は2424141,カワイは3535251、全音は2424251(バトラーは記載無し)。

 10小節左、ウイーン、音友は2141415、カワイは2151315、全音は2152315。(バトラーは2○○12○○、これは首をひねる)、これもどちらでも良い。

 13小節3拍目右、ウイーン、音友は3,他は2。15小節左、ウイーン、音友は2432で次が1、他は2431で次が2(バトラーは記載無し)。

 カワイは2小節左最後3.16小節左右とも2323。

 種田さんは2小節目のcrescは4小節頭までと解している、どんなものか。 

 バトラーは最初のpの直後に松葉のcresc、2小節めのcrescはなく、3小節目にmf。5小節目がmfですぐ松葉のcrescがあり、6小節目後半にf。

 テンポ 友,全120~126、ウ120、カ132(初版のまま)、シ92~132。

7.全部訳が違う。澄み切った流れ(友)は意訳というか超訳気味か。静かな小川の流れ(カ)は意訳しすぎだろう。

 ペダルの入門曲としても使える。前半だけ使うのが良い。全音の通り(後半は入門には適さない)。

 ウイーンの註にあるが、初版では4小節2~4拍目、右手頭の音に4分音符を示す符尾はない。これはつまりメロディーは1拍目のHまでということである。そう弾くべきである。

 カワイは中間部右メロディー最初5○4、10小節終わりから右メロディー3455454、以下同様に6度以上は5にしている。よほど手が小さいのならともかく、黒鍵なのでやや首をひねる。

 バトラーは3小節目右手2拍目○4○としている。7小節目にmfで8小節目に松葉のdim。9~10小節の右手メロディに4分音符を示す符尾を付けている(11以降同様ということなのかどうかは解らない)。11小節に松葉のcresc、12小節目に同じくdim。11小節左4拍目4。

 中間部最も大切なのは左、次が右手の上、右手の下が最も弱い。

 テンポ 友132~144、全132~138、ウ138、カ160、シ108~160。

8.シンコー版の「きれいなやさしさ」という日本語の意味、私には解らない。音友の「優雅な人」もいくらなんでも、勝手に「人」を付け加えていいんかいと思う。

 全音の最終小節のペダルはもっと細かく踏み変えないと濁る(ペダル自体が無用と思う)。

 12小節、ウイーン、音友にはfはない、13小節のmfもない、15小節にcrescがある。16小節右手のスタカート、テヌートいずれもない。

 カワイは6小節左32.

 バトラーは11、15小節各拍頭にアクセント、12小節のf、13小節のmfはない。

 全、カ、には速度とペダル以外の違いはない。

 ターンを一息でなめらかに弾くことがすなわち「優美」となる。調性感覚の鋭敏な子なら、中間部のハ長調では、調性自体によって優美さが減ることまで気づかせるといい(ハ長調とは割とがさつな調性です)。

 テンポ 友、全80~88、ウ88、カ100(初版と同じ)、シ8分音符の100~116、つまり50~58。さすがにシンコーは遅すぎる(あまり「優美」にならない)が初心者には全音の80でもしんどいだろう。

9.ウイーン、音友は出だしの左の和音のスタカートがくさび型、終わりの同型も。

カワイは52小節にf、53小節にmf、54小節にp。全音、音友、ウイーンは53にperdendosiがあるだけ。バトラーは52にmf、53にdim、54にp。

 最初の左のメロディー、ウイーン、音友は51,51,21,31,51,21,全音とカワイは少し修正しているが、ここは初版どおりが良い。

 ウイーン、音友の右手の指は521、他は512、難しさは似たようなもの、ブルグミュラーの意図どおりにするか、現在の一般的な指にするか、これは迷うところ。

 dolenteの部分3~4小節目の松葉はウイーン、シンコー、音友にはない。バトラーは5小節目のcrescの後、7~8小節目にdim。

 52小節6拍目からの指、ウイーン、音友は31で次が51、小さい子にはこれが良い。

 カワイは32小節右31。48以下の右手は511。

 バトラーは2小節目に松葉のcrescで、3小節目にdim。8小節のdimと9小節のpはない、12に松葉のdim(2度目は他と同じで3度目はまたこの通り)。

 出だしはよく言われるがホルンの響き。

 ABACAで成り立っているが、Bは追われている動物たちの必死な気分,Cは捕まった動物の悲しみ、ということであろう。

 テンポ 友108~116 全96~108 カ104 ウ108 シ104~120 ほぼ一致してます。

10.二音にスラーのかかっているアーティキュレーションが多用されている。全音の解説で二音目にスタカートの付いているものと付いていないものとは区別して弾けとあるが、 旧版の音友の解説では、区別の必要はないとあった。

 私見では、一般論としては音友に書いてあるとおり、両者はほぼ同じ意味であると思う。よく生徒は間違えてくるのだが、たとえば16分や8分の細かい音符の連続で初めの二つにスラーがあり、三つ目からスタカートになっているとき、スラーの終わりの音、つまり2音目からスタカートで弾くのが正しい。

 しかしこの曲の場合はおそらく例外に属する。つまり記号論の大原則に「異なる記号は異なる意味を示す」というものがある。同一曲で異なる記号が記されている場合、単なる省略と考えられる場合を除いて、この原則が生きる、すなわち異なる意味であると考えるべきであろう。そしてこの曲の場合、単なる省略であると考えることは出来ない。従って全音版の言うとおり微妙に異なった演奏をブルグミュラーは要求していると考えるべきであろう。

 中間部の頭に音友はin tempo、他の版にはないがこれは初版の書き忘れと見るべきであろう。

 カワイは前半の最終音Fisを左で取るように指示、一案ではある(最後も)。

 ウイーン、音友は13小節の右手も2音ずつのスラー、ここはそうしてみても面白い(14からは長いスラーが良い)。

 カワイは最初の右13231313.3小節目右15533153、左31。5小節左最初32。13小節左3拍目31。 

 バトラーは出だしの右を24。2小節目にcresc。3小節目右を154○。6小節後半に松葉のcrescがあって8にdimがある。中間部の左手、最初423○2、次は4○3○1。16小節のポルタメントが後半4音にかかっている。

 テンポ 全116~120 友120~128 カ152(初版のまま) ウ120 シ80~152(許容範囲が広いね、バトラーは)

11.この曲は少なくとも最初の繰り返しは付けるべき。

 速さによって大分難易度は変わる。

 13小節左、カワイは52,51で次が53。17左に、531。どちらも良いんじゃないかな。

 音友は2番かっこ以降の小節数を間違えている。

 ウイーン、音友は23,25の右スラーは次につながっていない(バトラーも)、指は52、カワイはスラーはつながっているが指は51。ここはスラーをつなげずに51という手があると思う。

 ウイーン、音友は7,8,10,12右手同音を同じ指で弾かしている。10,12はそれでもいいと思う(122です)が7,8は賛同しがたい。当時の鍵盤は今よりはるかに軽かったことを考慮すると ここを初版通りに弾かせる理由はない。ウイーンは原典版だからある意味やむを得ないが。23,25の左も122,ここもそれでいいかも。

 私は3小節目右指41,41次が31、521が良いと思う。

 バトラーは3小節目をmfにし4小節目から松葉のdim。12小節右2拍目を32、これは一案(次が541、321でしょう)。21のfがない。2番かっこから4小節続けて頭にアクセント。26小節がcresc+accelで27小節後半にf。

 評価Bにはしましたが、結構子どもは気に入ることが多い。小鳥のイメージにぴったりの曲だからでしょう。

テンポ 全120~126 友120~128 カ126 ウ126 シ112~138

12.その昔「さようなら」の方が一般的な訳名だったと思う、「別れ」の方が良い、「さようなら」では「先生さようなら、皆さんさようなら」の「さようなら」のことかと思ってしまう。

 カワイは3連符の最初を3○2としている(後必然的に変わる)、意外に弾きやすくならない。7小節目の右は各拍頭2拍目から554だがこれは531,421の運びを要求している、ピアニスティックなのだが結構間違えてくる、カワイは543としている、これだと間違えるおそれはない。14小節目の右手2拍目からはさすがにカワイの321は採用しがたい。

 中間部のフレーズはウイーンでは19,24小節が2音ずつ、他は1小節ずつのスラー。他版のフレーズは大分恣意的なものであることが解る。2小節スラーにして次は2音、6音(2音4音)、後半は4小節の長いスラーで良いと思う。

 バトラーはIntroをAndanteとし3連からAllegro Agitatoとしている(多少そう言う感じはあって良いと思う)。3小節目のsfがない。7小節目に松葉のcrescとdimの両方ある。13小節の松葉はない。16小節に松葉のdim。17小節は右手にmf、左手にp。21小節にpp。23小節にdim。29小節にpp。34,35のsfはない。38にmp。39に松葉のcresc、最後の二音、スタカートもアクセントもない。

 テンポ 全120~126 友126~130 カ184(初版のまま) ウ126 シ イントロが80,主部が132。

13.評価Bにはしましたが、保持音、指の独立のためには非常に良い教材。

 ウイーンと音友は繰り返し記号を使って記譜している、当然繰り返しはつける。

 カワイは左手3小節目を52,次を51次を542と工夫している。

 この曲を使うのなら右手のメロディの保持音を厳密にレガートに弾かせること。そのためには20小節右手メロディの指、全、友、ウは2221、これはレガート不可能、カワイは1211,工夫は感じられるがやはりレガート不可能、ここは当然2121でなければならない。

 6小節目、ウイーン、音友はdimではなくsmorzando。

 バトラーは6小節目右、○121。後半(左手との2重唱になったところ)pではなくmf。後半3小節目にcresc、4小節目にdim、7小節目に松葉のcrescとdim。最後から3,4小節目松葉のcrescとdim。

 テンポ 全132~138 友134~138 カ152(初版のまま) ウ138 シ120~152

14.シュタイヤ地方の踊り(カ)、シシリアのワルツ(シ)とことごとく訳が違う。シンコー版は誤訳と言える。

 全音、ウイーンの解説にあるが、装飾音は拍の頭に合わせる、これは民族音楽の伝統によるもので、装飾音そのものがアクセントになっている。

 初版では36小節に2番かっこがあり、それが2分音符+四分休符となっていて、D.Cとある。つまり序奏の4小節に戻るということである(他の版なら36の後に序奏の4小節を補うということ)。

 ウイーン、音友は6小節右手522,カワイは511、シンコーは521、全音は512。カワイ、シンコーは35小節全部スラーだが 、音友、全音、ウイーンは2拍目でスラーは終わっている、ここは普通に弾けば切れる箇所で、スラーに泣かされた子どももいるはず。ほとんどスタカートにして良い。

 カワイは2,3小節右手2拍目を5,4小節目を4,それもありか。

 バトラーは1~3小節左手にスタカート。ホ短調の部分でだし、バトラーは212(次がおそらく312321)、一理ある。16小節右323412、この方が自然。20小節右手Esと左手にフェルマータ、少しやりすぎ。

 C durの跳躍の箇所で少しワルツリズムを見せるのも良い。

 テンポ 友158~164 全148~160 ウ160 カ176(初版のまま) シ120~176

15.子どもはまず確実に喜ぶ。

 出だしのスタカートが3小節目で左が入ったとたんなくなってしまう子が多い。最後をアウフタクトにしてしまう子もいる、リズム感が良く譜読みがいい加減な子。

 繰り返しはバランス上付けた方が良い。

 カワイは20小節右手51,左手31、次はどちらも41、23小節はどちらも51。28,30のtenorを右手で取らせている、無用と思う。38小節の右手最後にスタカートを付けている、やりすぎかな。39小節の右手を5、後必然的に変わる。42小節の左を531。56小節右手5。最後の和音右手31,左51。

 ウイーンは8小節右手431だが、これは421の方が良いと思う。

 シンコー版にはmisteriosoがない。3小節目左はmf。8小節sfがないが、その音の後にカンマを入れている。2度目(15小節)はアクセントさえない。24からのアルペジオを1小節ごと右左右と弾かせている。中間部はじめ右手mp、左手p。39小節にmf、44に松葉のdimがあり、45の2音目から他版とは正反対の松葉のcresc。47,48,51,52の松葉のdimなし。最後のユニゾンfから松葉のcrescで4小節目に松葉のdim。最後は1小節ずつ順にp、mf、f、ff。

 最初の左をmisteriosoに弾くためには、お終いの三つくらいでわあっとcrescさせる。そしてsfを強烈に。

 テンポ 友72~76 全68~76、カ104(初版のまま)、ウ72、シ66~96。

16.かわいい嘆き(カ)、ちょっぴり不満(友)とこれも全て訳が異なる。表の3つが良いでしょうね。音友のはさすがに大分ニュアンスが変わると思う。

 出だしの左は効果音、しかしこれでほとんどこの曲が決まる。8音まとめて弾けるかどうか、初心者は2音もしくは4音ずつのかたまりになってしまう。

 14小節3拍目右、カワイ版、シンコー版にテヌート。

 ウイーンは5小節目右1から。13小節目からの右手スラー、ウイーン、音友は2拍ずつ6回、つまり他の版が14小節目のGで離しているのは、作者の意図にはそむく。15小節後半の松葉のcresc,dimもない。

 9,11の右手の指は書いてあるとおりが良い、カワイは変えているが、賛成できない。12小節右6音目から、カワイは234で次が5,これはまあ良い。

 シンコーにはdolenteがない。2小節目後半に松葉のcrescがあり、3小節目はmf、後半に松葉のdim、4小節目、左のメロディにmf、5小節目左Dから4音アクセントが付いている。5小節目後半に松葉のdim。1ばんかっこのpoco ritenがない。9,11小節目右手各拍ごとにアクセント(やりすぎ?)。15小節はdimだけあって、16小節1番かっこ後半右手にmf、2ばんかっこにp。

 テンポ 友90~104 全84~90 カ120 ウ90 シ76~92

17.音友新版は「おしゃべり娘」、これが一番正確な訳らしい。

10小節目、原典は一つのスラー、友、全はそれに従っている。カは最初のCにスタカート。7小節目からの左の和音、ウイーン、音友にはスタカートはない、全版は前半付いてなくて再現から付けてある、これはおかしい。バトラーは初めの6つだけ付けてある、これは以下省略ということだろう。

 中間部右手3度、ウイーン、音友は2,3,4,小節目に1小節のスラー。全版は1,2小節で一つ、3,4各小節一つずつ。ここは何とも言えない。バトラーは2小節終わり、4小節終わりにカンマ。

 カワイは序奏の最後の右を2にしている。

 バトラーは2小節目右を31から5。10小節目のcrescがない(再現にはある)、17,18のdimもない。最後のcrescとfが1小節ずつ早い。

 テンポ 友60~63 全63~66 カ72(初版のまま) ウ63 シ48~72

18.ウイーンと音友の間には速さと題名以外違いはない。

 ウイーンは8小節右手121(カワイも)。2番かっこから後の左のスラーがない(ここは他版のスラー通りで良いだろう)。

 カワイは2小節目後半右231,5小節目15、7小節目最初3。10小節目後半121,23小節目121,次が3、1番かっこ321,2番かっこ121、次が3。25小節121,231、26小節各頭3、27小節121,231、最後二つが1215.

 バトラーは頭の右4。後半に松葉のcrescがあり、次の前半に同じくdimがある。3,4小節も同様。4小節後半1.9小節頭4.mfからすぐ松葉のdimがあり、11小節にp、さらに松葉のdim、12小節にまたp。19小節に松葉のdim。2番かっこ頭からf。最後はスタカートとテヌート両方。

 表題の雰囲気を出すためには、最初の4小節に工夫が必要。バトラーのものが一般的(dimと言うより最初にcrescして次にふっと抜くという感じ)。逆に頭をやや強めにして、2小節終わりまでdim、3~4同様という手もある。

 テンポ 友108~116 全100~108 カ138(初版のまま) ウ106 シ112 

19.前半がペダルの導入に使えないこともない。

 ウイーン、音友には2小節目アウフタクト(18小節も)からのスラーはない。私的には2小節目の終わりでワンフレーズ、3小節目から新しいフレーズと考える方が良いと思う(バトラーがおそらくそうしている)。 13小節冒頭の和音を密やかに美しく、フェルマータの和音も。全音には21小節内声Aにスタカートがある。27~8小節への右手スラーもウイーン、音友にはない。

 ウイーンは5小節目左最初41.9小節目右32、10小節目が31。

 3,7,11小節目辺りの右の指使いは厳守。黒鍵が混じった3度の基本的指使い。20小節の左は○○○○12とあるが、そのためには513212とする(バトラー)、512121でも良いとは思う。

 カワイは6、22小節目左51,17小節右531,同じく左最後3。19小節左4,29からの右3。

 バトラーは出だしの右41.5小節にcrescで7小節にdim。9小節mf、14小節右52.23,24小節冒頭のスタカートがない。23小節にdim。

 バトラーは歌詞を付けている、参考までに記す。

 Ave Maria Gratia Plena 1~4小節

 Ave(Aで2拍) Dominus Tecum(Teで3拍) 5~8

 Ave Maria Gratia Plena 9~12

 Benedictatu Ineribus 13~16

 Ave Maria Gratia Plena 17~20

 Dominus Tecum(Teで2拍) Ave Maria 21~24

 Ora Pronobis Pronobis(noで2拍) Amen(Aで3拍) 25~30

 テンポ 友80~84 全76~84 カ100(初版のまま) ウ84 シ84~100

20.音友、全音、ウイーンは8,12,24,28、小節その他の右手アウフタクトにスタカートがない。

 カワイは出だしの指を234,234(左は432、432)、3、10小節目も。8、12小節アウフタクトを2(次は3),20小節アウフタクトから32,30小節アウフタクトから12。56小節、2ばんかっこと58小節後半234。

 バトラーは出だしのsfの代わりに普通のアクセント。10小節に松葉のcresc、11小節にdim。23~24小節にpoco rit。36,44、57,59小節もsfの代わりにアクセント。49小節に piu mosso(出きるなら面白い)。

 最後は各版dimin.e poco ritenだがバトラーだけはcresc.e accel。crescはともかくritよりはaccelの方がタランテラとしては正統的ではある。

 中間部の装飾音は必ず前に出すこと。

 テンポ 友132~138 全126~132 カ144 ウ132 シ144~160

21.他に「天使たちの歌声」(カ)もあるが、やや非日本語的、日本語には名詞の複数形はないのだ、音友も同じことが言える。 昔からの「天使の声」はすっきりした良い題名だがちょっと言葉足らずですかね。

 ペダルに足が届くのならば、使用すべき曲であると言える。

 16小節3拍目にカワイはスタカートを付けているが、ペダル使用が前提となる。ペダルを使わない場合はスタカートと言うよりはメゾスタカートくらいにとどめること。

 カワイは13小節目左53としている(次が12)。最後から2小節目右1拍目51,4拍目4から5の指換えで最後が41。左の最後51。

 ウイーン、音友は13小節目左43としている(次が12)。

 30小節3拍目左、ウイーンによれば本来EBでEsは誤りとのこと。友はE、カはEs、全は迷っているみたい、バトラーはE(解説者が「原曲はEs」と誤ったことを言っている)。

 バトラーは出だし2つテヌート。1,2小節は中膨らみの松葉のcresc,dim。9小節にp、12小節のpはない、代わりに左4拍目にmf。13小節右手にp。13から14の左の松葉とsfがない。16小節に松葉のdim。21にmf。2ばんかっこにp。

 テンポ 友、全116~120 カ138 ウ120 シ112~132

22.全音は22小節Aにアクセント、26小節の方は松葉のdim。カワイは両方dimにしている。ウイーン、音友は22小節のアクセントだけで26には何もない。バトラーは26小節のdimだけ。

 カワイは最後の左のEsにタイ。他の四つはない。4小節ウイーンはf、バトラーは何もない、他の3ッはsf。

 カワイは冒頭の左を1345,その方が良いかも。3、7小節の頭の和音を左手で2音取らせている、ペダル使用が前提、あまり勧めない。9小節目右手F5,12小節左53から531、17小節、全音は左最後を4,カワイは5、どちらでも良い。19の頭も カワイは5、ここはその方が良い。22、26小節右12、これはよく解らない。最後の和音カワイは全て5を使用。 

 ウイーンは3小節目の右手に3とある、手がよほど大きくない限り不可、まさかカワイのように左手で2音取らせるわけでもあるまい。そのくせ7小節目は531となっている。(バトラーは3小節が321、7小節が421)9小節目右は415,19小節右手Esのアクセントはない(バトラー、音友も)、23小節右は2回とも143,

 バトラーは2小節にppp、4小節はフェルマータではなくテヌート。5小節がpで6小節はppp。7小節4拍目の右手和音をAsHDに変えている。8小節はフェルマータで何も無し(ウイーンはこちらはsf)。9小節のdolceなし。13小節mp、右は23、cresc無し。17には松葉のcrescがあり、19から20にかけてdim。21~6には何もない。28小節1拍目後にカンマがある、次2小節も1拍目はスタカート、音楽としておかしくはないが、ブルグミュラーの意図とは異なるだろう。30小節に松葉のcrescがあり、次は他版と同じ。32~3には何もなく37にf、38後半にrit、39、4拍目後にカンマ。40~41,42~43に松葉の膨らみ、43にrit、44からのdimはなく46にrit。

 でだしやや遅めで、12小節からテンポを引き締めるというのも可能だと思う、最後のperdendosiで元の速さになるわけです。

 テンポ 友、全66 カ72(初版のまま) ウ66 シ72

23.カワイは「家に帰って」少し違うんじゃないかい。シンコーは原題自体に「楽しい」がくっついている、そういう外国の版もあるのだろうか。私なら「帰途」もしくは意訳して「帰郷」と訳す(音友新版がそうなった)。 「再会」という訳はベートーヴェンの「告別」ソナタの第3楽章を模した作品であるという理由による。

 テンポにもよるが25曲中多分一番難しい。

 32~5小節右手内声、ウイーンと全音はスタカートがない、これは意図的に他の所と奏法を変えると見るよりは、音が弱くなりかつ内声であるので、自然にスタカートと言うほどの切り方ではなくなってしまう、と解すべきか。

 カワイは最初の3度42,31,21。6度は51,41,51,51,51で連打の最初も51(左も51)。11小節後半右上534で次が5から4への指換え、工夫された指だがテンポがさほど速くないときだけ有効。15小節からのスラーの指も全部51。18小節、541から531。33小節右も51。

 ウイーンは最初の6度を52,41,31,52,51、これでレガートになるが手が大きくないと苦しい。9小節目41から51,41で次が21から41,51。11小節は41から31,41で次が4、ユニークな指で結構弾きやすいが、 初心者向きではない。22、23小節の左スラーは各1小節、24小節のものは25の1拍目まで。実際の弾き方としては21小節から25小節の頭まで離さないで一気に弾くつもりが良いということか。33、34小節右手41,35小節が31。

 バトラーには8小節のsfがない。9小節はpで最初の音にアクセント。13頭にもアクセント。17小節は右がmfで左がf、左の指は32132(19小節も)。24小節の終わりにカンマで25の最初からp、これは明らかな改変。27に松葉のcresc、29にp、31に松葉の膨らみ、33にp、35にU.C。

 テンポ 友96~100 全92~96 カ108 ウ96 シ100~126 もっと遅くても良いと思う。

24 ウイーンには16小節目以外指使いの記載がない。音友、全音とカワイは大きく異なる。

 音友、ウイーンは17,19,21小節左の交差の音にスタカートがない。

 1小節3拍目左、友は2、カワイは5。2、6小節目交差の左、カワイは132、これは首をひねる。右手最初、友は135,カワイは145。4小節目左、友は○315、 カワイは5325。16小節左バス、友、ウイーンは342、カワイは341。22~3小節交差の左、カワイは1432、首尾一貫しているが賛成しがたい。

 バトラーは左の交差の音のスタカートはない。1小節目p。2小節目のcrescにpocoが付いてる。4小節に松葉のdim、5小節pp、6小節cresc、8、12小節松葉のdimがある。13小節はppでa tempoとある(その前にritしているということか)。16小節にdimがあって、終わりにカンマ、これはウイーンとは矛盾していない。17小節はppで、松葉のcresc。18,20小節の松葉の膨らみはない。21小節のcrescはなく、22小節にmf、そしてcrescがある。23小節にもmf。26小節にp。27小節の松葉の膨らみはない。

 交差の場合の指使いの特殊な原則として、交差した方の手(この曲の場合左)の1指は避ける、というものがある。理由は交差していると手が斜めになっているので1は使いにくいのである。ただし1をクロスに使うのならば、斜めになっていることは都合がいいわけで可となる。カワイの指使いはそういう意味で大分工夫された指使いだが、私にはやや疑問がある。特に初級者向きではないと思う。

 テンポ 友130~136 全132~138 カ138(初版のまま) ウ130 シ116~138 

25.シンコウが「お姫様の乗馬」。その昔の通称だった「貴婦人の乗馬」が一時なくなっていたが音友新版で復活した!  原題には確かに「貴婦人」も「お嬢さん」も「おっさん」もない。

 2小節と6小節のスラーの掛かり方が、ウイーン、音友以外は違う。これは改悪だろう。

 12小節3拍目右、カワイには縦向きのアクセントがある、バトラーはテヌート。40,41小節3拍目右、カワイ、バトラーには同じく縦向きのアクセント、 全音は41小節だけある、これは首をひねる。

 音友、ウイーンにはアウフタクトの16分と8分のスラーの8分音符に、スタカートがあったりなかったりするが、奏法の差はないと思われる。

 音友、ウイーンは19小節右121212とあるが、これは19世紀半ば頃までの古い弾き方で、止めた方が良い。131312が一般的半音階の弾き方だが、 レガートを重視するなら123412。33小節4拍目右、音友、ウイーンは41。34小節が42,31,52,42、ここはこれでもいい、 カワイは31,21,31,42。36小節右2415。37小節右4拍目、ウイーン、音友は14。38小節ウイーン、音友は24,13,25,24、カワイは全部13。

 カワイは3小節左2,3拍目51。7小節右3,4拍目41,31(これが良い)、左41,51。33、37小節左5432。34、38小節左1313。44小節左3拍目51。45小節左3拍目531。

 バトラーは最初mf。9小節目の松葉のdimの後mf。11小節は松葉がなく、pの代わりにmf。20小節の松葉の膨らみがない。23小節のcrescもない。25はp。26,30の松葉はない。33はmf。36の松葉は後半だけ。37もmf。39小節3,4拍目右手頭にはテヌートとスタカートの両方がある。40小節はffでmarcato。44小節1拍目に縦向きのアクセント。

 テンポ 友126~134 全120~126 カ152(初版のまま) ウ138(英語の解説の後にある) シ152

○あとがき

 総合評価は無論Aです。ここではむしろ各版の相違について書きます。

 音友旧版は古く日本に入ってきた、そのままのもの。表題だけ近年一部変えたようですが中身は変わっていません。古い先生にはなじみ深く使いやすいものです。ただし明らかにブルグミュラーの意図とは異なる箇所がある。

 音友新版はウイーン原典版とほぼ同じ。ほんのわずか修正してあるだけ、解説とかは教師にも子供にも工夫してあるし、何より値段がはるかに安い(笑。 原典版を使わせたいと思っている指導者は、音友版でいいと思う。

 カワイ版は、音友旧版をベースに主にペダルと指使いだけ校訂者の考えを書き加えたもの。ただしもとの指使い(音友版と同一のもの)を残して、かっこに入れて書き加えたので楽譜が見にくくなっている。

 近年登場して先生方をあっと言わせたのがウイーン原典版。厳密に言うと自筆が現在行方不明なので初版というだけのことで、必ずしも原典かどうかは解らないが、それでもこれまで流布してきた版と、フレージング以外にも相当大きな違いがあることが明らかとなった。

 全音版はそのウイーン原典版を参照して、古い版の一部を修正したもの。ペダルも書き加えている。どれを修正してどれをそのままにしているかは、各曲の項を参照のこと。

 シンコー版は、全く独自の観点からバトラーが音楽を再構成したもの、さすがにこのとおり生徒に弾かせるわけにはいかないだろうが、教師が参考にするには興味深いものがある。

 なお25曲中19曲まで評価Aになってしまいました。他の曲集に比べさすがに評価が甘いという気もします。おそらく小さい頃から耳になじんで刷り込まれているせいでしょう、皆様各自適当にB,Cを増やして下さいますように。

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