あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ロマン派ピアノ小品集 3  神野明校訂    ヤマハ

 ヤマハから出ているピアノライブラリーシリーズは少しずつ充実してきている。当研究会でも「ソナチネアルバム」を検討している。「ロマン派ピアノ小品集」は今のところ5巻まで出ている。

曲名 作曲者 難易度 評価
メロディー シューマン   5  B
兵士の行進 シューマン   5  B
小さなロマンス グルリット   6  A
楽しき農夫 シューマン   9  A
狩の歌 グルリット   7  B
学校の帰り ケーラー   8  B
夕べの祈り ケーラー   7  C
ギャロップ ケーラー   7  A
チロルの歌 ケーラー   7  B
祖国の歌 グルリット   8  B
手回しオルガン奏者 グルリット   7  B
マーチ グルリット   7  B
夜曲 リヒナー   8  B
スケルツオ-ロンディーノ ストリーボッグ   9  A
舞踏の時に リヒナー   6  A
2列に並んで ランゲ   8  A
まじめな瞬間 グルリット   7  B
つむぎうた エルメンライヒ   7  A
夏のバラ ハック   7  B
人形の嘆き フランク   7  C
芝生の上でダンス グルリット   7  A
ポルカ グリンカ   6  A
お人形の夢と目覚め エステン   8  A
ジプシーダンス リヒナー  10  A
トランペット吹きのセレナーデ シュピンドラー   7  A
船歌 ハック   7  A
ブラウニー ラインホールト   7  B
山の歌 ケーラー   8  C
ゴパーク ムソルグスキー   8  B
フランスの古い歌 チャイコフスキー   7  A
高貴なワルツ グルリット   9  A
ワルツ ラインホールト   8  B
ポロネーズ エステン   8  B
深刻なとき グルリット   8  B
勇気 グルリット   8  C
不安な時 マイカパル   6  B
テーマ ウェーバー   7  B
むかしむかし、あるところにお姫さまがいました クラック   7  C
グランドパレード クラック   9  B
森の中のナイチンゲール クラック   9  B
こどもたちの舞踏会の始まり クラック   8  C

○メロディー この曲の微妙なニュアンスを出すのは難しい。下手に弾かれると実につまらない曲になる。ペダルはなくても可。

○小さなロマンス ペダルはなくても充分いける。

○ギャロップ  中間部2つ目の繰り返しは付けない方がバランス上良いと思う。

○夜曲 2ページ5段2小節目左手FisはGの誤りだと思われる。

○スケルツオ-ロンディーノ 最後のアルペジオだけ難しい。

○舞踏の時に 5段4小節目右手5つ目のC、Cisになっている版もある、そちらの方がいいと思う。

○2列に並んで 6段4小節目の右手の指は弾きにくいだろう。31,42の繰り返しか、21,31の繰り返しかで揃える。

○つむぎうた 一般に流布されている版より少し易しくなっている。編曲したとも思えない、新しい資料でも見つけたのか、よくわからない。

○人形の嘆き フランクの本領はこういう小品にはないみたいね。

○ポルカ 教材としては少し使いにくいかもしれない。

○トランペット吹きのセレナーデ いわゆる「ラッパ手のセレナーデ」。現代ならこの訳ですね。オクターヴと和音の一部を省いてある。許せる範囲かな?

○ブラウニー 「ブラウニー」は妖精(妖怪)の一種。

○フランスの古い歌 他でも書きましたけど、最初の右は12341が良い。最後から2小節目の右は31から52への指換え。

○むかしむかし~ 題名で飛びついてくる子どもがいるかもしれないが、それだけで弾かすというのも・・

○森の中のナイチンゲール トリルの練習になるかな。

総合評価      B

 「よく知られている曲と、これまで弾かれることの少なかった佳曲とをバランス良く集めた」と宣伝文にあるが、まあ一応その通りかな、という感じ。 

 ただやはり、これまで弾かれることの少なかった曲は「佳曲」とは言いがたいものが多い、やむを得ないということかもしれない。

 入手困難な曲は少ない。先生ならグルリットはグルリット、ケーラーはケーラーという風に、それぞれの作曲家の曲集を手に入れる方がいいかもしれない。

 ただ生徒にはこれに出てくる作曲家の曲集を片端から与えることもできないであろう、そういう意味ではバイエル終了程度のこどもたちに使おうと思えば使える本である。

 指使いは割とよく検討されている。時々通常の版と異なった部分がある。

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