あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ピアノの叙情詩 キャサリン・ロリン     全音楽譜出版社

 前に取り上げたキャサリン・ロリンの曲集をもう一つ。なに、内情を言えば、二冊まとめて買っていたというだけのこと。

曲名 難易度 評価
心のスペシャルプレイス   8  B
スウィート・メモリーズ   7  A
サマーの夢   8  A
やさしさにつつまれて   8  B
あなたへの歌   8  B
サマーのノクターン  10  B
子もり歌と夢の国   8  B
サマーを思う   8  A
ときめき   8  B
空想   8  B
ほんとうの喜び   8  A
愛のテーマ   7  B
悲歌   8  A
大草原のような愛   9  B
すてきな気もち   7  B
初めての悲しみ   5  B

○心のスペシャルプレイス 手が大きい人向き。最後の3小節の左はひっかかる(倍音の関係上少し音が濁ってしまう・・他の部分は結構そういうことに気を付けているような感じなのですが)、単純ミスかな。

○スウィートメモリーズ 手が小さいと8か9でBということになる。

○サマーの夢 美しい曲だが。まず左手の運指は賛成しがたい。そしていくら何でもこの訳は日本人の一人として許せないと思う。「夏」と「summer」には意味の相違はほとんどない。それを「summer」のままで済ませるという神経は私には理解できない。日本語の破壊者としか言いようがない。

 「ピー」さんからの情報で、「summer」は作曲者の娘であるということです。上記の文は破棄いたします。

○あなたへの歌 この曲のたとえば7小節目の左手の運指と、「サマーの夢」の運指は、矛盾しているわけです。こちらの方が正統的運指。

○子もり歌と夢の国 この曲の左手の指使いも賛成できない。

○サマーを思う 2段目の左手の指、普通とは異なる。最後は52。

○空想 この曲の左手の運び方も普通ではないが、これはまあ差し支えない。

○ほんとうの喜び 3段目の右手、11とあるのは21にすべき。4段目は11でもいい。

○初めての悲しみ もう終わり? という感じがする。

総合評価      B

 評価AとBがありますがほとんど差はありません。

 いずれも美しい曲です。しかし心に残らないというか、BGMのように通り過ぎて行くだけ・・といえば言い過ぎでしょうか。いかにもアメリカ的というか、美しいが、軽い。

 ポピュラーと言っても差し支えない、いわゆるセミ・クラシック。中学生くらいには喜ばれる可能性があります。

 最近ではポピュラーの中にむしろずっと深い印象を与えるいい曲があります。これまで検討してきた中ではたとえば西村由紀江の「オブジェ」、坂本龍一の「エナジーフロー」、服部克久の「ル・ローヌ」あたりの方が、はるかに音楽として訴えてくるものがあります。この本よりやや難しい程度。

 ペダルは必須、逆にペダルの練習曲としては使えます。

 オクターブが楽に届く程度の手が必要。

 指使いにこの作曲者独特の偏向があります。教材として使う際には変更すべきだと思う。

 もう一つ、教材として使う際には、こういう曲は余り長期にわたってはしない方がいいと思う。2,3週間でさっさと次へ移っていくのがいい。 

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