あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

樹原涼子 ピアノランドコンサート 下1 子猫のワルツ 音楽之友社

 樹原涼子さんは教本「ピアノランド」をお出しになって、一躍有名に成られました。「ピアノランド」は2,3年のうちに調べて会員の皆様に報告いたしますが、併用曲集ともいうべき「ピアノランドコンサート」の方を今回検討してみることにします。*は連弾。

  番号 曲名 難易度 評価
   1 陽だまりの家   8  B
   2 こころの旅   8  B
   3 風の平原   7  C
   4 異国の夢   7  B
   5 夢を追いかけて  10  B
 6 子猫のワルツ   8  A
 7 ココナツの木の下で   8  B
   8 晴れた日に   9  C

1.きれいな曲です。同じ形の繰り返しで単独ではやや物足りないが、1から5までは組曲なので、この曲はイントロみたいなものだから、まあこれでもいいのだろう。

2.同じくきれいな曲ですが、これも同じメロディーの繰り返し。

3.最初の4度は平原を示そうとしたものでしょう。次にオクターブ下のベースを加えて、また同じく空虚5度の響き、好みもあるだろうが、私は何か変化が欲しい。

4.7拍子というのは珍しいが、今の子供には格別抵抗はないと思う。

5.この曲のリズムを正確に取らすのは非常に困難、特に3ページ2,6小節目。註に「3連符の取り方で表情が変わる」とあるから、おそらくルバート気味に、厳密な正確さは要求していないのだろう。

6.secondも難易度はほぼ同じ。かけあいの面白さ、という奴が味わえる曲。最後の10連符、註にアルペジオとあるが、譜面からして、あるいは音的にも指的にも、スケールの間違いじゃないかな? 

7.これはまあ普通の連弾曲。secondoの方が少し難しい。

8.最後はこっている。2,6小節目の右の指11の連続は非常手段だろうが、どんなものか。音楽の切れ目がGとDの間にあるのならうなづけるが、そうではない。やはり12の方が初心者の指の運びとして良いのではなかろうか。

総合評価  B

 少しおまけのBですかね。おまけの理由は本質的ではない部分、つまりカラフルで子供が喜びそう・・

 何というか非常に丁寧に、こって作ってあります(中身の話ではない)。譜めくりをせずに済むような製本の工夫、懇切極まりない解説。カラー版といっても通常は楽譜本体は一色なのですが、この本は注解の☆マークに色が付いていて、どのページを開けても、何というかピアノの「教材」という無味乾燥さが全くない。

 ここまでやると子供は本を見ているだけで何となくうきうきするかもしれないという気はします。

 注解は先生用、経験の浅い先生には勉強になることが色々。ただ何というか私は個人的にはこういう過保護系の本は好きではない。一旦楽譜にしてしまえば、それは産みだした子供、もう親の言いなりにはならない、その楽譜をどう解釈しようが(されようが)、それは作曲家には甘受すべき事。またこれだけ注釈が多いと、それ以外の部分に注意が向かないおそれあり。

 で、肝心の中身の音楽ですが、何というかゲーム音楽を思い出します。つまり割と短いまとまりの繰り返し・・特に最初の「お話組曲」はそう。きれいなんだけど、何かもう一つ物足りないという感じが私はする。後半の三曲はそういう感じはないが、ま、結局、一番使えそうなのは連弾の二曲ですかね。

 樹原涼子さんは確か私がかつてはまった「俺屍」の音楽の作曲者のはず。あの曲は私、Aだと思いますけど。 

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