あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

平吉毅州作曲 こどものためのピアノ曲集 <南の風>    カワイ出版

 noriさんのリクエストにより平吉毅州さんの「南の風」を取り上げます。「虹のリズム」の続編のようなものでしょうかね。

番号 曲名 難易度 評価
 1 夕顔の花が咲いたよ   5  C
 2 さようなら   4  B
 3 ルルの子守歌   4  B
 4 月夜のコロポックル   6  C
 5 北国のおはなし   6  B
 6 菜の花がゆれる   5  C
 7 カンガルー一家のピクニック   6  C
 8 波のたわむれ   6  C
 9 ロバート・シューマンの夢を見た   5  C
10 どんぐりが踊ってる   8  B
11 悲しい夢   8  C
12 蛙の親子がポカポカ散歩   8  B
13 チロのお葬式   5  B
14 四月のセレナーデ   7  A
15 スタレガ・ラプソディ   9  A
16 サヴァンナをゆく   7  B
17 メトロノームのティータイム   9  C
18 仔猫の午睡   7  B
19 骸骨達の陽気な行進   8  B
20 見捨てられた小舟   9  B
21 秋の舟歌   9  B
22 赤い月とこびとの踊り  10  A
23 南の風  11  B
24 ジャングルの闇の中に   9  B
25 つくしんぼうがうたった歌  11  C

2.さりげない悲しみが表現できればいいのですが。

3.2も3も素敵な曲ですが(Aでもいいんですがね)、こちらの方が最初に子どもに与える印象は多分強いでしょう。

5.たとえばこの曲などはチェルニー100番のスケールの練習曲の代わりとしても使えます、もちろん音楽的には遙かに上です。

9.シューマンの「はじめての悲しみ」のパロディ。本家の方がやはり出来はよろしいようで。

11.手を押しつけすぎて力を入れすぎないように注意。

12.「虹のリズム」にも「蛙の散歩」があります。あちらの方がより直接的に蛙を表現している感じ。こちらで蛙の感じを出そうとするのなら、左手のスタカートの加減に気をつけること。

13.技術的にはこの本の中でも易しい方ですが順番がここになっているのは、表現が難しいと作曲者が思ったということなのでしょう。ただピアノ教師としての経験から言えば、適切な指導さえすれば大人が思うほど子どもは表現というものに苦労はしません。特にこの曲はそういう意味では解りやすい方です。

14.出だしの右の指使いは記譜通りがベストなのだが、まず大抵の子どもが3小節目も3から弾きはじめてしまう、それでもいいかなという気もする。難易度6でもいいが、対位法をそれらしく弾こうとすれば7かなという感じ。

15.スタレガとは何のことか、私最初は解りませんでした。

18.左手の二音のフレーズの箇所は、最初の音をフィンガーペダルで残しても良いかもしれない。As durを修得させたいというときには、使える曲かな。

19.こういうのは子どもは案外得意。

20.この曲がもし苦手なら、左右の分離がよくできていないということ。

21.右手を歌わせる(右手と左手に違う強さの音を出させる)にはいい練習。

22.私にはなぜかこの曲に棟方志功の版画が結びつきます。「山の上にまん丸い赤いお月様が出てその下で小人が踊っている」そんなイメージを話したところ、見事にこの曲を弾いてきた生徒がいました。

23.曲集全体の名をもらった良い曲です。何度も弾いていると何とも言えないさわやかさに愛着が湧いてきます。ただ、逆に言えばこの曲の良さが解るには相当弾きこなさないと、ということになります。

24.「虹のリズム」の「はるかなるアフリカ」をちょっと思い出させます。こちらの方がやや複雑。

総合評価  B-

 同作者の「虹のリズム」が素晴らしい曲集であっただけに、期待をしてこの本を買うと少しがっかりするかなという感じでしょうか。

 技法をやや制限されている、前作は第一作だけにそれまでに作った優れた作品すべてを散りばめることが出来たが、今回は第二作だけにそれ以降の5年ほどの間に作ったものに限られる、等々の理由が考えられるでしょうが、平均して前作より出来が劣ることは否めないでしょう。芸術的完成度が劣るというよりは、子どもに与える第一印象の鮮烈さに欠けるという感じですね。

 ただしそれはあくまで前作と比較しての話であって、この曲集単独で見れば、やはりこれはこれでなかなか優れた曲集と言い得ると思います。どちらかといえば後半に優れた曲が多い。

 子どもに買わすかどうかは微妙なところ、前半にインパクトのある曲が少ないだけにブルグミュラーの代わりにはならないような気がします。先生は持っていた方がいいでしょう。

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