あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

有馬礼子 子どもの庭    音楽之友社 

 有馬礼子さんは現役ばりばりの作曲家。私はもちろん直接存じ上げてはいないが私の知人に東京音楽大学で有馬さんの作曲の授業を受けたという方がいる。この本は多分有馬さんの子供向きピアノ曲集の最初のもの、引き続いて「風のダンス」が出て、近年もう一冊加わったと思う。 

番号 曲名 難易度 評価
 1 子どもの庭   8  C
 2 朝の光   9  B
 3 みんな仲よく   9  C
 4 道化師   5  C
 5 子守歌   8  C
 6 版画のスケッチ  10   B 
 7 ねずみの運動会  11  C
 8 海との対話   8  B
 9 こびとのマーチ   8  A
10 夕日の中の城  10  B
11 悲しい思い出   10  A
12 荒れた海  16  B
13 虫取り   8  C
14 雪合戦   8  A
15 舞曲   8  A
16 おひるね   9  C
17 笛吹きの踊り  10  B
18 雨の夜  11  C

1.曲集全体の表題曲であるということは作曲者お気に入りの曲なんでしょうが・・

3.手が大きい子どもじゃないと無理。

5.ペダルは必須であると思われる。

6.この曲集の中では一番モダンかな。

7.テンポによって相当難易度は変わりますが。この曲集全体から察するとそんなに速い速さでは弾かせられないでしょう。指のよく回る子どもは喜ぶかもしれない。

8.難しくはないが、オクターヴが届かないとする意味がほとんどなくなる。

9.右ページ4小節目の左は521でとって、以下3234と弾くと弾きやすい。

10.ペダルは欲しい。途中から大人っぽくなるような感じがする。映画のBGMにでも使えそう。

11.左手のメロディーを歌わせるにはとてもいい教材。強いていえば少し長い気がする、発表会向けと言いたいところだが、こういう暗い曲を好む子が最近少ないかもしれない。

12.Andantino dolorosoだから多分余り速く弾かないんでしょう。それでもこの曲集ではダントツに難しい。

14.中間部の左手の和音E、GisをE,G、もう一つA、CisをA、Cとよく間違える。その部分は無茶苦茶大きな雪玉を作っている感じでしょうか。

15.私はこの曲集の中で一番好きです。子どももまず確実に喜ぶが手が小さいと右手As,C,Gの和音が困難、私は小さい子の場合その小節は思い切って右手のAsをすべて省略します。

16.ペダルは欲しい。

17.2音のスラーの終わりにスタカートが付いている付いていないなどの、フレージングの細かい区別があるが、たとえば4小節目などはどこまで意味があるのだろうか。4小節目でいうのならば、一般的には前者のフレージングが普通であって、奏法は実は後者のようになるというのが共通了解事項だと思うのだが、あえて区別しているというのなら、後者の場合、2音目のスタカートを強調する、前者の場合は余り目立たないように切るということになるのだろう(3音目につないではいけない、それは誤り)。

18.ペダルは必須。相当の音楽的センスがないと弾きこなせないだろう。速さによって雨の感じが変わる。余り速いと暴風雨になってしまう。

総合評価    B-

 最後のページに作曲者自らの解説があるが「おかあさんの目を通して見たこどもの世界・・」とあります。収録されている曲もどちらかといえば、子どもを対象としているというより、お母さんを対象としているような曲が多い、そんな印象を受けます。

 たとえばピアニストが後ろの解説を交えてこの曲集を演奏したならば、母親はよく理解してある種の感動を得ることがあるでしょう。ただ教材としてはどうなのかなと・・

 一部の曲を除いて子どもにはやや高度な雰囲気、そして大人は実は結構頭脳が硬化していて、こういう曲より耳になじんだ名曲を好むものです。

 作者もおそらくそういうことは承知の上で作っているのかもしれない。たとえば手の大きさには全く配慮はないし、ペダルも半数くらいが欲しいと思われる曲です。「子どもの庭」ではあっても子供向けの曲集とは作者は思っていないのかもしれません。

 明らかに子供向けかなと思われるのが「舞曲」「雪合戦」「小人のマーチ」の3曲。これはいずれも素晴らしい曲です、先生方には是非知っておいて欲しい。

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