あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ギロック こどものためのアルバム  全音楽譜出版社

 ギロックのリクエストはお二人からありましたので、もういっちょうギロックを取り上げることにします。「叙情小曲集」よりグレードが低いと解説にはありますが、私の見るところでは、難易度の幅が広い、易しいものも多くあるが難しいものは「叙情小曲集」よりもずっと難しいと思われます。

番号 曲名 難易度 評価
 1 ウインナーワルツ   6  B
 2 コラールプレリュード   6  A
 3 舞曲   6  B
 4 悲しいワルツ   6  A
 5 手品師   6  A
 6 古い農民歌   6  B
 7 フランス人形   6  B
 8 カプリチェット   7  C
 9 タランテラ   6  A
10 森の伝説   7  B
11 森の妖精   7  C
12 教会の鐘   7  C
13 魔法の木   8  B
14 祭り   8  B
15 サラバンド   7  C
16 エチュード  12  A
17 ワルツエチュード  15  A
18 雨の日の噴水  12  B
19 雪の日のそりのベル  13  A
20 クラシックカーニバル 1,宮廷のコンサート  10  B
                2,聖体行列   9  B
                3,カーニバルの舞踏会  10  B
21 金魚  10   B
22 古典形式によるソナチネ  10  A 
23 ソナチネ  13  A

2.これは「ピアノの練習ABC」の11番。ギロック編曲とあるが変えてあるのは最後の音の長さだけ。指使いは少し違う、こちらの方がやや手の大きい人向き。

4,5 いずれもf moll、Es Durの初心者用の曲としては最適。(このレヴェルでそれらの調性を弾かすことはないという考え方もあるが、それはまあ別問題)

6.2もそうだが、こういう曲は先生が先に範奏してあげるのが望ましい。

7.おしゃれな感じで。

9.4段2小節右4拍目53でもいい。

10.2段目の上段の和音は左右に振り分けるのだが、各フレーズの最後は右で三音とも取る方がいい。ペダルをどうせ使うのであれば、もう少し増やせばいい。

11.速く弾くと少し難しくなる。

12.最後の2段の左右の振り分け方から見ても、作曲者はさほど速いスピードを念頭に置いていない(速い場合は3音ずつ左右に分けるはず)。ゆったり弾くこと。

13.右ページ1段1小節目、2段2小節目の右手のメロディーをレガートに弾きたければ、BBAの音を左手で取り(Aだけでもいい)、Cisを2の指で。(ここは離しても構わないと多分作曲者は思っていたのだろうけれど。)

14.4段1小節目の終わりからの右手45とあるが、上級者向けの指、初心者には使わせたくない、54でいい。

15.楽譜だけ見ると速く弾きたくなるが、ゆっくり弾くのが作曲者の意図。

17.私はこの本のなかで一番良い曲だと思います。ほとんどポピュラーに近いという感もある。

18,19。対になっている曲だと思いますが、わずかに19の方が出来が良いと私は思います。18は余り速く弾きすぎると、装飾音を振り分ける部分で遅れてしまう。19は左手の粒を揃えさせるのにいい教材。

20-1.2ページ2段1小節目右512とあるが、手が大きくない限り521の方がいい。

20-2.「聖体行列」という行事自体が日本にはないので説明が必要かもしれない。

22.3楽章右ページ1段4小節目右手ADFは、書法から察するにGDFのミスプリの可能性あり。

23.1楽章3ページ目3段2小節からのペダルは3小節3拍目くらいで離した方がいいと思う。4ページ1段から2段のペダルは、提示部と同様に1小節ごとに踏み変えるべき。2楽章は少し易しいが、これは単独では弾きたくない。1楽章のみか、全楽章やらすかでしょうね。

総合評価      A

 非常に優れた曲集です。叙情小曲集よりもさらにいいかもしれないと思います(24の調性を使うという制限がない分良いのかもしれない。24の調性を使ったものでは芥川さんの24の前奏曲が極めて優れています)。

 先行して出された「叙情小曲集」とこの2冊によって日本におけるギロックの評価が定まったのかもしれません。それ以降のギロックの人気はご存じの通り。正統的教材に比べて、少しばかりポピュラーっぽい香りがするのがいいんでしょうな。

 バイエル終了程度から易しいソナタ程度まで。結構幅は広い、というか元々何冊かの曲集の寄せ集めかなという感じもします。表の難易度を見れば解りますが二極分化している。一旦使ってしばらくお蔵入りして、また使うということになるのでしょう。

 注意すべき点は基本的にアメリカの子供用である、すなわち体格が日本の子どもより大きい、指使いが少し手の小さい子には向いていないと感じられる点があります。

 解説は懇切丁寧ですが、まずいのは楽譜に小節数が記されていないのに、解説は小節数で記されているということ、改訂する機会があれば(儲かってるんだからするべきだね)楽譜に是非とも小節数を記してもらいたい。

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