あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ピュイグ=ロジェ ピアノ教本1   音楽之友社

「子どもでも弾くことができ、優れた音楽を奏しつつテクニックを学べるようなテキストを、世紀をさかのぼり、過去の偉大な作曲家の作品の中に探すことにしました」 という曲集。最重要課題が左手、重要課題がリズム、次に重要な課題が装飾音、となっているらしい。

番号 曲名 作曲者 難易度 推薦
 1 2声楽曲 Ⅰ カベソン  3  
  2声楽曲 Ⅱ カベソン  5  
  2声楽曲 Ⅲ カベソン  5  
 2 唱句 ビラドロサ  5  ☆
 3 2声楽曲 Ⅳ カベソン  6  
 4 アルマンドとジーグ アンドレウ  8  ☆
 5 フォー・ブルドン カベソン  5  
 6 メヌエット ラモー  5  
 7 メヌエット アンドレウ  6  
 8 主題と変奏 スウェーリンク  9  
 9 カンツォーネ Ⅰ スウェーリンク 10  
10 シャコンヌ Ⅰ ヘンデル 13  
11 賛歌「舌よ、歌え」 エレディア 11  
12 変奏曲 モーツアルト 14  
13 シャコンヌ Ⅱ ヘンデル 14  
14 カンツォーネ Ⅱ スウェーリンク 13  
15 シャコンヌ Ⅲ ヘンデル 14  
16 変奏曲 ハイドン 12  
17 コラール変奏曲 パッヘルベル 13  
18 シャコンヌ Ⅳ ヘンデル 14  
19 カンツォーネ Ⅲ スウェーリンク 14  ☆
20 変奏曲 ベートーヴェン 14  ☆
21 クリスマスカロル変奏曲 バルバストル  11  
22 コラール変奏曲 Ⅱ パッヘルベル  13  
23 変奏曲 ヘンデル  14  
24 装飾されたメロディー スウェーリンク 13  
25 シャコンヌ Ⅴ ヘンデル 16  
26 3声のフガート アンドレウ 13  ☆

2.指換えがあるが、編者によれば必ずそのとおりにすべし、らしい。

4.初めて見るがなかなかいい曲。急に難しくもなっている。

5.これもなかなかいい曲だが。最後を両手1にしているのは、ある程度はっきり弾けという意味だろう。

6.これはよく見かける。

8.この年代だと、まだ長短調が確立されていない。

9.一つの声部を左右で弾き分ける。

10.ヘンデルの長いシャコンヌからの抜粋だが、これはテンポにもよるが決して易しくない。指示速度ならこんなものか。

12.K.24の第四変奏。

13.10と同じ、3つの変奏(10~12)を続けている。

15.これも同じく第13変奏から15まで。

18.これは有名な(短い方の)シャコンヌの一部。シャコンヌとして弾く場合は、普通はもっとテンポが速く、その分難しいが、この指示速度ならこんなものか。

20.パイジェロのオペラによる6つの変奏曲から。

21.装飾音が実音で記されている。

22.「よく知られたメロディー」とあるが、日本ではよく知られているとはとてもいえないだろう。

23.これも短い方のシャコンヌからの抜粋だが、なぜこれだけ「変奏曲」になってる?

25.これは長い方のシャコンヌの16~18変奏。このテンポだとかなり難しい。

26.最初の純然たる3声が一巻の最後になっている。

総合評価     B

あまりにも特異な本である。評価がある意味困難であるが、こんなところかなと思う。

各国の文化には固有の背景がある。日本人が西洋音楽を学ぶ上においてその背景を知らないことは多々あり、長じるにしたがってそういう背景ごと理解していくことが 望ましいことは、ある意味当然である。

ただ、年端もいかない子どもが異文化を学ぶ上において、その背景の理解が必要であろうと思われる教材が使用しにくいことは間違いない。

日曜日には教会に行き、小さいころからポリフォニーが耳になじんでいる、そういう文化的背景の下に育った子どもなら、この本に食いついていくことも可能であるかもしれない。ただ、ごく普通の日本の子供たちには、あまりにも異質な音楽ばかりが集められているのだ。子どもの受容度というものを優先する当会において評価Aとならないことは納得いただけると思う。

「教本」とあるが、むしろ「曲集」と言うほうが正しい。「教本」として順に使うにはあまりにも難易度の差が大きすぎる。

普通の生徒ならば、インベンションに入る前の教材として使う。中学生以上ならば、あるいは大人ではっきりと意思的に「西洋文化の一表現としての音楽を その本質的部分に最も意を払った教材で学びたい」と思っている人には、主教材として使うことも可能かもしれない。

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