あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ピアノコスモス・シューレ 2  成田稔子編 高氏雅昭絵    全音楽譜出版社

ノンレガート奏法からはじめるユニークな教本の第二巻。

番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 フランスの古い踊り チョヴェック編曲  4  B
 2 ぞうさん 團伊玖磨  4  A
 3 ソナチネ ベルゴヴィチ  5  B
 4 こぶたのマーチ バーリン  4  A
 5 時計 ソコローヴァ  4  B
 6 たのしい踊り ウクライナ民謡  3  B
 7 こもりうた ユツエーヴィチ  4  B
 8 ウクライナ地方のメロディ ソロキン  5  B
 9 山の歌 リトフコ  4  A
10 小鳥たちのお散歩 デュベルノア  6  A
11 めだかの学校 中田喜直  6  B
12 エチュード シッテ  4  A
13 エチュード シッテ  4  A
14 ほたる ベルコヴィチ  6  B
15 エチュード ツェルニー  5  B
16 エチュード シッテ  6  B
17 アレグレット マイカパル  6  A
18 風にそよぐ葦 たけたにひかる  5  C
19 夢みる少女 シッテ  5  C
20 つぶやき クロツキン  5  B
21 メヌエット ラモー  5  B
22 さよなら、また明日ね 中田喜直  6  B
23 ラトビアの踊り ラトビア民族舞踏曲  5  C
24 ゆりかごに揺れて スチェパヴォイ  4  C
25 草のなかの子鴨 ロシア民謡  5  B
26 ポロネーズ L.モーツアルト  6  C
27 夏の海 ツェルニー  5  C
28 バスに乗って ガルシー  6  A
29 すずめくん、きょうは寒いね メタリディ  7  B
30 たのしく踊ろうよ シトガレンコ  6  A
31 メリーゴーラウンド シッテ  5  B
32 ゆうえんち たけたにひかる  6  C
33 新しいお人形 チャイコフスキー  7  B
34 うれしいひな祭り 河村光陽  6  B
35 おどけたワルツ ショスタコーヴィチ  7  A
36 ワルツ アガファニコフ  6  A
37 小鳥たちの絵 ルクーペ  7  C
38 白ゆりの花 アサフィエフ  6  A
39 おつかいありさん 團伊玖磨  6  A
40 お化けなんてないさ 峯陽  6  A
41 かわいいポルカ ガルータ  6  B
42 アリア バッハ  6  B
43 たき火 渡辺茂  6  B
44 プレリュード ゲディケ  7  A
45 小さなフーガ パヴルチェンコ  6  B
46 かわいいワルツ コロミェーチ  6  B
47 かぜぶえ ソロチンスキー  7  A
48 メヌエット モーツアルト  6  A
49 おやゆびのエチュード なりたとしこ  6  C
50 悲しいできごと レデネフ  6  C
51 アラベスク ブルグミュラー  6  A
52 歌のように ゲディケ  7  C
53 C-durの階段を、のぼりおり なりたとしこ  4  C
54 a-mollの三つの音階をおぼえましょう なりたとしこ  4  D
55 プレリュード ドゥヴァリオナ  6  A
56 おにごっこ しもまきやすこ  7  B
57 G-durのエチュード なりたとしこ  5  C
58 おねだり ルクーペ  6  A
59 D-durの階段でばったり なりたとしこ  4  D
60 ゆうやけこやけ 文部省唱歌  5  B
61 A-durの階段をかけ声かけてのぼりおり なりたとしこ  4  C
62 優しい夢 ルクーペ  6  A
63 F-durのエチュード なりたとしこ  5  C
64 エチュードアレグロ レムアン  7  A

1.イ短調。単純な伴奏形でない分少し難しい。

2.この曲がピアノ教材になっているのは他にはないかも。付点四分音符の練習。移調を経験させる。

3.音の使い方は、ほぼ古典派なのだが、紛れもない現代のソナチネ。割と面白い。

4.ヘ音記号初登場。これは非常に遅い導入。そしてここまでに音符の読み方(線間線間の順に並んでいる)をマスターしていることが前提になっていると思われる。 いきなり大量の新しい音があるからである。曲そのものはすっきりしていて良い。

5.この時計の音は、「間に合わないぞ!」とせかしているような雰囲気かな。

6.ホ短調。かなりやさしい。

8.左がよく動く。

9.さし絵はこの曲の気分とは違う気がする。

10.「山のうさぎ」という題名でも、類書にあった。ぜんぜん違う曲名なのだが(笑)。

11.これは編曲がいまいちだと思う。3連符が出てくる。

12.分散和音のエチュード、13と対を成している。これはト長調。ペダルを使うときれいだが、偏者の意図としてはまだなのだろう。

13.こちらはイ短調。単純ながら美しい。

14.変奏曲。3連符の練習にもなる。あまり「ほたる」というイメージは湧かないが。

15.ツェルニーにしては美しい。

17.ひっそりと弾く感じかな。

21.これはよく見かける。

22.終止感を出すには工夫が要るだろう。

24.ト短調。ゆっくりめ。

25.やや対位法的。

28.完全に描写音楽。短2度の使い方がうまい。

29.28が好きな子なら、これも大丈夫かな。28の一段上級バージョン。

30.これも2度の使い方がうまい。

33.左の指使いを工夫しているが、易しいかどうかはなんともいえない。全部42というのが分かりやすい気もする。

34.あまり使わせたくない指があって、教材としては微妙。なぜニ短調にしなかったのだろう、それだけではるかに弾きやすくなるのだが。

35.「ワルツ=スケルツオ」の前半だけ。

36.連弾。secondは難易度7。Asの簡単な曲は珍しく、いろんな調性を早くから味わいさせたいと考える先生には貴重な教材。

37.ABCの9番。

38.右と左のタッチを変えないと、メロディーのリズムが分からなくなる。

39.付点8分音符登場。厳密な付点を要求していない、教師としてどう考えるべきかだが、賛成できない方もいるだろう。

40.これはノンレガート奏法をマスターしていることが条件となる。そうでないと、とんでもない指使いをする可能性あり。secondは8。39と同様に 付点を日本式付点から導入している(3:1よりやや甘い)、これなど三連と同時に出てくるので、ほぼ2:1。

41.見かけほど易しくはない。これは正確な付点が要求される。

43.「カノン」とあるが、ごく部分的なカノンにとどまる。この方は編曲はさほど得意でもないようである。

44.ひたむきな感じがする。

47.こういうのは、ある程度大胆にさっと弾いてしまうのがいい。

48.連弾。secondは8。

49.指使いを守らないと意味がない。エチュードとしては使えるが、曲としてはつまらない。

50.これも半音的な動きの練習。

51.定番中の定番。

53.ここで初めて、オクターブのスケールが登場する。教本中ではもっとも遅いかも。

54.こういうのは、無理やり曲の形にする必要はないのでは?

55.これはなかなかいい曲。

56.対位法的に書かれていて、結構弾きにくい。

58.ABCの14番。連打の練習。

60.これもあまりでかした編曲とはいえない。

62.ABCの7番。

64.これはあちこちの併用曲集に出てくる。ルモアーヌのエチュードOp.37-29である。

総合評価     B+

B+は「曲集」としての評価。「教本」としてみるなら2段くらい落ちてB-といったところでしょう。

曲集としては、これまで知られていない初心者用の使える曲が大量に収録されていること。印象に残る曲も少なくありません。Aをつけたいところですが「教本」としての体裁をとっているために、後半各調の練習曲を入れざるを得なくなり、それがかなりつまらないものであるために、評価を落としました。

「教本」としてはかなりユニークです。1巻からそうだったのですが、ユニークさだけでは別に減点の対象にはなりません。この巻で私が首をひねらざるを得ないのは、 ヘ音記号の導入が遅すぎること(まだそれだけならいい)、そして導入してからのスピードが速すぎることです。大人ならともかく、この本が対象としている小さな子供たちは読譜に最もてこずります。この進め方は「線」「間」という読譜の根本原理をしっかり理解しているという前提の上に立っています。そしてそれが現場の実情からはかなり遠いものであることは、レスナーならご承知のことかと思います。

反論はあろうかと思います。「線」「間」の原理をしっかり身につけさせることがこの本を使う要であり、それをしていないのはレスナーの怠慢であるに過ぎないと。再反論はいたしません。そういう反論を自信を持っていうことが出来る方こそが、この本を「教本」として使う資格をお持ちの方です。ただ、そういう方はそれほど多くはいらっしゃらないだろうと思います。

もう一つは、この巻の後半は各調性を学ばせるための曲となっているが、そこのところができばえが悪い。スケールなどは、バイエルのものをそのまま使うほうがよほどいいかと思われる。

編者を含む日本人数名の作品が混じっているが、それがほとんどすべて他の曲に見劣りするのも、悲しいところである。

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