あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

シャミナード 6つの演奏会用練習曲 第1集/第2集   プリズム

シャミナードのまとまった作品集が出版されるのは日本では初めて。第2集は作品番号がバラバラで、本人の編ではないのかもしれない。

第1集 Op.35
番号 曲名 難易度 推薦
 1 スケルツオ 26  
 2 25  ☆
 3 糸紡ぎ 24  ☆
 4 アパッショナート 24  ☆
 5 即興曲 26  
 6 タランテラ 25  ☆

1.重音の練習。速く弾くとかなり難しい。

2.美しく、またピアニスティックな見せ場も存分に用意されている。

3.軽いタッチでさらっと弾いてしまうのだろう。

4.曲名の通り、激しい情熱をもって、一気に弾ききる。

5.最初のテンポを速くとりすぎると、収拾がつかなくなるおそれあり。

6.長調のなかなかかっこいいタランテラ。最後のオクターヴは激ムズ。

第2集 
番号 曲名 難易度 推薦
1 Op.132 ロマンティック 25  
2 Op.124 パセティック 25  
3 Op.118 メロディック 26  
4 Op.138 ユモリスティック 25  
5 Op.28 シンフォニック 26  ☆
6 Op.139 スコラスティック 27  

1.かなり派手。華麗だが上品に。

2.テンポ次第でかなり難易度は変わる。ロ短調だが二長調部分の方が長いのがシャミナード的というべきか。

3.微妙に弾きにくい。上品に。

4.fis mollだが題名からしても、深刻そうに弾くべきではない。遅く弾けば易しくなるが、それでは面白くない。

5.最後の二曲はあまり練習曲っぽくない。

6.スコラ哲学風エチュード? 何かの皮肉ですかねえ。

<あとがき>

練習曲と銘打たれてはいるが、各曲それぞれに表題がついていることからも推測されるように、れっきとした曲集である。しかもその価値はショパンの練習曲集を上回るとは言わないが、たとえばラフマニノフの前奏曲集あたりに匹敵すると言っても過言ではない。

推薦マークがついてないものも、すべて準推薦であると思っていただいていい。

これだけ優れた曲集がなぜこれまで紹介されなかったのかは理解に苦しむが、あえて言えば後期ロマン派の曲集であるだけに、音楽史に残るような斬新さがないということであろうか。 あるいは、そのフランス的優雅さとでもいうべきものが、ショパンの練習曲のような衝撃を与えまいとする方向に曲を誘導しているとでも言おうか。 あるいは、ラフマニノフの練習曲ほどの超絶技巧を要求していない故であるのだろうか。

ドビュッシーの練習曲集は近代ピアノ音楽の練習曲として音楽史に名を残している。それはある意味近代という斬新な書法に基づいて書かれた練習曲という位置づけによる価値なのである。この曲集にそういうものはない、しかし個人的好みを言わしてもらうなら、私はこちらの方がはるかに好きである。

シャミナードはおそらく自分自身がかなりピアノを弾ける人間であったに違いない。そして、それゆえにというべきか、演奏至難になりそうなところで微妙に書法を変えていたり、あえて難易度的に易しい方に切り替えたのであろうと思われるような個所が散見される。

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