あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

サンサーンス ピアノのための6つのエチュード Op.52

これは私の知る限り、日本版はありません。またコンサート等で弾かれるのはこの中の1曲のみと言ってもいいくらいですが、割とよく弾かれるので 取り上げておきます。

番号 表題 難易度 推薦
 1 プレリュード  25  
 2 指の独立のために  26  ◇
 3 前奏曲とフーガ  25  
 4 リズムのために  24  
 5 前奏曲とフーガ  27  
 6 ワルツ形式による  27  ☆

1.文字通りのプレリュード。ほとんどユニゾンでさほど難しくない。

2.和音の中の1音だけを浮きだたせよという極めて特殊なエチュード。その特殊さゆえに有名かも。速さによってかなり難易度は変わるが、この曲は要求通り正確に弾くことが 肝要で、速く弾くことにはあまり意味はないだろう。楽曲としてではなく練習曲として推薦。

3.前奏曲はこれも特異な練習曲。フーガは3声、後半はオクターブになって分厚く終わる。

4.2連と3連の組み合わせの練習。曲としても結構美しいが、いかにも練習です、という個所が時々あって、鑑賞気分を壊してしまう。

5.前奏曲は重音の練習で速さにもよるが至難。フーガもバッハのものとは微妙に異なる難しさがある。4声。

6.よく弾かれる。フランスものらしいしゃれた華やかさが魅力。相当難しいが、どこもかしこも力技で弾くと、味が損なわれる。

<あとがき>

サンサーンスのエチュードは3集全18曲ありますが(1集6曲は左手のためのもの)著名度は甚だしく低いです。たとえばショパンのものに比べて、 著しく劣っているのかといえば、そういうことでもなく、一つには、サンサーンス自身有名なピアノ曲をあまり残していないということで、 彼の書法を研究する必要がピアニストにないからであろうと推測されます。

もう一つは、趣味的というか、衒学的というか、自分の興味のままに作ってしまい、汎用性に欠けると思われるところがあるのかもしれません。

エチュードなのに、フーガが二曲も入っているというのも日本人には敬遠されるところでしょうか。これはたとえばクレメンティも 「グラドゥス・アド・パルナッスム」にフーガを加えており、欧米人には珍しくもないんでしょうが。

サンサーンス自身は、ピアニストとしても名手だったようで、その書法は結局ピアノコンチェルトに最も顕著に表れているかと思われます。 この曲集にもありますが、重音、和音を好んで使っていたようです。

結局6番が文句のつけようのない名曲として残ることになります。

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