あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

グリンカ・ピアノ曲集 木村雅信校訂    ドレミ出版

グリンカのピアノ曲は、これまでほとんど日本には紹介されていない。これがまとまった初めての本である。二部に分かれていて 一部が「発表会用」、二部が「演奏会用」とある。二部の方が難しいということであろう。

番号 曲名 難易度 評価
 1 コントルダンス第4番  8  B
 2 新しいコントルダンス第2番  7  B
 3 新しいコントルダンス第5番  9  C
 4 コントルダンス第5番 10  B
 5 新しいコントルダンス第4番  9  A
 6 ギャロップ  9  C
 7 ワルツ 変ホ長調 13  B
 8 ワルツ 変ロ長調 15  C
 9 マズルカ ハ短調 11  A
10 マズルカ ハ長調 10  C
11 マズルカ ヘ長調 13  B
12 モーツアルトのテーマによるヴァリエーション 18  B
13 タランテラ 12  C
14 ロシア民謡によるヴァリエーション 18  C
15 こどものポルカ 17  B
16 アリャービエフの「うぐいす」によるバリエーション 23  A
17 ポロネーズ 20  B
18 ノクターン「別れ」 16  A
19 フーガ 19  B
20 マズルカの思い出 19  B
21 スコットランド民謡によるヴァリエーション 23  B
22 バルカローレ 18  B
23 幻想ワルツ 19  A

1.ダ・カーポした場合、終わりようがなくなる。7~8小節を修正することになるのだろうが、それを考えさせるというのも面白いかも。

4.グリンカの曲は、密度が濃いという気がする、短い間にうまく転調をしている。

5.これは少し遅めに抒情的に弾く方がいい。

7.中間部はきれい。主部はまだワルツとして洗練されていないという感あり。

8.短調部分は美しいが、全体としては雑然としすぎのような気がする。

9.美しいが短い。感傷的に。

10.やや驚く転調。私はちょっとついて行きかねる。

12.分かりやすい。

13.2拍子のタランテラは珍しい。

15.速く弾くとかなり難しくなる。グリンカという人は部分的には美しいが全体としてみるといまいち統一感に欠けるという曲が多い。

16.この曲から「演奏会用」となっている。生徒でも弾けるがまあ上級者向き。

17.かなり派手。ショパンの遺作のものに似ているようなところもある。

18.感傷的だが美しい。左手に11度の個所があるが右手でとることが可能。

19.完全なフーガとは言い難い。表情には富むが、フーガという制約がかかっているので、弾く気になるのはこういうものが好きな人に限られるかな。

20.B durだがある種不安定な曲。技術的に難しいというより、音楽的にとらえにくい。19世紀前半の曲としては前衛的と言えるかも。

21.変奏曲としてはかなりユニーク。第一変奏は手が入り組んで弾きにくい。第二変奏はほぼテーマそのもの。第三変奏は長くかつ派手。

22.3拍子のややユニークなバルカローレ。

23.グリンカの代表的ピアノ曲らしい。基本的に3小節構造というユニークな音楽。

あとがき

グリンカ(1804~1857)はロシアの先駆的作曲家。ロシア国民学派の創始者ともされる。これまでその音楽はオペラ「ルスランと リュドミラ」管弦楽曲「カマリンスカヤ」ぐらいしか知られてなかったと思う。特にピアノ曲はほとんど紹介されていなかった。

今回、ドレミ出版から大量に紹介されたわけだが、一通り弾いてみた感想は「異才」であったな、というものであろうか。

年代的には、ロマン派の初期である。にもかかわらずその作風はシューベルトやショパンよりもずっと後の時代のものを思わせる。多分に実験的な趣のある作品もある。

特にメロディーの美しさは特筆に値するだろう。

惜しむべきは、構築性の欠如というか、全体としての統一感にやや欠けるということであろう。

先生は持っていると役に立つかもしれない。なお「発表会用」と「演奏会用」に分けられているが、たいした意味はない。

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