あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ノルドグレン 小泉八雲の怪談によるバラード   全音楽譜出版社

2008年現在品切れ中という情報もあるのですが、第二集も出版されたし、これはいずれ再版されるだろうと思いますので取り上げます。 作曲されて30年経ち、評価もほぼ定着してきたような気がしますので。

曲名 難易度 推薦
お貞  25  ☆
雪女  26  ★
無間鐘  27  
おしどり  26  
むじな  25  
ろくろ首  27  
耳なし芳一  28  ☆
安芸之助の夢  27  ☆
食人鬼  24  ☆
十六桜  25  

○お貞 さほど弾きにくいというわけでもないので、最初に取り掛かるにはいいかも。

○雪女 曲集中最も有名。内部奏法が氷の音を示していて実に効果的。私はギターのピックのハードで弾くが琴の爪を使う人もいるらしい。 譜面面よりはかなり弾きにくい。少なくともこの曲に関しては原作を読んでおく必要あり。ほぼ原作を追うように音楽がつくられている。

○無間鐘 冒頭のリズムは規則的というより、拍子木のリズムに近いと思う。曲集中最も長い。fffffからpppppまである。

○むじな これはいまいち私には解らない作品。短9度がやたら目につく。50小節目の2音目、DesFesAはおそらくBDesFのミスプリと思われる。

○耳なし芳一 音的にはもちろんだが、リズム的にかなり難解。しかし作曲者の気合のこもった一品である。これも原作を読んでおくべき。

○安芸之助の夢 腕に覚えのある人は挑戦してみるといい。ピアニスティックであり、かつ現代もの特有の技法もあり聴衆には衝撃を与えられる。 雪女とおなじく内部奏法がある。ワイアブラシが必要。101小節目左真ん中のヘ音記号が落ちているとおもわれる。

○食人鬼 現代奏法は皆無。古典的な奏法だけで「ホラー」を表現している。ピアニスティックで派手だから教材としても使える。

○十六桜 演奏困難という箇所は皆無なのだが、音の響き自体が最も異質(桜の怪しい美しさの表現?)で、その意味で困難さを覚える。

あとがき

知る人ぞ知る、という曲集でしょう。舘野泉さんがCDを出し、何度もリサイタルをすることで一般の人々に知られるようになりました。

実は私は、「耳なし芳一」を日本版が出る以前、舘野さんのCDが出る以前に入手しています^^。フィンランドのFazer社から楽譜が出ていました、 表紙に「芳一」の絵があり、フィンランド語(?)と英語と日本語の表題が載っているものです。1974年発行とあります。

大阪のササヤ書店でこの楽譜を見つけたときに、なんだこれはと思い、即買いました(笑)。

家に帰ってから一週間くらい弾いてましたかねえ。満足できるほどに弾けるようにはならず、ある意味投げ出したんですが、それでもこれがとんでもない(いい意味で)曲であることはよく解りました。知り合いの作曲家の先生にコピーを差し上げたところ、「なかなか面白い曲だ」とおっしゃっていたのを覚えています。

数年経って、全音から出て、安いなあと思い、何か損をしたような気がしました(笑)。

そのときに、さあっと弾いてみて、発見したのが「雪女」。これは私のレパートリーとなりました。内部奏法の箇所で客席が静まり返るのが 実に気持ちがよろしい(笑)。

今回、20年ぶりくらいに、全曲見直してみまして、他にもいいのがいろいろあるなあと思った次第。でも、やっぱり「雪女」と 「耳なし芳一」が双璧のような気がします。

作曲者のノルドグレンが外国人であるとはちょっと信じられない。それはまた小泉八雲が外国人であるとは信じられない、ということに通じるものでしょう。 二人とも、日本人以上に、日本人の感性、日本の美、というものをよく知っているような気がします。

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