あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

大村典子ピアノピースセレクション2  歳時記 B       音楽之友社

 15年ほど前にフィーバーした大村典子さんの編集した曲集。ソロ用と連弾用が18冊ずつあるのかな。今でもよく売れているようだ。大村さんは現在どこぞの大学の先生をなさっている(音楽に関係のない)そうな。今回検討するものは「歳時記」と銘打たれたシリーズのB(バイエル終了~ソナチネ程度)。

番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 F.バッハ  9  A 
 2 ひな祭り 名倉あきら 10  C
 3 蝶々 コンコーネ 11  C
 4 ひばりの歌 チャイコフスキー 10  C
 5 つばめ コンコーネ 15  B
 6 夏のバラ ハック  8  B
 7 組曲”夏” 三宅榛名 10  C
 8 蟹の散歩道 三善晃 10  B
 9 大雷雨 ブルグミュラー 13  B
10 夏の夜のハバネラ 平吉毅州 13  A
11 ぶどうつみの歌 グルリット  8  B
12 秋のセレナーデ 兼田敏 12  B
13 落葉のさざめき コンコーネ 13  B
14 冬の山の気分です 兼田敏 10  C
15 サンタクロースのお爺さん シューマン 14  A
16 おおみそか シューマン 11  C
17 お正月変奏曲 三宅榛名 10  C

1.Minoreの左手にLegatoの指示があるが、non legatoでもいいと思う。三部形式ABAのAの部分1回目と2回目にわずかながら差異がある、意図的なのか単なる不注意か不明。

2.名倉あきらさんの「少年時代の想い出」より。なお編者の手は加わっていない。右ページ4段4小節目最初の右手2とあるが4の方が易しい。他にも同音の指は色々と考えられる。

3.右手旋律のメロディーのレガートをどこまで厳密に要求するかで大分難易度が変わる。ペダルに任して構わないというのであればそんなに難しくない。

4.私の持っている全音版とは指使いとペダル記号が異なっている。依拠している版が違うのか、編者による修正が入ったのかは不明。

5.アルペジオのエチュードであると思われる。解りやすいということでBにしたが、さほど深みのある曲ではない。

6.Tempo di mazurkaとあるが、余りマズルカっぽくはない。

7.「朝」「ひるさがり」「夜」の3曲からなる。私は「夜」が一番いいと思う。

8.この曲に限らず、三善作品は譜面づらより難しいものが多い。

10.閻魔帳32に記載。

12.色々と弾きにくい曲です。手の小さい子はやめた方がいいかも。

13.最初の右手の指は、中声を222として3にするのか、下のDを離して212とするのか、判然としない。

15.このサンタクロースはいわゆる「サンタさん」ではなく「なまはげ」のようなものだという研究結果が、丹羽先生のホームページ(リンク)にあります、納得できます。2~3小節目の左の指、12としているのは、強いアクセントが欲しいからですが、42,43でいいと思います。2ページ1段4小節目最後の左手3は何かの間違い、多分1。

17.長いというかくどいというか・・。2ページ2段4小節目の右手の妙な指使いは、左手と揃えたものだと思われるが、普通に321でいい。

総合評価  C+

 私、このシリーズは10冊くらい持ってるんですが、記憶ではもう少し高い評価だったと思う。たまたまやや劣るものを選んでしまったんですかね。そのうちにもう一冊調べてみます。

 このシリーズがブレイクをしたのは、大村さんがヤマハ、そして音友から紹介されて著書がベストセラーになったこともあるが、これまでの併用曲集に含まれる曲が、ほとんど同工異曲のものばかりであったというところが原因であろう。確かにこのシリーズには普通のピアノの先生が目にしたことのない曲が半数以上も含まれている。その中に新たにピアノの先生がレパートリーに加えたいと思うものも相当数含まれていたことは間違いない。

 ただこの巻についていえば、そういう目新しい曲でこれというものはない。

 このシリーズが皮切りになったというわけではないが(他にも時々目新しい曲が含まれているものは出ていた)、これ以降、ピアノの先生の選択肢が一段と拡がったという気はする。その意味では歴史的な役割を果たしたシリーズなのかもしれない。

 なお大村さんは編集をしただけで、楽譜そのものには手を加えていないようである。

 私の個人的には、ソロよりも連弾の方が役に立ったという記憶がある。

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