あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ショスタコーヴィッチ 24のプレリュードとフーガ Op.87

ショスタコーヴィッチの代表的作品。バッハ以降では最も充実した24のプレリュードとフーガ、かもしれない。

番号 調性 難易度 推薦
 1  C  20  
 2  a  24  
 3  G  24  ☆
 4  e  23  ☆
 5  D  19  
 6  h  21  ☆
 7  A  20  
 8  fis  23  
 9  E  18  ☆
10  cis  22  ☆
11  H  23  ☆
12  Gis  25  ☆
13  Fis  23  ☆
14  es  20  ☆
15  Des  25  ☆
16  b  20  ☆
17  As  24  ☆
18  f  21  ☆
19  Es  20  
20  c  19  ☆
21  B  24  
22  g  22  
23  F  21  
24  d  25  ☆

1.穏やかに始まりながら、この曲集が一筋縄ではいかないことを暗示しているかのようなプレリュード。それに比して、最後まで比較的平易な フーガ。

2.プレリュードはエチュード風。フーガはショスタコにはよくある道化的な感じ。

3.プレリュードは長調でありながら一種重く不気味な雰囲気を持つ優れモノ。フーガの方が軽い。

4.3番のプレリュードとテーマがよく似ている。途中ハッとする美しい箇所がある。フーガは悲しみを秘めて穏やかに始まり、後半fになるが それでもある種の穏やかさを保っている。絶叫型の音楽ではないということだ。

5.この曲集の入門にはいい。ただ、あまりショスタコらしくはない。

6.あらわされている感情に近代的韜晦さがないので分かりやすい。フーガは4声だが、4声同時に鳴っているところはほとんどないので、易しい。

7.フーガはその音のほとんどすべてが和声音のみからできているという特異なもの。ほとんどお遊びで作ったのかもしれない。

8.近代的不安という言葉がぴったり。

9.プレリュードはほぼユニゾン。フーガは2声、曲集中最も易しいかも。

10.遠い呼び声というイメージかな。フーガは10度が届かないと綱渡りを強いられる。

11.音楽的にはプレリュードの方が近代的晦渋さがある。フーガは音楽的には割と単純だが、テンポによっては技術的にかなり難しくなる。

12.前半の締めということで気合を入れて作ったか、難解にして長大なフーガ。

13.フーガは5声。音楽そのものはわかりやすいが、内声をどちらの手で処理するか十分検討しなければならない。

14.プレリュードの方が深刻。フーガはすでに悲劇は終わり、悲しい風がさらっと吹いているというような感じで。

15.フーガはかなり難解、指示速度は間違いかと思うくらい速い。

16.平易。フーガは構築的というより、即興的。

18.淡々と弾くのがいい。

19.不安、という言葉がぴったりのフーガ。

20.暗くまた長いが、ある意味平易。この曲集の入門にはいいかも。

21.速さにより大分難易度は変わる。指定速度は激ムズ。

22.プレリュードは焦燥感という言葉がぴったり。サスペンス映画のBGMに使えそう。フーガはやや難解だが、これも雰囲気は 暗い。

23.絶対手が届かないというところが何箇所かある。

24.プレリュードとフーガが同じテーマである。フーガの後半に新たな主題が出て、やがてオクターブの連続となる。音楽的にさほど難しくはないが 技術的にかなり難しい。

あとがき

ショスタコーヴィッチは20世紀の巨人の一人。ソ連のスターリン時代という弾圧期に生きたため、その作風も当局との妥協を強いられた。 ただ、逆に、それが他の20世紀の作曲家のような独りよがりに陥ることなく、ある種の分かりやすさを保持できる遠因にもつながったということもできるような気がする。

膨大な作品があるはずだが、日本にその全貌はまだ紹介されていない。しかしこの24のプレリュードとフーガが、彼のピアノ作品中の 最右翼に位置するものであることは間違いない。

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