あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

有馬礼子 風のダンス   音楽之友社

昭和46年初版というから40年近く前である。今もまだカタログに残っている。有馬さんはこれが2冊目になるが検討してみよう。 作者は多少練習曲っぽいことを意図していたのだろうか、各曲に○○の練習と記されている。

番号 曲名 難易度 評価
1 重音の練習 小犬のいたずら  7  C
2 2連符と3連符の組み合わせの練習 落ち葉のささやき  8  B
3 スラーとスタッカートの練習 よちよちあひる  7  C
4 2/4拍子と3/4拍子の変化の練習 ある日のこと  7  C
5 左手のメロディを出す練習 花つみ  7  C
6 日本の音階の練習 むや(撫養)のこもりうた  7  C
7 ペダルの練習 ニャンコのまど  7  C
8 左手シンコペーションの練習 ひとりぼっち  7  B
9 左手3度下行の練習 森のうさぎ  8  A
10 左手のはやいアルベルティバスの練習 鳩時計  7  B
11 右手音階とトリルの練習 風のダンス  7  A
12 連打の練習 小さなプレイヤー  7  C
13 左手を大きく広げる練習 あられのダンス 10  B
14 複合リズムの練習 ふるさと 10  B
15 2拍子と3拍子の食い違いの練習 秋の散歩道  7  A
16 和音が次々に変わる練習 わんぱく坊主  7  B
17 付点の練習 スキップ  8  C
18 左手と右手の3連符のやり取りの練習 川の流れ  8  B
19 白鍵と黒鍵のつかみ方の練習 はにわの踊り  9  A
20 メロディを弾きながら和音をつかむ練習 沖縄のタンブリーノ 10  A
21 シンコペーション・リズムの練習 夏のあらし  9  B

1.重音は難しいのだが、難しくならないように配慮されている。

2.さりげなく美しいが、20小節目は何かの間違いかと思ってもしまう。

4.1番、2番かっこおよび同型の形の左の上の音は右で取るほうがいい。

5.中間部は音価が異なるので注意。なぜこういう書法にしたのかは不明だが。

7.指示どおりに踏むと、少し濁る。少なくともペダルの入門曲としては推奨しない。

9.子供は喜ぶが、少なくとも教師は指使いをある程度最初に指示してやらないと、たぶんお手上げになる。

11.表題作だけあって、最もできがいいと思う。左でがほぼ同一音型、その分易しい。

12.これはかなり練習曲っぽい。

13.左53で5度が無理なく抑えられる手の大きさがないと苦しい。

14.右手が3/4、左手が6/8。ここは、意識的には8分の6を感じながら、ふるさとを歌う、ということだろう。左を4分の3の変則のリズムと考えた方が 易しいのだが、それは作者の意図にたぶん背く。

15.作者も書いているが、ベースは3拍子。

16.面白いといえば面白い。

18.これも練習曲っぽい。

19.面白い曲だが、手が大きくないとソプラノのレガートが不可能かもしれない。

20.これも手が大きくないと、ほとんど不可能だろう。

21.かなり派手。リズム的に複雑だが、子どもはむしろ得意かな。

総合評価     B

印象はあまりよくない、BマイナスかCくらいかと思っていたのだが、表を見直してみるとAが5曲もあるし半数くらい使えそうだし、 ということでBに急きょ変更。

印象が悪い理由は、前半に見るべき曲がほとんどないからである。

後半、難易度が上がると、優れた曲がでてくる。ただ、この人の場合、手の大きさにあまり顧慮していない。子供用の教材としては少し使いにくいかもしれない。

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