あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ピアノ名曲選集 1 金沢孝次郎編      音楽之友社

 昭和33年に出た本ですから40年以上も前の本ですが、今なお店頭で見かけます。私のはぼろぼろになった古い本ですがほとんど中身は変わっていないと思います。こちらが指摘した部分で修正が行われていましたらご連絡いただけると有り難い。金沢孝次郎先生は私一度だけお目にかかったことあります。

番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 ソナタ K.159(L.104) スカルラッティ  13  A
 2 ガヴォットと変奏曲 ラモー  17   A
 3 ダカン  15  B
 4 ロンド デュセック    14  B
 5 田園変奏曲 モーツアルト  18  C
 6 エコセーズ ベートーヴェン=ブゾーニ  15  A
 7 トルコ風ロンド ブルグミュラー  12  A
 8 スイートホーム変奏曲 ランゲ  16  B
 9 ワルツ第二 デュラン  15  B
10  子鬼の踊り グリーグ   9  A
11 ホフマンの舟唄 オッフェンバック  15  A

1.もちろん原典には強弱記号もアーティキュレーションも一切ない。この解釈でもいいと思うが、少なくとも先生は他の解釈もあり得るということは知っていなければならない。私は冒頭部分は全部スタカートで弾きます。bのトリル4つになってますが6個入れればきれい(やや難)。右ページ5段2小節目最初の右手CEとなってるが、原典はCのみ。ロマン派風のクレシェンド、ディミネンドをつけないように。

2.これも原典はそっけないものです。この楽譜は金沢さんが実用に書き改めたものか、他の版から拾ってきたものか(後者だと思うが)分からないが、大分改変があります。テーマの装飾音は大半省かれているし、アルペジオは上行ではなく下行です。
第1変奏 5段目最後の右手Gisがあるが、原典はG。
第2変奏 アルペジオは最後だけ、そして下行。
テーマの装飾音の多さから察して、通常弾かれているよりはるかに遅い曲のはずです。ただこの曲の原典版はこの時代の装飾音に対しての深い知識がないと、とうていそのままで弾くことは出来ないでしょう。より原典に忠実な実用版が出ないものかと思う(近年どこかから出たような気もする)。今のところこの版を使うのもやむを得ないかという感じ、とりあえずクレシェンド、ディミネンドを全部省いて。

3.少し短くした版がバロックアルバム2にあります。これもデュナーミクは一から考え直すこと。最初の右は2の方が易しい。

4.長い、発表会用。5段3小節目からの左手の指、いらぬ工夫、かえって弾きにくい、最初21でいい。

5.30年前からずっと疑問に思っていたが、未だに解けない。モーツアルトにこんな曲あったの? この曲の正体をご存じの方がいたらお教えいただきたいものである。

6.2ページ1,2段の右手16分音符はターン、4音になっているが5音でもいいと思う。4ページ4,5段の右手も同じくターン、このリズムは全体のテンポが速い場合、最初を8分、残りを3連でもいい。

8.サロン音楽です。

9.デュランのワルツはやはり1番がよろしい。

10.叙情小曲集の第4番。

11.スピンドラー編曲とある。ピアニスティックないい編曲です、うまく弾くのはやや難しい。

総合評価   B

 結構いい本です。評価Aにならないのは、つまりこの本の編集目的である「なかなか手に入らない貴重なもの」という前提そのものが大分薄れてしまっていると判断されることが大きい。

 私の知る限りこの本でしか入手できないのは5曲だけです(私が知らないだけだろうからもう少し少ない可能性が大)。その中で評価Aの曲は最後のホフマンの舟唄だけ、これにしたっていい編曲ですが、このレヴェルになれば編曲ものなど使わずともいくらでも曲はあります。ということでこの本が出た当座ほどの価値はなくなってしまいました。

 バロックから古典派までの堅いもの、そしてロマン派のサロン音楽という選曲。非常にオーソドックスと言える、無難と言えば無難、面白くないと言えば言えるが、それはほとんど難クセに近いかな。

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