あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ファニー・メンデルスゾーン 歳時記  岡坂恭子校訂・編集  福田楽譜

ファニー・メンデルスゾーンは有名なメンデルスゾーンの姉、女性作曲家のパイオニアとでもいうべき人物である。 その代表的作品である「歳時記(Das Jahr)」が岡坂恭子さんの校訂により、福田楽譜という出版社から出されている。

曲名 難易度 推薦
1月 ファンタジー 19  
2月 スケルツオ 21  
3月 プレリュードとコラール 22  
4月 カプリチョーソ 21  
5月 春の歌 18  
6月 セレナーデ 19  ☆
7月 16  
8月 21  
9月 20  
10月 23  
11月 メスト 20  
12月 22  
後奏 コラール 16  

○1月 自由に書かれた即興的作品、これ以降の作品の主題があちこち姿を見せているらしい、アタッカで 2月に続いている。和声的には弟よりよほど大胆な書法のような気がする。

○2月 49小節左4拍目前のト音記号が落ちてる。熱狂的に速く弾くのだろう、かなり難しくなるが。 派手で面白いのだが、微妙に荒削りな部分が感じられる。

○3月 コラールといっても結構派手。弟よりピアノはうまかったのかもしれないと思う。

○4月 極めて自由に作られている、5月にアタッカ。

○5月 さすがに同名の弟の作品にはひけを取りそうだが、これはこれで美しい春の讃歌。

○6月 ほかに比べて特に優れているというわけではないが、よくまとまっているような気がする。

○7月 速くすると難しくなるが、多分それほど速く弾くものではないだろう。

○8月 曲集中もっとも大規模な曲。ほとんど即興的に作られているような感じ。

○9月 いい曲なんですがねえ、この曲に限りませんが部分的に不満な箇所、まだ推敲の余地があるのではなかろうかと 思われるところがあるのよねえ。この曲なら24~28小節あたり。

○10月 これも大規模な曲。8分の6に変わるところでは、おそらく8分音符がそれまでの3連符と同じ速さなのだろうが、 そうするとかなり難しくはなる。

○11月 ペダルを3,6拍目で上げないとまずい箇所が多い。

○12月 冒頭の3度トリルが結局一番難しい。

○後奏 静かに全曲の幕を下ろすのだが、これ単独で弾くことはちょっと考えられない。

あとがき

ロマン派の作曲家というのは山ほどいて、現在生き残っているのはそのうちの氷山の一角なのである。で、この ファニー・メンデルスゾーンも最近掘り返されてはいるものの、脚光を浴びるというほどではない。

思うに、やはり曲自体の完成度がやや劣るという気がします。ある意味これは仕方のないことで職業的作曲家でない以上、どうしても推敲に推敲を重ねるということをしなかったのでしょう。

それにしても、書法的には弟よりずっと大胆だし、ピアノの腕前も弟よりうまかったのかもしれないと思わせるような作品集です。たとえてみれば、磨ききっていない宝石とでもいうべきか。

形式的に整っていない作品が多い。ほとんどすべてファンタジーと名づけて差し支えない曲ばかりです。 そういう才にはやや欠けたのか、そういう必要を認めなかったのか、おそらく後者でしょうが。

シューベルトの即興曲などより、よほど本当の意味での「即興曲」に近い感じはあります。

女流作曲家の嚆矢という点で、今後とも折りに触れ話題には上る人でしょう。先生は、メンデルスゾーンのお姉さんも作曲家だったのよと、このうちの一曲をさっと弾いたりしたら、ちょっとかっこいいかも。

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