あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

フィビッヒ 気分、印象と思い出  全音楽譜出版社

フィビッヒは19世紀後半のチェコの作曲家。600曲以上のピアノ曲を残した。「気分、印象と思い出」は本来は 376曲から成り立っているが、30曲からなるその選集が全音から出ている。

番号(原番) 曲名 難易度 推薦
 1(139) ジョフィーン島の夕べ 16  
 2(105) 足音の後で 14  
 3(221) 幸せの余韻 16  
 4(14) カレル橋の彫像 14  
 5(151) 夕べの祈り 15  
 6(283) 歴史のヒロイン 19  
 7(123) へディの愛 14
 8(124) 優しさのかげに 15  
 9(227) 王様騎行 19  
10(17) 森の奥に 13  
11(19) 火薬塔 20  
12(3) 哀しみのララバイ 11  
13(145) 新しい季節 14  
14(158) モルダウのつぶやき 14  
15(8) 黄昏の古都 14  
16(161) アルプスの少女 13  
17(183) アネシカの肖像 19
18(36) ロレッタ教会の鐘 14
19(85) ときめき 15  
20(349) 民族衣装 20  
21(24) 心の距離 14
22(198) 水辺の語らい 16  
23(297) シャールカの謎 19  
24(50) 風のゆりかご 13  
25(54) マリオネットの嘆き 13  
26(94) 天女の舞 17  
27(368) アッター湖の嵐 22  
28(350) ヴィシェフラト墓地 14  
29(268) アンダルシアの女 23  
30(358) シナゴーグの中で 24  

1.美しいが、あまりにも短いという気はする。

2.やや暗い静けさをたたえた曲。音域の広いアルペジオがちと難しい。

3.ゆったりと。転調がややユニーク。

4.これは割りと単純な曲。

5.美しい佳品。

6.やや劇的に。

7.しっとりと美しく。推薦マークはまったく私の個人的趣味。

8.まあ、標題と音楽の関連が解り易いといえば解り易い。

9.割と派手な曲。ある程度の手の大きさが要求される。

10.意外な転調がある。森の奥には意外なものが潜んでいるんでしょう。

11.曲名の意味がよく解らぬが、派手な曲。オクターブの連続、連打等、指示テンポではかなり難しい。

12.痛切に弾くか、割と淡々と弾くかは解釈の分かれるところ。

13.おおらかというか、スケールの大きな感じで。

14.スメタナの「モルダウ」ほどではないが、これもなかなかいい曲。

15.分厚い和音がつまり古都の歴史の層、とでも言うべきものの象徴ですかねえ。最後のアルペジオに 面白い工夫がある。

16.これは単純。

17.中間部終わり、左手の10度になるAは右手で取った方がいいだろう。

18.豊かな愛情に満ちて、という感じ。

19.agitatoなんだが、速すぎないように。

20.かなり派手。

21.陰鬱に。

22.穏やかに。手が大きくないとやや困難。

23.短調と長調が交互に現れる。少し短すぎる気もする。

24.短いが強引な転調を繰り返す。

25.割と単純。

26.右手の装飾音はきわめて軽く速く弾かないと。左の32分音符と同じ速さになるようではまずい。

27.かなり派手、微妙に弾きにくい箇所あり。

28.暗いというよりは、静かに懐旧にふけるという感じ。

29.スペイン風。かなり難しい。

30.大規模な変奏曲。この本に収録されたものの中では最も難しいが、それでも書法はやや単純。

あとがき

フィビッヒの作品はこの曲集によって、初めて日本に紹介されたわけだが、解説にもあるようにチェコのロマン派の3人衆の一人という位置づけになるのであろう(あとは、スメタナとドヴォルザーク)。

ロマン派も後期ということもあってか、書法はやや複雑で、非和声音が多く転調も時々強引なものがあるので、 少々譜読みが難しいかもしれない。

ピアノ教師にとっては、この作品集はメンデルスゾーンやグリーグの小曲集と似たような位置づけになるだろうが、そして平均的な出来栄えはそれらと比べてさほど劣るとも思われないが、ただ決定的に違うのは、誰の心にも残るというような傑作がないということであろう。

メンデルスゾーンで言うなら「詩人のハープ」クラスの作品はあるが、「春の歌」クラスの作品がないのである。

推薦マークはまったくの主観であり、またちょっと数が少ないという気もする。20曲以上は充分教材として使用できる作品であるが、つけすぎるのもなあ、とためらって、結局あまりつけなかった。このクラスの難易度になると、他に山ほどいい作品があるということもあって。

教師は一通り目を通しておいたらいい。こういう微妙に陰影のある作品は大好きだという人もきっといるだろう。

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