あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

キャサリン・ロリン ビギナーから楽しめる14の小品 ピアノ de プレリュード  全音

 ギロックの叙情小曲集が日本で出版されたのはもう大分前のことだが、今や「日本ギロック協会」なるものまであるらしい。そのギロックの仲間という人たちの曲集が全音から何冊か出ている。その中で最近よく耳にするキャサリン・ロリンなる人の作品集を取り上げてみた。

番号 調 難易度 評価
1-1 イ短調  7  A
  2 ハ長調  6  A
  3 ニ短調 10    B
  4 変ロ短調  7  A
  5 変ホ長調  7  B
  6 ロ短調  8  B
  7 変ニ長調  9  B
2-1  ト短調  8  B
  2 変ロ長調  8  C
  3 ニ長調 10  C
  4 変イ長調  8  B
  5 ホ短調 13  B
  6 ヘ短調  7  B
  7 イ長調 11  B

1.もうお終い? という感じ。

4.変ロ短調に慣れさせるにはいい教材。個人的にはこの曲の終わり方は好きではない。

6.7小節目左543221とあるが、543321or543212の方がいいでしょうね。

7.こういうのは割としい。

2-2.シューベルトのOp.90-2の練習になる?

2-6.triplets continueを(三連符同様に)と訳してあるが、一瞬どういうことかととまどう。三連符と同様にの間に読点を入れるか、意訳して(以下、同じく三連符)としてもらいたい。

総合評価   B

 一言でいえばなかなかいい本です。ただし本家筋?のギロックには少し劣るかなというところ。

 やや練習曲的な色彩が強い。(曲がつまらないという意味ではない、同じパターンの繰り返しが多いという意味)

 非常にピアニスティックに書かれていて、その意味ではすべて安心できる曲が並んでいます。(安心できない曲があるのかって? よくあります、特に編曲ものに。与えるとかえってこどもに悪影響を与えかねないというものが) 

 教師には使いやすい本です。

 対象年齢はやや大きい。まずペダルは必須。オクターヴも届く方が望ましい。

 クラシックというよりセミ・クラシック、ロマン派の入門にはもちろん、書法はむしろポピュラー曲の入門に適しています。

 いいことばかり書いてあるのに何でAとちゃうねん、それはですね、収録曲が大げさにいうと結局皆同じに聞こえてくるのです。ギロック、ブルグミュラー、あるいは「こどもの国」「虹のリズム」等に比較して、曲想の変化に乏しい。良い曲集ですが、私としてはこれを全曲生徒に使う気にはなれないのです。

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