あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

大村典子ピアノ・ピース・セレクション 世界のお国めぐりC   音楽之友社

当会では何冊目になるんですかね。グレードCでは2冊目ですか。息の長いシリーズです。一旦ここで止めます。 もっと調べてほしいということでしたら、またリクエストください。

番号 曲名 作曲者 難易度 推薦
 1 メヌエット 滝廉太郎 12  
 2 選帝侯ソナタ ベートーヴェン 13  
 3 7つのドイツ舞曲 シューベルト 10~12  
 4 トルコ行進曲 モーツアルト 18
 5 エジプトの女 ラモー 16
 6 ジプシーたち レクオーナ 13  
 7 古いプロヴァンスのクリスマスカロル リスト 14  
 8 インドの歌 リムスキーコルサコフ 12  
 9 スペインの歌 アルベニス 21
10 アマゾンのワルツ 第3番 レベッロ 14  
11 ブラジルのマシェシイダンス ナザレ 17
12 オデオン ナザレ 16
13 ハンガリー舞曲 7番 ブラームス 18
14 ”懐かしい故郷の人々”変奏曲 フォスター=ミーチャム 19
15 香港のラッシュアワー チェーシンズ 20  
16 ピアノによるお江戸日本橋 奥村一 14

1.日本における最初のピアノ曲らしい。習作というほどではないが、傑作でもない。歴史的に興味をもたれる作品 というにとどまると思われる。

2.選帝侯ソナタ1番の1楽章。はっきり言って子供の作品。出だしがちょっぴり似ているデュセックのソナチネOp.20-1 と比べても劣ることは明らかであろう。

3.ドイツ舞曲Op.33(D.783)から2,5,7,13,14,15,16を抜粋。どういう基準で選んだのかは不明。

4.ピアノ教師なら皆知っていることであろうが、ソナタを弾き始めた程度の子供に弾かせられるような生易しい曲ではない。

5.装飾音をつけて鮮やかに弾きこなすには相当の実力が要る。原典版と対照するとバッハにはあまりないフランスバロックの装飾音の 弾き方が解る。

6.珍しい曲、割と単純。

7.「クリスマス・ツリー」の8番。日本版は最近出ていたような気がするのだが・・

8.オペラ「サトコ」のアリア。誰の編曲でしょうね。手が大きければどうということはない。

9.「スペインの歌」は組曲の名前。これはその1番の「前奏曲」(別の組曲で「アストゥリアス」という名前でもある)。 この本の中では最も難しいだろう。

10.微妙にナザレーに似ている、もうちょっとクラシックっぽいか。準推薦くらい。

11.ラテン的明るさに溢れている。schaum編曲とあるので原曲はもう一段難しいのか、ピアノ曲ではないのか。 ちょっと調べてみたがピアノ曲の一覧表にはないようである、ということで本来はピアノ曲ではないのであろう。

12.ナザレの代表作の一つ。速く弾くと相当難しくなる。

13.ソロ版。速く弾くと激ムズになるが、あまり速く弾いても感じが出ないだろう。

14.こういうのは多分アメリカでプロのピアニストがアンコールで弾くと喝采を受けたもの。解りやすいが深みはない。

15.これもテンポによって大分難易度が変わる。微妙に中国っぽい音使いがある。準推薦。

16.あまり難しくなくかつ演奏効果があり、発表会向き。

総合評価   B+

半分推薦マークが付いているし、その中にはこの本でしかお目にかかれないものもあるからAでもいいんですがねえ。 何でBにしたんだろ。

自分で自分の評価について考えてしまうのもなんだが、選帝侯ソナタなどという習作を含めていて印象が悪かったというのが多分原因の一つ、もう一つは難易度があまりにもばらつきすぎているということであろうか。一番上のグレードだから、ある程度幅があるのはやむをえないが、曲順が難易度とまるで関係ないし、かといって年代順とかあいうえお順とかいうわけでもない、ごった煮のようにでんとおかれていて、ちょっと仕事の最後の仕上げが雑だなという印象があるからかなあ(人のことは言えないんですがね、私も仕事の細部まできちっとやるタイプではないから)。

これまで検討してきた大村さんの本の中では、最も手に入れておくだけの価値がある本であることは確かだろう。

極めて珍しい曲に推薦マークが付いていない。これは私自身がピアノ教師として老化しつつあり、目新しい曲にあまり反応できなくなってしまっているという可能性がないわけでもない、ということは書いておかねばなるまい。

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