あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

木下牧子  不思議の国のアリス   カワイ出版

木下牧子さんの「不思議の国のアリス」を取り上げます。木下さんは合唱曲の作曲家として有名な方ですね。 ピアノ曲は他にもあるようですが、私は存じません。

番号 曲名 難易度 推薦
 1 木かげのアリス  7
 2 白うさぎを追って 10
 3 涙の水たまり 11  
 4 ドードー鳥とおかしなレース 13  
 5 イモムシの忠告 14  
 6 笑う猫 15  
 7 お茶会は続く 16  
 8 女王とクロケット大会 17  
 9 裁判は大さわぎ 18
10 夢のあと 11  

1.初めは何の気なしに始まって、段々調子が出てくる感じ。

2.ある程度速く弾きたいがそうすると大分難しくなる。半音階の練習にもなる。

3.題名との関連はもう一つ解りにくい。

4.面白いと言えば面白い。指が回る子の発表会用に良い。

5.怪しい雰囲気がある。トリル・トレモロの練習になる。

6.「誇張気味に個性的な演奏をしろ」とあるが、そういうことをせずとも個性的な曲になるべきなのが望ましいと思うのだが・・。

7.難しいというより長い。うまく弾けば映えるが相当鮮やかに弾きこなさないとだれる、

8.この方はどうも半音階がお好きなようですな。そうじゃないところの方が面白いが。

9.この本で一番難しい。芋虫やらドードー鳥なども出てくる。

10.不思議な夢を見て、一段大人になったということなんでしょうか。

総合評価   B+

評価は非常に迷った。Aにすべきかどうかでである。

Aにしなかったのは私の好みでないから、という可能性がある。つまり私は自覚しているが結構ロマンティックなものが好きなのである。 で、そういうものが一つもない。しかし曲として客観的に評価した場合、もちろんロマンティックでないということが 減点対象になるわけもない。で大いに困り迷ったのであるが、評価が好みに影響されている可能性があると認めながらも、 自分に正直に、Bにとどめておくことにする。

近代フランス6人組と同じように、意図的にロマン的表出を避けた可能性は高い。私の経験では、男性の方が本質的に女性よりロマンチストである。理知的な女性(女の子)は大いに喜ぶ可能性がある。

半音階を偏愛する傾向がある。

木下さんの作曲家としての腕前は合唱曲で私は充分に認めかつ尊敬しているが、この曲集全般を通して眺めてふと思ったことは、 ひょっとしてこの方は調性の差異による微妙な色彩感覚の相違を実感できない方なのだろうか、(絶対音感をお持ちではないのだろうか) ということである。結局10曲とも色彩的には同系色というかモノクロのトーンばかりなのである。フラット3つ、4つあたりの甘い香りが全く漂わなかったということも 私の評価を下げた一因にはなっている。それとも「不思議の国のアリス」を作曲するということで意図的になされたものなのであろうか(その可能性も充分にある)。

一曲一曲が長く、発表会向きのものが多い。推薦と非推薦の間にそれほど差があるわけではない。同じ色彩の作品が続いたのでこちらが飽きてきて評価が下がったという可能性が大いにある。どの曲も水準以上である。

先生は持っていると役にたつ。生徒に普段使うのはしずらいかもしれない。

難易度は「ソナチネの終わりくらいまで」と書いてあるが、ソナチネの終わりくらいでは多分半分も弾けない。

トップへ戻る   1つ上に戻る

© 2015- 田所理央 ご意見・ご感想は t.masato@mathemarimo.bird.cx までお願いいたします。