あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

こどものためのピアノ曲集 野平一郎 <音の旅>  音楽之友社

野平一郎さんの「音の旅」を取り上げる。昭和60年にムジカノーヴァに連載されていたものである。

 
番号 曲名 難易度 推薦
 1 はじまり  9  
 2 子守歌  9
 3 汽車の旅 10  
 4 メリー・ゴーランド 11  
 5 スペインのうた Ⅰ  9
 6 スペインのうた Ⅱ 10  
 7 カリヨン 10  
 8 フランスのうた  9  
 9 夕暮れの情景 14  
10 憂愁のメヌエット 10
11 チャルダッシュ 10  
12 輪舞  9  
13 シチリアーノ 12  
14 ファンファーレ 13  
15 舞踏会にて 11
16 詩人のお話 10  
17 リズムの遊び 12  
18 小さなエチュード Ⅰ  6  
19 小さなエチュード Ⅱ  9  
20 小さなエチュード Ⅲ 11  
21 11  
22 秋祭り 12  
23 飛行機の旅 10  
24  9  
25 パストラーレ 10
26  7  
27 林の中の散歩道  9  
28 16  
29 さまざまな響き 15  
30 おわりに  8  

1.音の旅の始まり。正統的クラシック調、ややフランス風味か、後半に音のきらめきがある。準推薦。

2.不思議な味わいがある。強く惹かれる人と、嫌いという人に分かれるだろう。使えるのならばペダルを全面的に 使用する方がいい。

3.楽譜に相当細かく指示されている、それを正確に。

4.洗練された味わいがあるが、表現できる人は少ないかもしれない。

5、6.続けて弾かれる。5は解りやすい。6は速く弾き過ぎないように。

7.題名どおり、鐘が鳴り響いている音楽。

8.さらりと弾く。水彩画という感じ。

9.無調かな、相当出来のいい子向き。

10.「憂愁」の感情を深く追求するというのではなく、その周囲を巡るという感じ。憂愁が姿を見せたり隠れたり 、というあたりがフランス的とでも評すべきものなのだろう。最初の繰り返しだけはつけるべきか。レッスンには長すぎるかもしれない。 ただ発表会でうけるには相当の音楽性が要る。

11.これは短い。うまく弾けばあっという間に終わる。準推薦。

12.あまり一般受けはしなさそう。

13.完成度は高いように見受けられるが、やや難解な印象あり。準推薦。

14.完全に現代。面白いと思う子もいるだろう。

15.うまくはぐらかすような、やや気まぐれなような、しかしおしゃれなワルツ。

16.淋しいお話なんでしょう。準推薦。

17.子どもは慣れてしまえばリズムそのものは楽にこなす、読譜の方が問題だろう。

18.難しいのは真ん中の対位法になっている箇所だけ。後はごく易しい。

19.3連と8分のリズム練習。

20.左右の受け渡しの練習。速く弾くと結構難しい。

21.次々と転調していくのがつまり「夢」の移ろいか。譜面面よりは難しいと思う。準推薦。

22.部分的に複調。笛の音が調子っぱずれに響く。これも準推薦。

23.これは比較的分かりやすいか。「飛行機」というイメージはあまりしないが。

24.さらりと弾いて味わいを出す。5段目最初のBは左で取る方が良いと思う。

25.不思議な透明感に溢れた曲。ペダルは全面的に使う方がいい。

26.物寂しい冬です。あまり速くなく、しっとりと。

27.これも速くなく。見た目より易しいかもしれない。

28.正直、私には良く解らない。

29.これもいまいち良く解らない、前曲と並んでやや前衛的な曲。

30.微妙に1番と照応している。準推薦。

総合評価   B

微妙に三善晃さんの「海の日記帳」に似ているという印象を受けた。

あちらほど晦渋ではない。その意味使いやすいといえば言える。

ただし、やはり良い意味で子どもに迎合したような作品が全くない。推薦も準推薦もそうでないものもほとんど紙一重 の差のような気はする。使おうと思えばほぼ全部使えるが、相当センスの良い子向きであろう。

完全にクラシック、そして新しい音の使い方を「勉強する」という感じで使用することになる。そういう観点の教材を探している先生にはちょうど良い。

普通の生徒に使うと、微妙な音のニュアンスの変化を感じ取れるように成長するか、その前に面白くなくなって挫折するかのどちらかになりそうな気はする。

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