あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

うたう指づくり ピアノ名曲レパートリー 3  原田敦子編  ヤマハ

構成は変わらない。中級用ということで、普通の先生なら半分以上はすでに知っていると思うし、生徒にしたって 色々と大作曲家に取り組み始めると、当然それぞれの曲集を手に入れるわけで、やはり半分以上は重なってしまうでしょうね。 他に入手困難な曲をどう評価するかがポイントになりそう。

グループ 番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 タンブラン ラモー 12  B
 2 アレグロ 組曲第2集8番より ヘンデル 14  B
 3 プレアンブルム 924 バッハ 11  A
 4 プレリュード 926 バッハ 11  A
 5 プレリュード 937 バッハ 13  A
 6 プレリュード 938 バッハ 13  A
 7 ガヴォット イギリス組曲3番より バッハ 14  A
 8 ソナタ L.413 スカルラッティ 14  A
 9 6つの変奏曲 Hob17-5 ハイドン 13  B
10 ソナタ F.55 チマローサ 12  B
11 ソナタ K.545 モーツアルト 14  A
12 ソナタ K.281 2楽章 モーツアルト 16  A
13 ソナタ K.282 2楽章 モーツアルト 15  B
14 ソナタ K.282 3楽章 モーツアルト 17  A
15 「うつろな心」による6つの変奏曲 ベートーヴェン 15  A
16 バガテル Op.33-2 ベートーヴェン 15  A
17 バガテル Op.119-1 ベートーヴェン 11  A
18 バガテル Op.119-9 ベートーヴェン 10  A
19 36の独創的舞曲より 2,3,14,22 シューベルト 10~12 A~C
20 20のワルツより10番 Op.127-10 シューベルト 12  B
21 狩人の歌 メンデルスゾーン 18  A
22 信頼 メンデルスゾーン 12  A
23 ヴェネツィアの舟歌 Op.30-6 メンデルスゾーン 12  A
24 ドイツ民謡による変奏曲 ショパン 21  B
25 ノクターン 遺作 c ショパン 14  B
26 プレリュード 6 ショパン 13  A
27 プレリュード 7 ショパン  9  A
28 ワルツ Op.64-1 ショパン 16  A
29 幻想的な舞曲 Op.124-5 シューマン 13  B
30 オルガニストより Cまたはcの7つの小品 5番 フランク 11  B
31 オルガニストより Eまたはeの7つの小品 6番 フランク 12  C
32 ムソルグスキー 11  B
33 ひばりの歌 チャイコフスキー 13  A
34 アリエッタ グリーグ 12  A
35 ワルツ グリーグ 12  A
36 楽しいこと Op.17-6 レーガー 11  B
37 おばあさんの話 Op.17-11 レーガー 13  B
38 セーケイの人々との夕べ バルトーク 11  A
39 エチュード ハチャトゥリアン 11  A
40 叙情的ワルツ ショスタコーヴィチ 10  A
41 こもりうた ドリーより フォーレ 10  A
42 協奏曲23 2楽章 モーツアルト 15  A

1.これをなぜBに評価したかというと、手の小さい子どもには教材としては使いにくいという理由でしたが、 曲としてはやはり良い曲ですねえ。Aに変えちゃおうかな・・手の大きい人にはとても良い教材です。

2.装飾音を入れるとそこそこ難しいです。

3.終わりから4小節目のプラルトリラー、指使いを見ると4音入れろということだろうが至難、HCHの3音でいいと思う。

4.八分音符についている装飾音は省略して良いと思う。難易度はその場合のもの。省略しないとなると相当難しくなる。

5.八分音符はノンレガート(テンポによってはスタカート)でいい。にぎやかにチェンバロらしく弾くと良い。

8.16小節目などの装飾音が見慣れない書き方をしてあるが、F音を前に出すという意味ではなく、F音から始めろという意味であろう。 バロックのトリラーを必ず上部隣接音からと決め付けてしまったので、こういう不自然な書き方をせざるを得なくなったということ。

9.変奏曲として、書法がやや稚拙だと思う。子どももあまり喜ばない。

10.美しいが、何となくまとまりがないという感はある。

11.モーツアルトの一番易しいソナタだが、それでもこれをきちんと仕上げるには相当の実力が要る。 1楽章はこの楽譜では独習は苦しそう。2楽章が冗長にならないように。3楽章は速すぎると最後破綻する。

12.K.281ではこの楽章が一番いいと思う。

15.ベートーヴェンの易しい変奏曲では最もよく使われるもの。

16.3度の連続は指使いに検討の余地あり。31,42の連続が一番速く弾けると思う。

17.ベートーヴェン晩年の作品だが分かりやすくて良い。

18.単独で弾かれるのはあまり聞かないが、確かに使おうと思えば使える。

19.5曲入っている。曲名のところには4曲しかあげられていない、1番が抜けている。1曲目が1番、以下2,3,14,22である。 №1、11B。№2、11A。№3、10B。№14、12C。№22,12C。最後の二つ、特に22番は選曲理由が分からない。

20.速く弾くとオクターブの連続が非常に難しくなる。

21.無言歌集は別に買うべきでしょうね。狩りの歌、難易度17に修正の可能性もあり。

22~23.ペダル記号が実際の使用に近いものになっているのが良い。

24.最近余り耳にしないし、そもそもショパンの作品の中では最も価値のないものの一つでしょうが。難易度的にも 難しすぎる。

25.これも収録理由はなんでしょう、普通のノクターン集に収録されていないから、ですかねえ。

27.12小節目の左右分割の仕方を工夫してはいる。(手が大きい人は通常通りのほうが良い)

29.短い。一陣の嵐のように。

30.見掛けほど易しくはない。

31.こちらはまあどうってことはないと思われる。

32.これは全音から近年出たはず。7小節目左3拍目裏、DisになっているがFisの誤り。

33.春を痛切に恋い慕う気持ちでしょうか。

34.淡々と、しかし情感をこめて。

36.やや弾きにくい感はある。レーガーはもう少し難しい曲の方が、彼の作風を理解するうえではいいと思う。 この曲集は、子供用に明らかに配慮している。

37.こちらの方がまだしもレーガーらしい。レーガーはブラームスの跡継ぎといわれたドイツの作曲家ですが、 結局大して有名になれなかったのは、妙に晦渋なところがあるからだと思う。レーガー好きにはそれが魅力なんでしょうが。 ブラームスを一段ひねったような味わいを賞味したい方は「私の日記より Op.82」あたりを手に入れるといいと思います。 ソナチネは一時、良く弾かれていました。

38.これは最近あちこちで見かけるが題名が皆違う。「田舎の夕暮れ」「トランシルバニアの夕べ」

39.現代ものが他に比べて易しすぎると思う。

40.ここに収録してあるということは、原田さんは相当速く弾かせるつもりなんでしょう。すると難易度が1か2上がることになる。 10小節目頭5とあるが3だろう、2拍目の付点四分で1から5の指換え。

41.secondは13。

42.天下の名曲。味わって弾くためには相当の力量ないしはセンスがいる。

総合評価   A-

評価が難しい本。主観的にはBにしたい気持ちもあるが、収録曲自体は8割がたAなんだから、まあ、Aにせざるをえないかな という感じ。

何が気に入らないかといえば、一つはこの本でなければ手に入らない作品・・レーガーが大したことない、ということ。

もう一つは、たとえばモーツアルトのソナタ、545と281,282と入っているが、方針が一貫していないのが見える。つまり例外なしにすべての作品から選ぶ、という方針ならば281,282より良いソナタがいくらでもある。有名どころは収録しない、という方針なら545が入っているのはおかしい。

3点目は、現代ものが少し易しいと思われる。数自体が大分少ないが、たとえばショパンの変奏曲と同時期に弾く曲ですか(まあ、ショパンは逆に難しすぎるが)。現代ものになれていない生徒なら、理解できなくもない。しかし、この本は3冊目なのだから、順を追って使用していれば現代ものにもある程度はなれているはずである。

評価すべき点は、この方はいちいちすべての曲を自分で見直されているようである。指使いが他の版と 異なっているし、微妙な改善があちこちにある。目立たないがきちっと仕事をされている。

このシリーズでなければ手に入らない楽譜というものがほとんどなさそうですので、4巻については、リクエストがあれば検討します。

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