あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ショスタコービッチ ピアノ作品集   全音楽譜出版社 

ショスタコービッチの作品集が全音から出ている。彼の作品はソナタ、24のプレリュードとフーガ、24のプレリュード あたりが有名で、他でまとまった作品集が出たのはこれが初めてであろう。佐々木弥栄子さん校訂。

曲名 難易度 評価
人形の舞曲
 1 叙情的ワルツ 10  A
 2 ガボット  9  B
 3 ロマンス  9  B
 4 ポルカ 13  A
 5 ワルツ=スケルツオ 10  A
 6 手回しオルガン  7  B
 7 ダンス  9  B
こどもの音楽帳 Op.69
 1 マーチ  6  A
 2 ワルツ  5  A
 3 くま  6  B
 4 楽しいお話  9  A
 5 悲しいお話  7  B
 6 ぜんまいじかけのお人形  8  A
 7 誕生日  9  A
3つの幻想的舞曲 Op.5
 Ⅰ 17  A
 Ⅱ 18  A
 Ⅲ 19  A
アフォリズム Op.13
 1 レシタティーヴ 11  B
 2 セレナード 13  B
 3 ノクターン 21  B
 4 エレジー 12  B
 5 葬送行進曲 13  B
 6 エチュード 20  B
 7 死のおどり 16  B
 8 カノン 11  B
 9 伝説 13  B
10 子守歌 13  A
5つのプレリュード
 Ⅰ 12  A
 Ⅱ 15  B
 Ⅲ 22  A
 Ⅳ 16  B
 Ⅴ 15  A
三つの小品
 Ⅰ メヌエット  7  B
 Ⅱ プレリュード  7  B
 Ⅲ インテルメッツォ  9
ムルズィルカ 12  A
陽気なマーチ Op.81 17  A

○叙情的ワルツ おしゃれなワルツ、子ども向き作品といえど決して手を抜いていない。

○ガボット 平明な(新古典的)味わい。

○ロマンス いわゆる「ロマンス」とは微妙に異なる。まあ、近代風ロマンス。

○ポルカ これは名曲。生き生きと。

○ワルツ=スケルツオ 真ん中だけ突出して難しい。

○手回しオルガン 左手がずっと同じ。手回しオルガンとは、まあ大掛かりなオルゴールのようなもの。

○ダンス 「人形の舞曲」の曲の中では一番使いづらいかな。

○マーチ あちこちでよく見かける。この本を見るとショスタコの中で特別優れた作品とも思えなくなるが。

○ワルツ 微妙に叙情的。

○くま 熊らしく弾くこと。ユニゾンはテヌート。

○楽しいお話 現代物に慣れていればもう少し易しいかも。

○悲しいお話 テンポ設定をうまくしないと、「悲しいお話」にならない。

○ぜんまいじかけのお人形 使うのなら最初に指使いを記してやる方がいい。

○誕生日 結構難しい跳躍がある。最初はトランペットのファンファーレ、続いてダンス。どこの王侯貴族の 誕生日やねん。

○Op.5-1 これは子ども向きというよりは一般向きでしょう。相当出来のいいこどもなら弾ける。完璧に現代。

○Op.5-2 これト長調なんでしょうかね? 面白いんだけど、どうも終わり方があれっていう感じがする、 主音なのに属音に聞こえてしまう。

○Op.5-3 3曲の中で一番分かりやすい。オクターブの連続がある。

○レシタティーヴ 「アフォリズム」全体が実験的作品。現代音楽の入門にはいい。これはペダルを使うなとある。

○セレナード amorosoは「愛情豊かに」だが、これは文字通りなのか反語なのか不明。ただショスタコーヴィッチの 無調のものは、微妙に情感を感じさせるので、文字通りかなという気もする。

○ノクターン 最も前衛的な作品。

○エレジー このmestoは文字通りだろう。

○葬送行進曲 跳躍があって譜面面よりはずっと難しい。

○エチュード 中間部の左の跳躍が困難。

○死のおどり これも譜面面よりはずっと難しい。最後に「死の舞踏」のメロディーが出てくる。この曲集では 一番分かりやすいかも。

○カノン 知的遊戯という感じ。

○伝説 これは私にはよく分からない。

○子守歌 この曲集の中で題名と一番マッチしているかもしれない。

○プレリュードⅠ なかなか面白い曲。

○Ⅱ 速く弾きすぎると中声部とベースの間での左の跳躍が不可能になる。

○Ⅲ 激しさ、近代風情熱とでも言うべきものがいる。

○Ⅳ 珍しく随所に調性感がある。

○Ⅴ これは歴然としたヘ短調。

○メヌエット 調性音楽。あまりメヌエットらしくはない。

○プレリュード ショスタコーヴィチ入門という感じ。

○インテルメッツォ 未完。最も簡単に終わらせるのなら、最後の小節と同じリズムで、右手オクターブでAAD。 左、GH、EG、DFis。

○ムルズィルカ ムルズィルカとはマズルカのことらしい。マズルカっぽくはないがなかなか面白い。

○陽気なマーチ secondも難易度17。現代の二台ピアノのいいレパートリーとなる。

総合評価   A

ショスタコーヴィチは20世紀後半の最高の作曲家ですから、大作曲家に含めようかとも思ったのですが、作品があまり整理されていないみたいで、やめたんですよね。この本に含まれているのは比較的易しい彼の作品です。あとソナタ、 プレリュードとフーガ、プレリュードはすでに日本でも出てますが、多分他にそこそこ難しい単品の作品があるのではないかと思います。

で、評価はもちろんA。現代曲の入門には最適かもしれません。

こども向きのものはもちろん調性があります。無調のものも、この人の場合は微妙に叙情的な味わいが残されている という感がします。

先生は必携でしょう。生徒には、どうでしょうね。中級くらいになって現代曲をまとめてやらせたいときに与えると いうことになるでしょうか。

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