あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

うたう指づくり ピアノ名曲レパートリー 1  原田敦子編  ヤマハ

「はじめに」を読み、本全体を俯瞰してみると、曲集というよりはむしろ「教本」に近い種類のものであるといえるかもしれない (たとえばトンプソンの3、4巻あたりに似ている)。同じ原田さんの基礎テクニックシリーズを併用すれば、このシリーズだけで 上級までのピアノレッスンが可能? というのを狙ったのかも。

番号の右横の記号は、編者によるグループ分け。A~Dの順に難しくなっている?

番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 メヌエット テレマン  7  C
 2 ジグ テレマン  6  A
 3 アリア ヘンデル 12  A
 4 ブレ ヘンデル  8  B
 5 シャコンヌ ヘンデル  9  B
 6 プレリュード BWV.939 バッハ  9  A
 7 メヌエット(フランス組曲6番) バッハ 10  A
 8 プレリュード BWV.999 バッハ 10  A
 9 リゴドン ダカン  7  A
10 メヌエット ロカテッリ  7  C
11 フィナーレ(Hob26) ハイドン 10  B
12 ソナタ(Hob.10) ハイドン 10  C
13 ソナタ MS.F34 j ⅩⅣ-3 チマローザ   9  B
14 ワルツ op.38-8 クレメンティ  7  C
15 メヌエット K.1 モーツアルト   7  B
16 メヌエット K.2 モーツアルト   5  B
17 アレグロ K.3 モーツアルト  7  B
18 メヌエット K.5 モーツアルト  8  C
19 アレグロ K.15a モーツアルト  8  A
20 ガヴォット K.15b モーツアルト  9  B
21 ロンドー K.15d モーツアルト  9  A
22 アンダンテ K.15mm モーツアルト  6  B
23 メヌエットの速さで モーツアルト  7  C
24 エリーゼのために ベートーヴェン 13  A
25 コントルダンス WoO14 ベートーヴェン  8  A
26 ソナチネ ハスリンガー  7  C
27 レントラー D734-2 シューベルト  9  B
28 エコセーズ D816-2 シューベルト  7  B
29 レントラー D679-2 シューベルト  6  B
30 ドイツ舞曲 D420-7 シューベルト  6  B
31 ポルカ グリンカ  5  A
32 ソナチネ Op.207-2 シュミット  9  C
33 ワルツ ショパン 13  B
34 メロディー シューマン  6  B
35 兵隊のマーチ シューマン  5  B
36 狩の歌 シューマン  8  A
37 乱暴な騎手 シューマン  7  A
38 はじめての損失 シューマン  8  A
39 ソナチネ ケーラー  7  B
40 ガヴォット ライネッケ  8  A
41 フランスの古い歌 チャイコフスキー  7  A
42 ドイツの歌 チャイコフスキー  8  B
43 イタリアの歌 チャイコフスキー  7  A
44 木の兵隊の行進 チャイコフスキー  7  B
45 野ばらに マクダウェル  9  A
46 農民の踊り バルトーク  4  B
47 ハンガリー民謡 バルトーク  4  A
48 遊んでいる子どもたち バルトーク  4  A
49 遊び バルトーク  6  A
50 子どもの踊り バルトーク  5  B
51 円舞 バルトーク  7  A
52 わんぱく坊や バルトーク  8  B
53 ばらの庭で バルトーク  8  A
54 ユーゴスラヴィア風に バルトーク  5  A
55 トランポリンの上で ハチャトゥリアン  5  C
56 アンダンティーノ ハチャトゥリアン  7  A
57 おかしな出来事 Op.39-7 カバレフスキー  3  B
58 行進曲 Op.39-10 カバレフスキー  4  C
59 昔のおはなし Op.39-14 カバレフスキー  4  C
60 ディヴェルティメント Hob ⅩⅣ-4 ハイドン 12  B

1.もう少しアーティキュレーションを書き込んでもいいと思う。

2.ノンレガートの箇所は、ほとんどスタカートでいい。

3.これは先生がアーティキュレーションを付け加えてやらないと弾けないだろう。ブラームスのアーティキュレーションでいいと思う。

4.8分音符はレガートでいいと思う。

5.原曲は62もの変奏がある。抜粋そのものはよく考えられていていいと思うが、曲目解説欄があるのだから、一言書いておく べきだろう。

6.あちこちでおめにかかるプレリュード。編者の方針で作曲者が定かでないものは収録しないというところから バッハのBWV.Anh.~という作品はすべて除外され、これがバッハの中では最も易しい曲となった。

7.装飾音をつけなければまあ易しい。

8.これも、あちこちでお目にかかる。まあ、1巻に6とこれを選んだのは妥当でしょう。

9.いい曲です。あまり速く弾き過ぎると最後が難しい。

10.トリルは後打音を付けた方がいい。

11.この楽章だけ取り上げれば、まあ易しいといえるが、随所にこの曲の大きさをうかがわせるような部分がある。全体では結構本格的なソナタ。

12.正直、初期のハイドンのソナタはほとんどすべてどうってことない。

13.どうってことない気もするが、ちょっぴり魅力もある。

14.グループDというのは、何かの間違いとしか思えない。ソナチネOp.36-1の3楽章に曲想も難易度も似ている。 あっちの方がずっといいが。

15.こういうフレージングもありか。

16.原田さんはスタカートがお好きなようである。

17.左はノンレガート。

18.ここら辺の曲は、私には評価できない。

19.モーツアルトの子ども時代の作品の中で最もいい部類に属する。それでも評価Aは甘いかもしれない。

20.このトリルは私は上からの4音だと思う(最初のものならレドレド)。

21.これもあちこちの小曲集に登場する。

22.美しく小さくまとまった曲。

23.これもあまり評価できない。

24.2段目の終わりの左右のとり方に工夫がある。後半の右手3連の指使いは賛成しがたい。

25.「英雄」のテーマ。

26.よく見掛けはするが、どうということのないソナチネだと思う。

27.3度レガートがあり、そんなに易しくはない。

29.弾いてみればすぐ分かるが、シューベルトの舞曲の中で最も優しい部類に属する。これがグループCで、27がBというのはどう考えてもおかしい。ひょっとして間違い?

30.これもかなり易しいのだが・・。

31.その昔、さる併用曲集にあった。久しぶりに見ます。なかなかいい曲。

32.2楽章だけ難しい。全楽章する必要があるとは思えないが。

33.近年発見されたショパンのワルツ。ショパンという名前だけでも憧れを持つような生徒にはやらせて上げたい。

34.これ日本のこどもにはあっていないと、私は思うんだけどなあ。

35.分かりやすい部類だが、さほど喜ばれる曲でもない。

36.いい曲だがオクターヴがある分、使いにくい。

37.これはよく使われる。

38.ペダルの練習にいい。4段目が難しい。

39.1楽章が一番出来がよろしい。

40.譜面より微妙にいやらしく弾きにくいようです。

41.最初の右は12341がいいと思う。

42.41もだが、ペダルはいらないと思う。

43.イタリア民謡を気楽に歌うようなつもりで。

44.Dグループってのはよく分からない。

45.ペダル記号の書き方に工夫というか、慣習的書き方を廃して実際に近づけようとしている。

46.これはまだあまり紹介されていないだろう。何というかバルトークの子供向け作品もそんなにたくさんする必要はないと思う。 一部を除いて、基本的にハンガリーの土俗的な感じがする。日本の子どもたちにはもう少し都会的センスの感じられる作品の方がいい。

47.この本に収録されている曲では最も易しい部類。

48.これがCグループというのも理解できないのだが。まあ、必ずしも難易度のみでグループわけをしていないといわれれば それまで。

49.これは近年よく紹介されている。強弱のコントラストの練習にいい。

50.どうもこの編者はバルトークの曲をすごく難しいと捉えていらっしゃるようです。

51.これがダンスというのが、よく分からないのよね、私。歌のようにしか聞こえないんだけどなあ。

52.これはそこそこ難しい。

53.変拍子だが、実際は3+3+2拍子が基本。

54.ミクロコスモスはそのうち検討するが、調性音楽の範囲内(これは境界線くらい)で書法が単純なものは 日本の子どもたちにはやさしい。そうでないと1巻でもすごくてこずるようである。これは前者。

55.全音版では「なわとび」となっている。いくらなんでもどちらかが誤訳だろう。

56.規則的に作られていて、さほど難しくはない。ペダルの練習になる。

57.これはほとんど場違いなくらい易しい。

58.次もだが、カバレフスキーには他に収録すべき良い曲はいくらでもあるのだが・・

59.これがDグループというのも、何かの間違いとしか思えないな。

60.最後に2台ピアノ用のものがある。さほどいいとも思えないが・・まあ、ハイドンらしいとは言える。2ピアノも難易度12。

総合評価   B

全音から「やさしい4期の名曲集」(検討済み)というのが出ているが、それに似ている。

違うのは、大作曲家を優先していること、難易度の幅が大きいこと、くらい。

グループ分けの基準が不明瞭だが、難易度であるとするならば、シューベルト、バルトーク、カバレフスキーあたりは 理解できないことになる。他にも何か考えているのだろうが不明。

大作曲家の場合、子供向けに作られたものが必ずしも、その作曲家にとって1級の作品でない場合が多々ある。モーツアルトなどは子どもの頃の作品は、明らかに大人になってからのものより劣る。そういったものが相当数含まれていて全体としての平均点を下げている。選曲が極めていいと思われるのはバルトークくらいであろうか。

前書きとか後ろの注意書きとかになかなかいいことが書いてある。読んでおくべき。

正統的と言うか、割と堅い先生向き。「芸術」>>>「娯楽」という感じで選曲されている。この本を使うのなら時々息抜きを与えてやった方がいいと思う。「人形の夢と目覚め」程度の軽さの曲すらない。

こういう選曲方針はむしろもう少し難易度が上がってからの方が良い曲集になる可能性が高いと思われるので、引き続いて2巻も検討します。

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