ピアノ教材研究 作品集
カバレフスキー 子どもピアノ名曲集1 レッスンの友社
レッスンの友社はピアノ雑誌の草分け「レッスンの友」で知られる。また日本にカバレフスキーをはじめて紹介した出版社、だったかな?。ピアノ楽譜の出版点数はさほど多くはないが、現代ロシアの作曲家の楽譜を多く出版しているようである。これは相当古い本。今回の調査に使ったものも20年ほど前の楽譜、注釈に書かれていることが意味不明ならば、この20年の間に訂正されたということであろう。
曲名 | 難易度 | 評価 | |
1 | 歌 Op.39-1 | 2 | C |
2 | かわいいポルカ Op.39-2 | 3 | C |
3 | 行進曲風に Op.39-3 | 2 | C |
4 | 子守歌 Op.39-4 | 3 | C |
5 | 遊戯 Op.39-5 | 4 | B |
6 | 小さなスケルツオ Op.39-6 | 3 | C |
7 | おかしな出来ごと Op.39-7 | 3 | B |
8 | メロディー Op.39-8 | 3 | B |
9 | 踊り Op.39-9 | 3 | B |
10 | 行進曲 Op.39-10 | 4 | C |
11 | 秋の歌 Op.39-11 | 3 | B |
12 | じょうだん Op.39-12 | 3 | C |
13 | ワルツ Op.39-13 | 5 | A |
14 | 昔のお話 Op.39-14 | 4 | C |
15 | フーガ Op.39-15 | 4 | C |
16 | かなしい物語り Op.39-16 | 4 | B |
17 | 昔の踊り Op.39-17 | 5 | C |
18 | ギャロップ Op.39-18 | 6 | B |
19 | 前奏曲 Op.39-19 | 7 | A |
20 | 道化師 Op.39-20 | 6 | A |
21 | 即興曲 Op.39-21 | 7 | A |
22 | ノヴェレッタ Op.39-22 | 7 | B |
23 | ゆるやかなワルツ Op.39-23 | 8 | B |
24 | たのしい旅 Op.39-24 | 8 | B |
25 | 子どもの歌 Op.14-4 | 9 | B |
26 | ロシア民謡の主題による変奏曲 Op.51-1 | 8 | C |
27 | スロヴァキア民謡の主題による変奏曲 Op.51-3 | 10 | A |
28 | 変奏曲 Op.40-2 | 12 | B |
29 | ロンド・マーチ Op.60-1 | 13 | A |
30 | ロンド・ダンス Op.60-2 | 10 | B |
31 | ロンド・歌 Op.60-3 | 9 | A |
32 | ロンド・トッカータ Op.60-4 | 10 | A |
33 | プレリュードとフーガ Op.61-3 | 13 | B |
34 | プレリュード Op.38-2 | 12 | B |
35 | プレリュード Op.38-8 | 13 | B |
36 | ソナチネ Op.13-1 | 14 | A |
10。 3段目最初の右手、1とあるがもちろん5の間違い。
17。 3段4小節目左、2でもいい(次を1)。左手終わりから3小節2拍目、次の1拍目、4,2とあるが、4,1か3,2でしょう。
28。 この本の作品の中では最も現代的な部類に属する。Var.1、左手3小節目最後、3とあるが2の方がよろしい。次が12となる。
29。譜面づらよりずっと難しい。6度の連続が苦労する、指使いもここに記されている以外にも何通りかの可能性あり。2ページ目、最初の右手、31とあるのはミスプリか? 53です。2小節目の左235とあるが、よほど手が大きい人向き、普通は415でしょう。
31。最後から2小節目左、425とあるが。もちろん421の間違い。
32。2ページ5小節目右手、Dを3から4に指換えをするといい。
36。3楽章最初の左手、252とあるが251の方が易しいと思う、以下同じ。
総合評価 B
カバレフスキーの「24のやさしい小曲集」を筆頭に、もう少しレヴェルの高い曲までを適当に寄せ集めた楽譜である。「24のやさしい小曲集」は全音からも出ているが、当然こちらを買う方が遙かにお得である。
カバレフスキーが日本に紹介されたのは40年近く前のことであると思うが(子どものためのピアノ小曲集Op.27)、当時はブルグミュラーに代わりうる新しい時代の子どものための曲集として随分話題になった。今となってはさすがにあの頃のような賛辞一辺倒というわけには行かないが、それでも子どものための重要なレパートリーの一つであることは間違いない。曲集としての出来はこの本のメインであるOp.39よりOp.27の方が上だと思うから、Op.39だけなら評価Bとはならないが、他の良い曲が多数含まれている、特にロンドの4曲がいいし、ソナチネは現代物を学ばせる場合の必修曲に近い。
目立たないがこの本のいいところは、指使いを複数記しているところが多いということである。勝手な推測だが原著の指使いと、日本の子ども用に新たに編者の方で付け加えた指使いではなかろうか。私の注釈の少なさからも察せられると思うが、指使いは大体安心できる。