あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

佐藤眞作曲  翔君のピアノファンタジー     カワイ出版 

佐藤眞さんは日本の戦後の合唱曲界をリードしてきたような、合唱曲分野における作曲の第一人者とでも言うべき方である。 私も大分歌ったし伴奏も弾いた。ピアノ曲はごくわずかしかないと思う。子供向きのピアノ曲にいたってはこれが始めての曲集ではなかろうか。最後の5曲が連弾である

番号 曲名 難易度p 難易度s 評価
 1 翔くんのドレミファ・ワルツ  5     B
 2 翔くんのドミソ・マーチ  5     A
 3 翔くんの抹茶アイス  5     C
 4 春風にのってやってきた翔くん  5     B
 5 お祭り大好き翔くん  8     A
 6 翔くんのコロッケポルカ  7     C
 7 翔くんガーリック ステーキ  6     A
 8 翔くんの合格ランチ  6     A
 9 翔くんとアトラスのわんダフル・スイミング 13      C
10 翔くんロビンのジャンピング・キャッチ  8     C
11 翔くん ただいま勉強中  9     B
12 翔くんの未来の夢 10     B
13 翔くんの平和への祈り  9     B
14 翔くんのドレミファ・ワルツ  2  7  B
15 翔くんのラシドレ水鉄砲  1 13  B
16 翔くんとねずみくんのドレミソファバネラ  3 10   B
17 翔くんの無人島探検  5 10  B
18 翔くんのラドミ・タンゴ  6 12   A

1.右手にほとんど変化をつけず、左手の変化に音楽を託したところがユニークな発想。

2.ある意味単純なんですが、うまいと言わざるを得ないかなあ。プロの作曲家が却って嫌いそうですがね。

3.ペダルはほしい。6小節他の和音は納得できない。挿絵は笑ってしまう。

4.最後は微妙にrit。

5.突然難しくなる。註にもあるが、ひょっとしたらそもそもは二人で弾くように作ったのかもしれない。なおこの本は全体にそうだが、指使いはほとんど記されていない、この曲以降は、使用する際には教師が前もってある程度記してやる必要があると思う。

6.私にはこの曲の音は翔くんが喜んでいる音には聞こえないんですが・・

7.わかり易い。

8.これもある種の単純さが見られ、それで成功している。玄人受けはしないだろうが・・。

9.難易度に困る曲だが、指定の速さで弾こうと思えばこれくらいか。符読みは楽なので遅く弾けばぐっとやさしくなる。この曲の単純さはさすがに安直過ぎるような気がする。

10.これも微妙に曲名と音楽が一致していないような気がする。  

11.最後は、解けたことを示しているのでしょうが、もう一工夫ほしい気がする。「ひらめいた」という言葉に照応するフレーズが見当たらないのがさみしい。

12.指定速度では、和音の連打が少し難しいかもしれない。

13.最後はペダル必須になる。はじめから使うかどうか。

14.1番の編曲版。ごく初期にこの曲をして、「上手になったら一人で弾こうね」ということかな。

15.primoは譜面面はチョウ簡単だが、secondときちんと合わせるには、そこそこのリズム感がいる。しかし先生の方が難しいでしょうね。 厳密にin tempoじゃないとまず合わないから。

16.上行と下行でリズムを変えているところが工夫(下手するとハノンになってしまう)。それでもこれは出来れば初見でいきなり合わせてやるほうがいいと思う。

17.中間部のsecondのソロは少々危険なところを探検しているという感じ、でしょうな。

18.Aはおまけかな、もう少し長くして最後にそれらしき盛り上がりがあると文句ないんだけどなあ。 9小節primo1拍目左、135とあるが125(左右を3でそろえたという考え方もあるが、そろえるのなら2でそろえた方がいい)。

 総合評価    B

佐藤眞さんというと「旅」とか「蔵王」とかから 清冽な叙情性を思い出し、そういう感じの曲があるのかな と期待していたら、そういうのは一つもなかった。

得意な分野では勝負しなかったということなのか、楽器が違えば書法も変わるということなのかはわからない。

ある種の単純さが見られる、これは一部の同業者からは白い目で見られる部分かもしれない(私は県の合唱連盟の理事をしていたとき、 ゲストに呼んださる音大の教授が佐藤さんをほとんど罵倒していたことをこの耳で聞いている)。しかし少なくとも初心者向け曲集には どちらかといえば必要な部分である。問題はその単純さが時々ただの思いつきというか、機械的作業に近くなる場面が見られるということであろう。

曲想にうまくマッチして引きやすくかつ効果のある曲が何曲か見られる。私としては少々首をひねるものも何曲か見られる。で、Bというところが妥当でしょうかね。

ちょっぴり気になるのは挿絵の翔くんの顔が連弾とソロで明らかに別人に見えるということ。

佐藤さん、前世紀中に還暦になられたはずだが、精神年齢はまだまだ若いなというのが、題名のつけ方などから感じられる(ちょっと無理してるきらいもある)。

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