あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

リトルコスモス バイエルを学びながら音楽性が育つやさしいピアノ曲集 

                                   成田稔子編     全音楽譜出版社   

luluさんのリクエストにより「リトルコスモス」を取り上げます。かんたろうさんもよくお使いだとか。当会で検討済みの「ピアノコスモス」のヒットにより、編者の一人だった成田稔子さんの手で「ピアノコスモス」の前段階に当たる併用曲集として編纂されたもの。目次にバイエル○○番程度という註があるが、例によってこれは大分いい加減。

番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 アヴィニヨンの橋の上で フランス民謡   2  B
 2 すずめ(連弾) レヴィナ   2  A
 3 もうおよめにいっちゃうのね ウクライナ民謡   2  B
 4 メロディー ウクライナ民謡   2  B
 5 おりこうさんはだーれ(連弾) アレクサンドロフ   2  B
 6 ワルツ マフトゥムクリエフ   2  B
 7 かなしいうた サラジャン   2  B
 8 エチュード トンプソン   2  A
 9 ちょうちょのワルツ しもまきやすこ   3  C
10 よぞらにゆれるほし しもまきやすこ   2  C
11 かわいいポルカ カバレフスキー   2  C
12 こねこのおいかけっこ しもまきやすこ   3  C
13 まひわとのおはなし ガルイニン   2  A
14 ワルツ クロツキン   3  B
15 はりねずみ カバレフスキー   3  B
16 わをこわさないようにおどろうよ ウクライナ民謡   3  C
17 ほたる ヴォルコフ   4  C
18 まきばのひつじかい サリュトリンスカヤ   3  B
19 おじいさんのおはなし リュバルスキー   3  B
20 ロシアのうた サリュトリンスカヤ   4  B
21 おばあさんのおもいでより ロングシャンプ=ドルシュケビチョワ   4  B
22 ちいさなワルツ(連弾) ハチャトゥリアン   4  B
23 ワルツ ショスタコヴィッチ   5  B
24 アンダンテ ハイドン   4  A
25 ぼくらのまち(連弾) フィリッペンコ   3  B
26 コサックがうまにのってとおくへいく ウクライナ民謡   4  B
27 こもりうた レヴィドワ   4  B
28 くろいからす シュロフスキー   5  B
29 うた メラルティン   4  B
30 ワルツ マイカパル   5  B
31 はるのうた(連弾) モーツアルト   4  B
32 ひろいのはらで アベレフ   3  B
33 うすぐらいもりのなかで シグメイステル   4  A
34 いいあらそい レデネフ   4  A
35 チェコのメロディー リュバルスキー   4  B
36 じょうだん カバレフスキー   4  B
37 ドイツぶきょく(連弾) シューベルト   4  B
38 ひとりぼっち なかだよしなお   5  B
39 ひらひらちょうちょう なかだよしなお   5  B
40 あめがおどっている バルティン   5  A
41 おとぎばなし マイカパル   5  A
42 マーチ クラーク   5  A
43 ものがたり アミロフ   5  B
44 プレリュード テッツェリ   5  B
45 おもいでのうた アレクサンドロフ   7  A
46 コントルダンス 古典舞曲   5  B
47 わかれ グレチャニノフ   5  B
48 ちいさなまるいパン ニコラーエフ   6  B
49 こもりうた ゴルベフ   5  B
50 きへいたいはそうげんをゆく クニッペル   5  A
51 あしぶえをふこうよ リトコーワ   5  B
52 あめ コレネフスカヤ   5  A
53 メヌエット クリーガー   5  A
54 こたりがうたってくれたうた ルドニエフ   5  B
55 うさぎをおいかけよう ヴォルコフ   6  C
56 マーチ ユツェビッチ   5  B
57 ピエロ カバレフスキー   6  A
58 ラトビアのおどり(連弾) ケピティス   6  B
59 ロシアみんようによるバリエーション ベルゴヴィチ   6  B
60 ワルツのように カバレフスキー   6  B
61 ゆめ ベルトラム   6  B
62 マズルカ グレチャニノフ   6  B
63 フランスのふるいうた チャイコフスキー   7  A
64 トッカティーナ カバレフスキー   9  A

1.簡単だが、ポジションの移動がある。

2.目次に「連弾」が記されていない。やはりポジションの移動あり。セカンドがいいのでA。兄、姉に弾かせると良いかも。難易度5くらい。

3.ちょっと曲らしくなる。上部加線がある。

4.左右に分かれて主旋律だけ。ト音記号の下部加線がある。

5.secondも易しい。

6.ここまでバイエル6番程度とある。メロディーだけの左右分割なのだが、ポジションの移動もありシャープがあったり加線があったり、バイエルと併用するなら20番くらいまで進んでからが良いと思われる。

7.ここから両手という感じ。

8.原曲は3、11小節目左H。右の最初の指は53。ドロップアンドロールの弾き方の練習なのだが、この本ではそういう色は薄くなっている。

9.7度ポジションあり。

11.6度あり。

12.対位法。

13.最後の左の指、なぜ変えたのか不明(と言うわけでもないが、不要だろう)。

14.12のクロス、31の縮小が出る。

15.短2度がつまりハリネズミの針、面白いと言えば面白いが・・

16.ちと長い、その割に面白くない。

17.ピアノの高音は輝くような音になる、それをpで・・つまりほたる・・少々安直。

18.ヘ音記号登場。

21.35の分散4度がある。

22.これも目次に「連弾」の字が落ちてる。とてもハチャトゥリアンとは思えない。13のクロスが出る。

23.指換えが頻繁に出る。8度ポジションあり。

24.23もだが手の大きさによって大分難易度が異なる。右ページ3段1小節目左1234とアルが、2312が良い。

25.目次に「連弾」が落ちている。易しい。

27.保持音が出てくる。

28.からすというやつは、ロシアでも不吉なんでしょうかねえ。現代物、好みの分かれる曲。

29.これは繰り返した方が良い。

30.音自体は完全にロマン派までなのだが微妙に近代の味がある。

31.目次に「連弾」が抜けている。これは編曲だが、連弾にしてたいしてやさしくなったとも思えない。微妙に弾きにくくなった部分もあるし、あまり意味はなかったような気が・・

33.どうもこの本の短調は皆雰囲気が似ていて、これもまあ、おまけのA。

34.現代物。子どもには解りやすい。

37.これも編曲。

38,39.中田喜直「こどものピアノ曲」閻魔帳その9。

40.解ってしまえば易しい。題名は子どもにもすぐ解る。

41.前の曲もだが音友の「ピアノの学校2」にもある。右ページ3段目左最初、31から53への指換え。

43.挿し絵と音楽が一致しないと思う。マッチ売りの少女のような挿し絵が良いだろう。

44.コード進行がパッヘルベルのカノンに似ている。速く弾くと大分難しくなる。

45.「ピアノの2年生」(レッスンの友)にもある佳曲。譜面面より難しい。

48.面白いと言えば面白い。アーティキュレーションを厳密に守らせること。

49.淋しい子守唄・・子守唄とは大体淋しいものか(笑)。

50.子どもは喜ぶ。終わり方を工夫する必要あり。

51.変奏曲。

52.「あめ」という題材は作りやすいんでしょうかね、スタカートでぽつりぽつりと弾かせると雨になる。この曲は中間部の方が良いが。

53.こういうアーティキュレーションは初めて見る。リュートならともかくペダルを使わない限り音が残らないピアノでは賛成できない。

55.指使いはあまり気にするな、という註がある。おいおい、そりゃないでしょ。この曲の指使い、さほどおかしいとも思わぬが。異論があるのなら編者が自分で補足すれば?

 Q&Aで指使いについて私の考えを書くことにする。

57.指はよく考えられている。

58.1回目と2回目はデュナーミクが異なるだけ。

59.この本の中では長い部類。

61.印象には残る。好悪分かれるだろう。

総合評価  B

 Cがほとんどない。つまりほぼ全曲使えるということ。しかし総合Aとはやはり思えない。

 理由はおそらく、曲の雰囲気というか色が、決まったトーンに偏りすぎているということ。ロシアものが大半を占めている、ロシアものが悪いというわけではないが、たとえばこれまで検討してきた日本の作曲家10人ほどを並べた場合、この本のロシアの作曲家全体より遙かに幅が広くなると思います。もっともこれは単に編者の趣味かもしれない。入門者用で短調が半ばを占めている・・極めて珍しいのも編者の趣味かな。

 一言で言えば、都会的で洗練された音楽が近・現代のものにほとんど見あたらないということでしょう。中田喜直がこの本に入っていて違和感がないというのも面白いことです。まあ、ロシアはごく一部を除いて巨大なる田舎だろうから・・

 後半の方が評価は高いです。まあこれは入門者用併用曲集では常に言えること。

 譜めくりをする必要はほとんどなく使いやすい。

 バイエルとはある意味正反対のトーンの曲が多いので、バイエルを使っている先生には良いかもしれない。

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