あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ピアノコスモス 3 テクニックと音楽性が同時に学べる 松井直子・成田稔子編 全音

 前に1,2と調べていた、ピアノコスモス、これが最終巻となります。難易度も大分高くなりましたが、類書に良くある曲が非常に少ない、という曲集です。

曲名 作曲者 難易度 評価
ロマンス グリエール  12  A
ものがたり ズィリンク  13  A
うずらの子 エシュパイ  13  B
プレリュード パフルスキー  12  B
ワルツ Op.12-2 グリーグ  12  A
小さな画像 Op.8-2 ゲディケ  12  B
パック Op.71-3 グリーク  14  A
ロシアのうた エイゲス  13  B
ソナチネ ドゥシェク  11  B
ロシア民謡によるヴァリエーション ビエルコヴィチ  14  A
民族的旋律 Op.12-5 グリーク  12  B
ソナタ Op.118-1 シューマン  13  B
エチュード レシュゴルン  15  A
サンタクロースのおじいさん Op.68-12 シューマン  13  A
ロシアのテーマによるヴァリエーション マイカパル  13  A
パイジェルロのオペラによる6つのヴァリエーション ベートーヴェン  15  A
蝶々 グリーク  17  A
ヴァリエーション ルコムスキー  14  B
アンダンテとヴァリエーション ウェーバー  16  C
プレスト ペーシェッチ  14  B
春のささやき Op.32-3 シンディング  21  A
トッカータ フリート  19  B

○ロマンス 書法はロマン派、少しややこしいかもしれない。ロシア的情緒たっぷりに。

○ものがたり メロディにアルペジオの装飾を付ける書法。

○うずらの子 実質的には変奏曲。テーマの民謡が好きかどうかで評価が変わる。

○プレリュード ロシア人は短調が好きなのか、この曲を含め最初の8曲ほど全部短調。

○ワルツ この本が出た当時はグリーグは全音のピース以外国内版はなかったと思う。今は数種類出ていて稀少価値はなくなった、もちろん曲そのものの価値は不変。手が大きい向け。

○パック これはテンポ次第で難易度が大分変わるが、ここに置いてあるということは、それほど速いスピードを編者は想定していないということか。当会も15から14に訂正しておきましょうかね。

○ロシアのうた 美しいが心に残るというほどのものでもない。

○ソナチネ Op.20-6の1楽章。なぜこんなの入れたんでしょうね。何となく編集方針(明記されているわけではないが)にそぐわない気がする。まあ、ほとんど弾かれないけど、知られざるソナチネで良いものはクーラウにたくさんある。

○ロシア民謡によるヴァリエーション チャイコが交響曲の4番でも使っている民謡。お子さま向き変奏曲という感じだが変奏5等はなかなか良く出来ている。

○民族的旋律 以前難易度11にしてましたが、12に訂正。評価も段々上向いてきましたが、こちらは未だ訂正しない。

○ソナタ シューマンが晩年に作った3曲の子供向きソナタの1番、1楽章。微妙に弾きにくいのがシューマンらしい。高く評価する人と、あまり評価しない人がいる。シューマンの書法を学ぶ上では役に立つかもしれない。

○エチュード 美しい一品。Desという調性もぼちぼちこなさなければならない。

○サンタクロースのおじいさん 題名から弾きたがる子はいるが、弾いてみて大抵びっくりする。どこかにも書いたがこの「サンタ」は「なまはげ」みたいな、どちらかといえば怖いお爺さん。

○ロシアのテーマによるヴァリエーション もう少し続けて本格的変奏曲にしてほしかった感あり。

○パイジェルロ~ 私の手元の3種の版(ウイーン、全音、春秋)のいずれとも異なる版。弾いてみて違和感はさほどないが、最後の変奏で他の版が交差させているところを、そうしていないのが珍しい。

○蝶々 ペータース版とは少し異なる。

○ヴァリエーション 微妙に弾きにくいかもしれない。

○アンダンテとヴァリエーション ウェーバーの変奏曲の中ではマイナーなものだと思う。

○プレスト よほど速く弾かない限りさほど難しいとは思えないのだが。3ページ目最後の小節、4ページ目7小節の右手AはAsのミスプリではないかと思う。

○春のささやき その昔留学した人などが向こうで習った曲を挙げているときに、必ずと言っていいくらいこの曲の名前があった。全音ピアノ名曲100選にもある(初級編!! 全音の難易度のでたらめさは定評のあるところだがそれにしてもね)。今はピースでも出ている。

○トッカータ この本の中では一番「現代物」と言える作品であろう。さほど難しくはないのだが、譜読みが少々面倒かもしれない。

総合評価  A

 3冊ともお見事評価Aとなりました。マイナスが付いたのは、1,2巻に比してこの本でしか手に入らない教材のAランクがやや少なかったということによります。

 「春のささやき」をお持ちじゃない先生は、買い、ですね。

 このシリーズは楽譜が大きくて見やすいのだが、3巻くらいになるとそれが長所というよりは、譜めくりを頻繁にしなければならないという短所に変わってしまっているという感もある。他の版の倍近いページ数になっている。

 ロシアものの比率が高いので、レベルの5くらいからずっと併用曲集をピアノコスモスだけにしてしまうというのは、さすがに賛成できない。適宜他のものも混ぜた方が良い。

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