あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ギロック アクセント・オン 1 長調と短調   全音楽譜出版社

 魔女リンゴさんのリクエストによりギロックの「アクセント・オン 1」を取り上げます。ギロックは何冊目でしょう。最近教則本まで出版されたようですから、 それを含めると未だ半分見てないんですよね。大作曲家を除くと間違いなく日本での出版点数№1でしょう。

 なお解説にギロックの手紙がのせられておりその中に「・・ストリーボッグ、デュベルノア、チェルニーの多くの曲は努力と時間に値しないと思います。 しかしブルグミュラーの曲は、音楽的に満足できるし、その上、素晴らしい教育法だと思います・・」とあります。私と同じこと言ってるなあ(私がギロックと同じこと言ってるのか)。

☆長調 各曲の前にそれぞれの調の音階練習と書き込みの課題? がある。特に調号の書き込みを忘れないこと。

調性 曲名 難易度 評価
ハ長調 ワルツを踊ろう   5  B
ト長調 ピクシーズ   5  B
ニ長調 スケートをする子供たち   5  C
イ長調 クリスマスツリー・パレード   5  C
ホ長調 陽気なスペイン   6  B
ロ長調 静かな湖で   6  A
ヘ長調 ドラムとトランペット   5  B

○ト長調 交差の練習にもなるかな。

○ニ長調、イ長調 ここら辺は調性の基本的な型を学ぶことが優先されている感じ。

○ホ長調 これは逆に曲想のせいで、ホ長調の典型とは言い難い。

○ロ長調 これは教育的配慮と芸術性がうまくかみ合っているよう。

○ヘ長調 予備練習のスケール、右手の頭に4の指使いを書き加えておくべき。曲の方は、左の連打の指使いに迷う。

☆長調と短調 短調の予備練習は自然短音階、ギロック本人も書いているが、必ず他の短音階でも弾かせるように。

 私は理論的なことは一般常識以上のことは知らないが、短音階の各度上の3和音は和声短音階の音を使用するものであったと記憶している。ところがこの本は自然短音階の音を使用させているようである、 アメリカではこのように教えるのだろうか、会員諸賢の教えを請う。(実際問題としては書き込み課題であるから、和声短音階の音を書き込ませればいいのだが)

調性 曲名 難易度 評価
ハ長調 サイドウォーク・ワルツ   5  B
ハ短調   8  B
ト長調 お庭でダンス   5  B
ト短調 古い時代の舞曲   6  B
ニ長調 キャリヨン(鐘)   5  B
ニ短調 風に舞う木の葉   6  A
イ長調 ほろ馬車   5  B
イ短調 マズルカ   7  B
ホ長調 夏の気まぐれ   8  B
ホ短調 妖精のいたずら   6  A
ロ長調 オリエンタル・ウィンド・チャイム   6  A
ロ短調 紺碧の海   8  B
ヘ長調 スイスのオルゴール   6  B
ヘ短調 ファラオ王の国   8  B

○ハ長調 ペダル必須。

○ハ短調 グリッサンドあり。ペダルは必須ではないが欲しい。全音音階あり。

○ト長調 パターンが一定で易しい。

○ト短調 ペダルは欲しい。

○ニ長調 見た目よりは難しいかもしれrない。ペダル必須。

○ニ短調 D.Cのある小節の装飾音、左で取ると良い。私には2小節目右手のAsはGisに聞こえるのだが。

○イ長調 アメリカ西部を思い出させる曲の左手のパターンの典型。

○イ短調 一番かっこの前の右手の指使いは、下が1番、上が2番に続く場合。

○ホ長調 指示通り左右分割で弾くより、右手を回す方が楽だと思うが、まあ指示通り弾くべきでしょう。

○ロ長調 「オリエンタル・ウィンド・チャイム」って風鈴のことですかね。この曲は完璧に中国風ですが、中国に風鈴てあるの?

○ロ短調 ギロックにとって海は何か畏怖すべきものだったんでしょうか。もちろんペダル必須。

○ヘ長調 両手とも1オクターヴ上。グリッサンド以外易しい。ペダルがないとオルゴールに聞こえない。

○ヘ短調 初心者には譜読みがやや困難か。

☆黒鍵

調性 曲名 難易度 評価
変ロ長調 ジェット・コースター   8  C
変ロ短調 スコットランドのバラード   9  A
変ホ長調 陽気なワルツ   9  B
変ホ短調 淋しい海  11  A
変イ長調 ブルースのスタイルで   9  A
嬰ト短調 ショパンにささぐ  10  B
変ニ長調 シャンゼリゼにて  11  A
嬰ハ短調 バザール   9  C 
嬰ヘ長調 黒鍵のエチュード   8  B
嬰ヘ短調 秋のワルツ   9  B

○変ロ長調 あまりジェットコースターらしくはない。

○変ロ短調 難しいのは、変ロ短調であるという難しさ、のみ。

○変ホ短調 左のEsはある程度はっきり弾いた方が効果的。

○変イ長調 8分音符はスイングすると思われるが、最後のアルペジオはどうだろう、スイングしないかな。

○嬰ト短調 これも嬰ト短調であるという難しさ。ショパンと比べるのはどうも・・

○変二長調 これは何となく華やかな社交界という雰囲気がある。

○嬰ハ短調 中間部の和声はやや強引な気がする。

○嬰ヘ長調 易しい。ややお手軽な感あり。

○嬰ヘ短調 同じギロックの「叙情小曲集」の「荒れ果てたダンスホール」を思い出す。向こうの方が出来が良いと思う。

総合評価  B 

 ギロックによる全調練習の曲集といったようなもの。ただギロックには全調による曲集が他にすでにある(叙情小曲集)。そしてそちらの方が出来はよろしい。

 こちらは叙情小曲集よりやや易しい。そして易しいものほど、出来映えの平均値が下がるようである。

 この曲集は全調練習ということをはっきり謳っていて、その理論的説明やら何やらまで試みているだけに、曲自体がその調の学習という目的のためにある程度縛られてしまっているような感を受ける。自由に飛翔できていないものがあると思われるのである。

 ペダルは必須に近い。年長の生徒向き。

 とはいえ捨てがたい曲も見られるし、ややこしい調性の易しい曲を与えたい場合など、先生にとっては色々重宝する曲集ではあろう。

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