あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

子供のピアノ名曲集 演奏会用曲集1  武田邦夫編  音楽之友社  

 「子供のピアノ名曲集」というシリーズはずいぶん昔からある、私も相当お世話になったシリーズである。最近では楽器店の店頭に並ぶことが少なくなっている、売れ行きが落ちているのかもしれない。
なお私の手元にある楽譜は20年以上前のものである。改訂はされていないはずだが、一部修正されている可能性はある。私の指摘した部分が意味不明ならば、つまり修正済みということであろう。

番号 曲名 作曲者 難易度 推薦
 1 ロンド ディアベリ  
 2 ロマンス グルリット
 3 兵士の行進 ストリーボッグ  
 4 ぶらんこ ストリーボッグ  
 5 子供たちのダンス ケーラー  
 6 夕べの祈り ケーラー  
 7 ソナチネ プレイエル  
 8 農夫の朝 ストリーボッグ  
 9 悲しい話 ストリーボッグ  
10 ワルツ クレメンティ  
11 ソナチネ op57-1 ビール  
         2楽章    
12 ダンス  ウェーバー=ケーラー  
13 のワルツ エステン
14 大まじめ グルリット  
15 おんどりのワルツ ケーラー  
16 陽気 ウォルフ  
17 がんこな木馬 ストリーボッグ  
18 ポルカ ケーラー
19 リート ケーラー  
20 ちょうちょう追い ストリーボッグ  
21 アンダンテ モーツアルト  
22 ドイツのによる変奏曲 コルマー  
23 幻想小曲 ゲロ
24 3つのドイツ舞曲 ベートーヴェン  
       
       
25 モデラート ルモアーヌ  
26 ソナチネ op152-3 リフトル  
          2楽章      
27 メヌエット op210-21 グルリット  
28 小曲 ルモアーヌ
29 プレリュード ライネッケ  
          リート    
          ガヴォット    
30 ソナチネ リギーニ
31 ドイツの踊り ハイドン  
32 メヌエット デュセック  
33 ポロネーズ エステン  
34 主題と変奏 ヘーフカー  
35 ロンド クレメンティ  
36 ソナチネ op372-12 エンゲルマン  
37 ソナチネ op157-1 スピンドラー  
         2楽章    
38 ソナチネ op248 シュミット  
        2楽章    
        3楽章      

2、3段目最初の左の指52です。

4、3段2小節4拍目左43は間違い、当然42。右ページ1段2小節目右手装飾音12とあるが、34の方がいいと思う。

5、右ページ3段2~3小節目左の指は悪い指ではないが、やや特殊。初心者なら531から21でしょう。

6、2段5小節目左1拍目53が普通。

7、題名が食い違っている。すなわち「農夫の朝」ならPeasant Morningのはず。Pleasantならば「気持ちのいい朝」のはず。元々は閻魔帳11で検討したストリーボッグの練習曲、従って題名はない。ということはこの編者が日本語の題名を考えてその英訳を間違えたのか、種本に使われていた英語の題名を日本語に訳し間違えたのかのどちらか。

10、最初の右手の指、5の指に黒鍵が来るのはやや弾きにくい、2431とするか2321とするかの方がいいと思う。

11、2楽章、25ページ最後左手GFからCEの箇所、51から42の方がいい。

13、最後の右手の指はCを1の指にするための工夫であろうが、私はごく普通にGを4で回していいと思う。

18、古くから紹介されている名曲。この曲の繰り返しはつけた方がいい(中間部とのバランス)。

21、4段3小節目左2拍目5121でしょうね。

22、2段5小節目、3段3小節目、同じ形であるが指が異なっている。2段目の指は不可、私なら32とします。
欄外に「Var.1まではそれぞれ反復し、2,3は反復しないで・・」とあるが意味不明。そもそも反復記号はどこにも存在しないし、Var.3もこの譜面にはない。

24、この3曲は独立した曲です。子供にはオクターヴを省くなど一部修正した方がいい。1曲目最後の左42でしょう。

25、右ページ最初左手53とあるがもちろん間違い、最初と同じです。4段5小節目左手の手前にト音記号が落ちている。

29、3曲全部する必要はないと思われる。ガヴォットが一番出来がよろしい。そのガヴォットの1ページ、2段目最後の小節の左31は首をひねる、51でいい。

34、3小節目左1とあるのは当然何かの間違い。

35、中間部が美しい。

38、楽章間のバランスが見事なまでに取れていない。楽章と考えずに、3部分からなるファンタジーとでも考えるか、三つの独立した曲として考えれば割と良い曲であるが微妙に弾きにくい。
2楽章1段5小節目C、4とあるが2の間違い。3段6小節目最初のEの音に4とあるが、Cの音につけるものを間違えたのか? 3楽章2段3小節目、5小節目の左手C、1の方が弾きやすい。

総合評価   B

 「演奏会用曲集」と銘打ってあるが、普段のレッスンに使っていっこうに差し支えない。バイエル終了からソナチネに至るまでの古典派(の書法)のピアノ小曲集、という感じの本である。

 バイエル=ブルグミュラー=ソナチネという一般的図式は、古典派(バイエルはロマン派の時代の人間であるが教則本の書法は古典派といえよう)=ロマン派=古典派、とつながることになる。そのロマン派のブルグミュラーに代わりうる古典派の教材、という位置づけになろうか。

 比較的珍しい曲が数多く収録されている。この本でしか見かけない珠玉とも言える作品も数曲ある。ということで評価Bと相成った次第。

 ただしブルグミュラーに代わってこの本を使用する方がいいとは私は思わない。古典派ばかりにそれこそ偏りすぎることになる。先生が持っていてこの中の数曲をレパートリーにしておく、といった使い方が普通であろう。

 この本を生徒に買わすとすれば、相当現代的な曲まで含まれているような比較的新しい教則本を使っている生徒でソナチネアルバムはまだちょっと難しいくらいの生徒、に古典派の正統的曲集を与えたいとき、ということになるであろう。 

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