あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

大田桜子 やさしい地球の仲間たち   ムジカノーヴァ 

 熊谷麻里さんのリクエストにより「やさしい地球の仲間達」を取り上げます。熊谷さんは非会員ですが「会員の皆さんにこの曲集のことを知って欲しい」とリクエストされました。

曲名 難易度 評価
地球の生まれた日   6  B
深海魚のひとりごと   9  B
12匹の恐竜たち  11  A
風のファンタジー  12  A
象の住む美しい村   9  B
南極ペンギンのワルツ   8  B
くもの上をあるいてみたら?  10  B
Sun Sun Sun 太陽のシャワーをあびよう  13  A
ひまわりの小径  10  A
緑のささやき  10  B
木星のメヌエット   8  C
お月さまの子守唄   8  B
小鳥のとばない空  12  A
ガンジス河の流れ  12  B
やさしい地球へ  11  A

○地球の生まれた日 プロローグにふさわしい。曲名と良くマッチしている。ペダルは欲しい。

○深海魚のひとりごと 深海魚というのは、確かグロテスクな形をしたごっついみょうちきりんな生き物がいのですな。

○12匹の恐竜たち 音楽として前2曲に勝るとは思いませんが、私の知る限り12音技法を使ってここまで子どもに親しめるように作曲したのは他にはないということを評価しました。ただ12音の一つ一つが一匹の恐竜というのは少々無理がありますねえ。完全な音列が8回(不完全なものを入れると10回)あるので、「8匹の恐竜と2つの卵」の方がいいんじゃないかな。12音の方は注釈で説明を入れておけばいいことですし。なお12音技法は部分的に使われているにすぎない。

○風のファンタジー さわやかに通り過ぎる一片の風。アルペジオはとても柔らかいタッチ(風を長い髪を撫でていくようなタッチ)で。

○象の住む美しい村 象に乗ってゆっくりお散歩をする、あまり気持ちがいいので眠っちゃうのかもしれません。30小節から右手をきらきら輝くように弾くと良い。

○南極ペンギンのワルツ この曲集の中では子どもには最も分かりやすいかもしれない、ただこの作者は「子どもを喜ばせる」ということは余り得意じゃないような気もする。

○くもの上をあるいてみたら ちょっとリズムが取りにくいかもしれない。速く弾きすぎないように。

○Sun~ misteriosoからがなかなかよろしい。ある程度速く弾きたい。4小節3拍目の右は123123の方が弾きやすいし。最後のスケール、右手このままではレガート不可能、49小節目から2123,4123,1234,1234とする。左はどうやってもつながらないから、まあこのままでも良いでしょう。

○ひまわりの小径 しみじみとした味わいを感じて。7小節目の左は1234の連続で良いと思う。9小節目からの左の形、8分音符の処理はハバネラの感じかな(切ったものをペダルで残す)。24小節の1オクターヴ上は左右とも。

○緑のささやき 奏者が試されそうな作品。感性が豊かで相当表現力を持っている人なら聴かせることが出来るでしょう。

○木星のメヌエット D.Cの前の左手半音階がやや不可解、なぜAから始めなかったんでしょ。

○お月さまの子守唄 この作者は調性感覚に非常に優れたものを持っていらっしゃるようです。

○小鳥のとばない空 小さな悲しみ、小さな怒り、これは子どもでも十分に表現できるだろう。ただ何というか、単独で奏するより何か他のものと組み合わせて使いたいような気はする。技術的には23からの左が難しい。42から悲しくも美しく。ペダル必須。

○ガンジス河の流れ 何か大きなものを感じることが出来るかどうか。

○やさしい地球へ 最後の曲、次の世代に託す希望とでもいった感じがする。これも単独で弾きたくはない。

総合評価   A-

 一言で言って良書です。ただ評価はAかBかで大いに迷いました。

 つまり、少々地味であるということ。子どもがぱっと飛びついてくる華やかさに欠けます。どちらかといえば、大人がしみじみと感慨にふける、それも優れた演奏に接した場合に限られる、というタイプの曲が多い。

 しかし何度も練習を重ねれば、当然曲の魅力に気付くはずで、ある意味、聴衆に迎合していないほんものの良さを知ることにもなる・・かな、そして曲集全体のテーマが広い意味での「自然・環境」、ということでこどもたちにもそれなりにイメージを描きやすい、最後の3曲くらいちょぴっと力作が揃っていた、それやこれやでおまけのA。

 オクターヴはほとんどないが、それでもオクターヴが届くくらいの手の大きさは必要。ペダルも必要なものの方が多い。内容的にも小学校高学年くらいからでしょう。

 何というか組曲っぽい。発表会等で全曲弾かせるという手はありそうです。

 使うのなら、1,2曲じゃなしに、ある程度の曲数、弾かせた方がいいような気がします。

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