あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

カバレフスキー こどものためのピアノ小曲集 Op.27  全音楽譜出版社

 カバレフスキーでは最も利用されていると思われる「こどものためのピアノ小曲集 Op.27」を取り上げることにする。現在では全音から出版されているが、一昔前は音友から出版されていた。全音版は1965年のモスクワ版に基づいている、音友版は不明。二つの版は微妙に異なる所があるがほとんど同一なので、おそらくは作曲者による改訂であろう。

番号 曲名 難易度 評価
 1 ワルツのように   6  B
 2 小さい歌   6  A
 3 エチュード   9  A
 4 川辺の夜   7  A
 5 ボール遊び   8  B
 6 かなしい物語   8  A
 7 むかしのおどり   8  A
 8 子守歌   7  B
 9 小さな童話   7  B
10 おどけ   8  C
11 ロンド   8  B
12 トッカティーナ   9  A
13 いたずら   9  A
14 スケルツオ  10  A
15 マーチ  10  B
16 バラード  11  A
17 芝の上のおどり   9  B
18 ソナチネ   9  A
19 戦士のおどり  11  A
20 みじかいお話   9  B
21 ついせき   9  B
22 ものがたり  11  A
23 ふぶき  11  B
24 エチュード  13  A
25 ノヴェレッテ  12  A
26 エチュード  12  A
27 おどり   9  A
28 気まぐれ  10  C
29 騎士  11  A
30 ドラマチックな小曲  11  B

1.スラーの終わりの4分音符にアクセントが付かないように。3段2小節目のp、音友版にはない。

2.4段目のsubito pが大切。その後もう一度crescさせた方が2分休符が生きると私は思う。

3.ある種の荒々しさが欲しい。

4.4小節目終わりの右、1の方がいいかもしれない。

5.連打の432の指は作曲者の指示であろうが、この段階ではおそらく連打はほとんど修得できてない生徒が大半であろう。教師は自らの責任で指使いを全て321(最初に修得すべき指)に変えても良いと思われる。

6.ヘ短調の練習になる。

7.2小節右手2拍目5とあるが、2もしくは3にして次を143とすると良い。6小節も同じ(次の小節の右を21に変える)。

8.音友版は最初のpがない。

9.音友版は最後から2小節目4拍目にrit。指使いが大分異なる、音友版の方がいい。

11.最後の部分が二つの版で大きく異なる、最後から5~8小節の部分が音友版にはない。当然ではあろうがデュナーミクも変えられている。

12.演奏効果のある曲。左手は鋭角的かつ深みのある音で。

13.あっけらかんという感じで弾く。最後もritしない。

14.指先のスタカートで弾く。二つの版で指使いが異なる。

15.3段2小節目のp、5段5小節目のf、2ページ目4段5小節目のmf、音友版にはない。

16.出だしの弾き方が二つの版で大きく異なる、全音版(レガート)がいいと思う、ただし深みのある音で。最後から5小節2拍目右、4拍目左4とあるがもちろん1の間違い。音友版では1になっている、ということは音友版の方が修正版?(ともいえないな、ソナチネなんかは音友版に明らかにミスがあり全音版は修正されている)

17.速く弾きすぎると難しくなる。跳躍の練習。

18.手が小さい場合は5段3~4小節目、左のGを省く。2ページ3段2小節目最初の音は、右手でFAと取ればアルペジオにする必要がなくなる。

19.テーマの8分音符の弾き方は迷うが、力強く弾きさえすればレガートでもスタカートでも良いと思う。最後の左手1とあるのはもちろん5の誤り。

20.4小節左2拍目、音友版1とあるがもちろん誤り。終わりから9小節目のf、音友版では1小節手前にある。

22.指使いから察するに、4段目の右手のスラーの切れ目は離す必要はない。終わりの方の二度のg mollへの転調が美しい、叶わなかった夢の如く。

24.音友版では曲名が「ころばないで」となっている、そちらの方が私は好きです。

25.中間部をどう思うかで評価が別れるだろう。

26.繰り返しは付ける。三連と付点の区別をちゃんと付けること。

27.3度のスタカートの練習になる(もちろん楽曲としても優れている)。

28.17小節目からのタイ、全音版は4小節、音友版は8小節続く。終わりから4小節目、全音版はf、音友版はp。

29.b mollで初めて与える曲に良い。

30.速く弾かないように、複付点を正確に。終わりから19小節目、両手に出てくるD音、音友版ではDes。

総合評価   A

 カバレフスキーで最も早く翻訳されたのがこの曲集ですが(1959年)、その当時はブルグミュラーに代わる曲集として話題になりました。

 40年以上経った今、ブルグミュラーにとって代わることは出来ませんでしたが、それはこの曲集の罪ではなく、一般に近代ものよりロマン派のものの方が受け入れられやすい、という理由であるからと思われます。

 内容的にはカバレフスキーの子供向き作品中では最も優れた物であり、ブルグミュラーに勝るとは言えないまでも匹敵するとは言えましょう。

 近年このレヴェルの日本人の手による優れた曲集が次々と生み出され、やや影が薄くなってきた感がありますが、もっと見直されていい曲集です。

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