あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ニーノ・ロータ 子どものための7つの小品/戯れるイッポーリト 全音楽譜出版社

 ロータは「ロミオとジュリエット」「ゴッドファーザー」とかの映画音楽で世界中に名高いですが、本質はクラシックの作曲家だったそうです。その子どものためのピアノ楽譜が先日全音から発売されました(2002:11:20)。当研究会はあまり時流は追わないのですが、たまたま楽譜屋で見つけたので、検討してみます。

曲名 難易度 評価
戯れるイッポーリト  16  C
子どものための7つの小品    
 1.ジャンプとゲーム  12  B
 2.カプリッチョ  11  B
 3.子守歌  11  B
 4.小さな階段  10  A
 5.夜のこおろぎ   7  B
 6.ジャングルのプッチェッティーノ  14  B
 7.アクロバット  10  B

○戯れるイッポーリト ハ長調だが、からっと明るい感じ。少し旋法っぽい感じもある。

1.素早い交叉が必要なのでテンポによって大分難易度は変わる。

3.ペダル必須。

4.単純な書法ながら美しい。

5.求められていることを忠実に演奏しようとするのなら、オクターヴが届かないといけない。右手がコオロギで左手が夜の雰囲気でしょうが、日本人なら多分こういう表現はしないような気がします。最後のun filo は「細く消えるように」という程度の意味でしょう。

6.3ページ目tranquilloの手前、ほとんど音がかぶって右手のFisがなかなか聞こえないと思われる。聞こえる程度の速さまで相当遅くするか、少々消えても目をつぶるか、少し迷うところ。「プッッチェッティーノ」は辞書をひいても分からないんですが、名前でしょうかね。

7.お終いの4段を徐々に速くしていくと面白い。私はあまり評価しないが、喜ぶ子どもはいるかもしれない。

総合評価     B-

 ロータがクラシックの作曲家であったというのは初めて知ったのですが、映画音楽で見せるあのメロディーの美しさというものをちょっぴり期待したのですが、空振りに終わりました。ポピュラーとクラシックは峻別していたんでしょうなあ。

 ただし、だったら「クラシック」の方が当然価値が高いかといえば、それは分からないわけで、ひょっとしたら100年経ったらクラシック作品は全部忘れ去られて、映画音楽だけが生き残っているかもしれない。

 さて、この曲集ですが、まあ、使えないこともないかというのが正直な印象。宣伝文句に「クリスタルな透明感」とある、確かにそんな印象は受ける、あるいは先生にあたるカゼラの小品(これは日本版は出てませんが評価Aの曲集です)を思い出させるような所もある。現代物にありがちな難解な書法はない。感情移入を排した独特の明るさが感じられる曲集である。

 ただ、透明感といえば、何となく田中カレンの「星のどうぶつたち」を思い出し、そしてそちらの方が少なくとも日本のこどもたちにはあっているような気がする。

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