あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

バイエルの友 ピアノ小品55曲集   門真直美編    全音楽譜出版社

 これは割と古い本である(1980年発行)。最近は店頭で見かけなくなったが、カタログには未だ残っている。類書に見慣れない曲も割と含まれているので調べてみることにする。なお門真さんは編曲ではなく編集をされたのである。

番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 新しいお話 ビーダーマン   4  D
 2 こどもの遊び ベール   4  C
 3 羊飼いの歌 ベール   4  C
 4 舟歌 ベール   3  C
 5 エルレ   3  C
 6 スペイン舞曲 ベール   3  C
 7 休みのワルツ エルレ   5  C
 8 錫の兵隊 ハック   4  C
 9 はじまり ヴィルム   5  D
10 木馬 ニュルンベルク   5  C
11 屋根の上の鳩 フィンク   7  C
12 ト調のワルツ ベール   6  B
13 春の花 ビーダーマン   4  C
14 ボートが傾くとき デュットン   5  C
15 水の精 ベール   7  A
16 ゆれるゆりかご デュットン   4  C
17 クリスマスの秘密 デュットン   4  C
18 革を着たおじいさん ビーダーマン   5  C
19 ハンガリーのダンス エンゲル   6  C
20 船歌 ハック   7  A
21 ヴェニスのゴンドラの歌 メンデルスゾーン=ギャリコ   7  C
22 歌の翼に メンデルスゾーン   8  B
23 紡ぎ車 デュットン   7  C
24 ティロリアンヌ ルンメル   6  B
25 ジョスランの子守歌 ゴダール=ギャリコ   7  B
26 縁日 グルリット   5  B
27 クリスマスツリーの下で ヒラー   5  B
28 五月の朝 ビーダーマン   7  A
29 ロンディーノ・ギャロップ ルンメル   5  C
30 ポルカ=マズルカ ベール   7  A
31 メロディー トメ   6  C
32 あやつり人形 ローデ   7  A
33 トルコ行進曲 モーツアルト  12  C
34 静かな夜 ベール   9  B
35 小さな踊り子 ストレアボーグ=ギャリコ   7  B
36 花の便り ハック   5  B
37 踊りの時間に リヒナー   6  A
38 子どもの遊戯 ウォルフ   6  B
39 夏のバラ ハック   7  A
40 朗らかなさすらい人 イエンゼン  11  B
41 湖上の小舟 クラック  10  B
42 バガテル Op.33-3 ベートーヴェン   8  B
43 前奏曲 4 ショパン  11  A
44 黄昏に レシュホルン   7  B
45 アンダンティーノ・ウン・ポコ・アレグレット ハイドン   7  B
46 メヌエット ベートーヴェン   8  C
47 ドイツの歌 チャイコフスキー   8  B
48 お人形のお葬式 チャイコフスキー   9  A
49 イタリアの歌 チャイコフスキー   7  A
50 古いフランスの歌 チャイコフスキー   7  A
51 あこがれ ベール   7  B
52 お祖父さんの踊り カルガノフ   8  B
53 トルコ行進曲 ベートーヴェン   7  A
54 教会に行く ケーラー   7  D
55 ラッパ手のセレナード スピンドラー   7  A

1.23の3度がある。曲としてもどうってことない。

3.ポジションの移動はない。難易度3でもいいかな。

4~6.譜面面は1~3より難しそうだが、こういうのは難しくない。1の方がややこしく弾きにくい。 

7.長い。

9.シューマンの「メロディ」を思い出すが、無論あちらの方がずっとよろしい。

11.これはあちこちで見かける。同じことの繰り返しが多く私はあまり好きではない。

12.長い、が発表会などには使える。

14.奇抜な題名。

15.長い。発表会用。2ページ目最初の右手は、普通に弾けば1になる。4ページ3段2小節目右手1拍目5とあるが普通に弾けば4。

20.これはあちこちにある名曲。右ページ2段目最初の左手3とあるが小さい子なら1、もしくは前の小節から12125。

21.Op.30-6の編曲。何というか、原曲の出涸らしみたい。

22.これはまあまあの編曲だが、左に跳躍が多く、ギリギリの腕前で弾くより余裕のある腕前でさらっと弾くという感じ、教材向きではない。なお編曲者は記されていない。

24.最後の小節の左、4になっているが少し苦しい。4でしょうね。

26.同一音型が多くこういうのは易しい。練習曲として使えないわけでもない。「ほがらか」という曲名になっている本もある。

27.8分の3だが、8分の6,あるいは8分の12ととらえて、最初の1小節をアウフタクトに感じるのが良い。

28.たとえば2段5,6小節目の左の端の音を4にしてあるが、どこかでも書いたが指の構造上5の方がいいのである。

30.長い。発表会用。

31.3段目最初の右手1から5の指換えになっているが変、4から5の指換え。なお次ぎも4から5の指換えをした方がいい。

32.これはあちこちにある有名曲。

33.誰の編曲か知らないが、ムムムと思う。なお解説に「これがきちんと弾けたら原曲を弾くのも難しくない」と書いてあるが、冗談でしょと言いたい。

34.ペダル必須。

35.ケーラーの「ギャロップ」とちょっと似ている。なお「ストレアボーグ」とは「ストリーボッグ」のこと。

36.それなりに美しいかな。

37.これもあちこちにある。

39.これは使える。2小節目右手2拍目は3から5の指換え。8小節目右手432とあるが、431にして次が3になる。

40.ペダル必須。手が大きくないと無理。繰り返しは付けた方がいいと思う。

41.ペダルはあった方がいい。中間部の両手の16分音符は一種の不安感であろうか。

42.原曲を少し変えてある。

43.これも少し変えてある。おそらく易しくするためであろうが、半年かそこら待って原曲を弾かす方がいいと思う。

44.3段目最初の右手32とあるが不可、52。

45.2段2小節目最初の右手3から2とあるが4から2の誤りだろう。4段2小節目右手最後の音,BDとあるがAsCの誤りと思われる。

46.この曲は初めて見る。オーケストラ用に書かれた6曲のメヌエットの楽譜が紛失しピアノ譜だけが残っているらしい。その1曲目だそうな。あまり使いたい曲ではない。6段1小節目4つ目の右手に53とあるが、3つ目の誤りと思われる。

47.ここからチャイコフスキーが4曲ある。先に調べた全音版と異なる版のようである。演奏が明らかに変わる異同は大作曲家の方に書いておきます。

48.Op.39-8とあるが、39-7です。

49.全音版と大分フレージングが異なる。最後を除いて私は全音版の方がいいと思う。

50.3段1小節目左G、4とあるが2でしょう、次が12、4小節目も。2小節目は5121。

51.2段4小節目右手最初1はミスプリ、当然4。

52.題名からしてあまり速く弾いてはいけない。

53.この編曲は初めて見る。最初の部分だけだが割と良い編曲。

54.手が重なるのでペダル必須。日本の子どもにはおそらくよく理解できない。

総合評価   C

 ベ-ル、ビーダーマン、ハック等ごく少数の曲で知られている作曲家のあまり知られていない作品が多数含まれている小品集。

 ただ作曲家は全て一昔前の人間であり、その知られていない作品ということは、つまりこれまでに淘汰されてしまった作品であると言うこともできる。事実1,2曲を除いてこの曲集でしか手に入らない曲で、良いなと思ったものはない。

 生徒に買わすことは考えられない。ただベールの「水の精」「ポルカ・マズルカ」、どちらも持っていないという先生は買っておいても良いかもしれない。

 なお指使いに縮小を多用する独特の癖がある。使用するときは注意。

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