あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

リャードフ ピアノ作品集  佐々木弥栄子解説・校訂  全音楽譜出版社

 バッハさんのリクエストにより「リャードフ ピアノ作品集」を取り上げます。リャードフは「五人組」より少し後、革命前のロシアの作曲家。管弦楽の「キキモラ」とか「バーバ・ヤガー」あたりが有名。ピアノ曲が日本にまとまって紹介されたのはこの曲集によってでしょう。1988年のこと。

曲名 難易度 評価
2つのバガテル Op.53-2  18  B
          Op.53-3  22  B
2つのエチュード Op.37  21  B
           Op.40-1  24  B
3つのプレリュード Op.57-1  19  A
            Op.40-2  19  B
            Op.39-4  23  B
2つのマズルカ Op.57-3  15  A
          Op.42-3  20  B
マズルカ Op.11-3  18  B
音楽の玉手箱(オルゴール) Op.32  18  A
舟歌   23  A
グリンカの主題による変奏曲 Op.35  25  B
ポーランド民謡の主題による変奏曲 Op.51  24  A
2つのフーガ Op.41-1  21  B
         Op.41-2  20  B
カノン Op.34-2  16  B

○バガテル1. 指定速度は大分遅いのでさほど難しくない。あっという間に終わってしまう短い曲。よどみなく流れるように弾けると良い。

○バガテル2. 前曲より大分難しい。しかし、何気なく優しさの感じられるような弾き方が良いと思う。 

○エチュード1. 5連符と2連符の組み合わせ、右手の細やかな動き、の練習ということになるのかな。指定速度はそれほど速くはないので特に難しいと言うほどのことはない。左手の指使いには異論があるかもしれない。

○エチュード2. 右手の重音の練習。かなり遠隔調に転調しているので、譜読みがやや面倒かもしれない。

○プレリュード1. リャードフ独特の細やかさとロシア的な大きさが合わさった佳品。

○プレリュード2. 5連と3連の組み合わせの練習曲に近い。

○プレリュード3. オクターブのエチュード? かなり派手な曲だがこういうのはリャードフの本領ではないような気がする。

○マズルカ1. この曲集中最も平易。ショパンのマズルカよりは年代が新しいという感あり。

○マズルカ2. A、fis、Aと変わるが、fisの部分が最も長くかつ美しい。

○マズルカ. これもめまぐるしく転調する。3曲弾いてみて、同じくマズルカとはいえ、やはりショパンのものとは大分異なる。

○音楽の玉手箱 こういう曲は余りルバートをしないこと。

○舟歌 ショパンでいうと「舟歌」よりは「子守歌」に近いかな。

○グリンカの主題による変奏曲 最も大規模なもの。シューマンの「アベッグ」に似たような難解さ、ただ曲想はむしろシューベルトをややこしくしたような感じ。手が込んでいるわりに演奏効果が上がらないという気はする。

○ポーランド民謡による変奏曲 上記のものよりややこじんまりしている。その分まとまりが良いかなという感じ。左手の運びなどに多少ロシアっぽい大きさめいたものも感じられる。

○フーガ1,2. さすがにロマン派という時代を感じさせる。そのせいかどうかバッハのフーガより譜面面の印象よりはやや弾きにくいような感じがする。

○カノン ソプラノをバスが2倍の長さで追いかけている。3曲の対位法作品の中では最も分かりやすい。

総合評価  B

 何というか、花にたとえれば野のスミレでしょうかね。目立たずひっそりと咲いている、気がついた人が見れば美しい。ただ多くの人は気づかずに通り過ぎていく・・

 その精神は何やらシューベルトに通じるようなものがある気がします、優しく美しい。ただし時代が下がる分シューベルトほど単純な書法ではない。

 ロシアものと聞いて連想するある種の大きさ、派手さといったものとはほぼ無縁、教材としては使いにくいような気はします。

 1,2曲弾いてみて、その魅力を感じる方にはおすすめ、という感じでしょうか。

 指使いは佐々木さん独特のものと思われる。参考程度にされるがよろしかろう。

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