あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

たのしいバロックアルバム 47の小品と8つの連弾 市川都志春編著  教育芸術社

 教育芸術社のものは始めて取り上げることになる。割といい出版社だなという記憶はあったのだが、出版点数が少なくおまけにバイエル系がほとんどだったのでなかなか取り上げる機会がなかった。これはこの前店頭で見かけて「へえ、こんなのも出してたんだ」と購入したもの。1997年に出ている。なお連弾の編曲は22番が横山潤子さん、その他は鹿谷美緒子さんによる。ということは市川さんは、編集と解説をしただけなんでしょうな。

番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 アリア BWV514 バッハ    6  C
 2 アリエッタ テュルク   4  B
 3 メヌエット クリーガー   5  A
 4 アリア Anh.131 バッハ    6  B
 5 カンツォネット ネーフェ   5  C
 6 メヌエット BWV822より バッハ   5  A
 7 メヌエット ラモー   5  B
 8 メヌエット(連弾) ヘンデル   6  B
 9 アレグロ テーレマン   6  B
10 マーチ クラーク   5  A
11 メヌエット テーレマン   7  C
12 シュベビッシュ J.C.F.バッハ   4  C
13 メヌエット ヘンデル   6  B
14 子守歌 キルンベルガー   5  C
15 ジーグ テーレマン   6  A
16 ラルゴ(連弾) ビバルディ   6  C
17 アングレーズ L.モーツアルト   7  A
18 メヌエット BWV822より バッハ   6  A
19 アレグロ テーレマン   6  B
20 アリオーソ A.スカルラッティ   7  A
21 古いドイツの踊り 作曲者不明   8  A
22 ロンドー(連弾) パーセル   5  B
23 メヌエット Anh.116 バッハ   7  A
24 スケルツァンド A.スカルラッティ   7  B
25 インパーティネンス ヘンデル   8  A
26 リゴドン ヘンデル   9  B
27 メヌエット Anh.132 バッハ   9  A
28 イントラーダ グラウプナー   9  B
29 見よ勇者は帰りぬ(連弾) ヘンデル   5  A
30 ミュゼット Anh.126 バッハ   6  A
31 ポロネーズ Anh.119 バッハ   8  A
32 アングレーズ J.C.F.バッハ   7  C
33 ブレー ヘンデル   8  B
34 ガボット クープラン   8  C
35 フゲッタ パッヘルベル   7  C
36 ポロネーズ Anh.125 バッハ   8  A
37 ポロネーズ(連弾)管弦楽組曲2より バッハ   6  A
38 マーチ Anh.122 バッハ   9  A
39 メヌエット Anh.113 バッハ   8  B
40 ブルレスカ F.バッハ   7  B
41 サラバンド コレッリ   8  A
42 アレグロ w116/54 C.P.E.バッハ   8  A
43 ブレー  BWV996 バッハ   9  A
44 ガボット(連弾) 管弦楽組曲3番より バッハ   7  B
45 小プレリュード  BWV939 バッハ   9  A
46 ファンタジア w 113/3 C.P.E.バッハ  12  B
47 ガボット フランス組曲5番より バッハ  12  A
48 小プレリュード BWV.927 バッハ  11  A
49 バディヌリー(連弾) 管弦楽組曲2番より バッハ   9  A
50 ソナタ K.74 (L.94) D.スカルラッティ  10  B
51 サラバンド ヘンデル  12  A
52 ブレー テーレマン  10  B
53 F.バッハ   9  A 
54 小プレリュード BWV926 バッハ  11  A
55 ルジュイサンス(連弾) ヘンデル  10  A

1.あまり使われない、さもありなんという感じ。

3.楽譜が他の版とわずかに異なる。左手が一部二声になっているが、もちろん手が小さいと届かない、単声にして良いと思う。

6.繰り返しは付けた方がいい。

7.フレージングをどうするかは迷うところ。なおこの時期のフランスバロックにおいては二つの音にスラーがある場合、不等分割を表すという近年有力な学説がある(それに従って弾くと、しかしびっくり仰天の音楽になる)。

8.(連弾)primo6小節左3拍目1とあるが、4にして次をポジションの移動で2にする方がいいと思う。

9.4分音符は全てテヌート気味のノンレガートだろう。

10.出だしの右は2でも良いと思う(Fisを4にもっていきやすい)。

11.右ページに「クラヴィーア」についての解説があり、その中でバッハの生きていた時代にはピアノは未だ発明されていなかったとあるが、厳密に言えば誤り(音楽クイズ参照)。

13.こういうのは各小節ごとにパターンが違うので見かけより難しい。

15.よく見かける佳曲。このフレージングも良い。

16.「冬」の2楽章。編曲は良いのだが、あまり使わせたくない指使いになる。3小節目の右手の形は212345がまだしもだろう。

17.これも一つのフレージング。

18.普通6番と組み合わされているが、こういう風に分けて弾かしてもまあ良いか。

19.初めの繰り返しは必ず。お終いも私は付けたい。

20.4段2小節目右手132とあるが142だろう。終わりから2小節目の右手E、2とあるがおそらく無理、1から2への指換え。

22.ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」の主題。Aにするか迷ったが、音域がやや高すぎてきんきん響くのが少し気になるので・・

23.このフレージングは比較的手の大きい生徒用。繰り返しから3小節目左、13とあるが53。

24.あまり遅いと感じが出ない、1小節1拍に感じられる速さで。最初の繰り返しは付けた方がいいと思う。

25.レガートを重視した解釈、こういう解釈もある。

27.繰り返しはどちらも付ける。難易度8でもいいような気がしてきた。

28.手が小さいと難しい。

30.非常にすっきりした、単純明快な解釈。初心者には最も弾きやすいかもしれない。

33.スラーを付けまくっているが、さすがにこのフレージングはちょっと安直な気がする。

35.以前6としていたが、難易度7に修正しておきます。

37.32音符を説明するかどうか、それが危ういようなら使えないかもしれない。

38.2分の2です。

39.Anh.は114からと思っている人もいる。この曲は滅多に使われない。そんなに敬遠することもないとは思うが。

40、42.ほとんど古典派に近い。

43.一覧表9-39.なかなか他の併用曲集で見かけなかったのですが、こんな所にありましたねえ。

44.親指黒鍵が多い、ということをどう考えるか。

46.終わりから2小節目3拍目の右手521は子供では苦しいだろう、511かな。

47.左手の1拍目、私はつなげたい。

49.これはなかなか良い。

50.この曲が好きなのなら、スカルラッティをチェルニー代わりにいくらでも使える。

51.テーマの左手の8分音符、ポルタメントという表示がなされている版が非常に多いが、私はレガートの方が自然でいいと思う(もちろん原典には一切の記載はない)。

53.最後の一段はある版とない版がある。

54.速さにもよるが、8分音符上の装飾音は省いても良い。

総合評価   A-

 初心者用のバロックの曲集として当会のこれまでの推薦は、「プレ・インベンション」と「バロックアルバム」である。前者の方がやや易しい。この曲集は「プレ・インベンション」とその性格を同じくするものである。

 長所は難易度5,6当たりの曲を多数集めているということ、それから何よりも譜面が非常に見やすいということであろう。難易度もほぼ曲順と一致している。

 ただやはり、と言うべきか、難易度の低い楽曲においては、見慣れたもの以外にあまり良いものはない。そして連弾を除けば全てどこかの曲集で見たものばかりである。

 連弾(もちろん編曲)を混ぜているというのが新機軸。特に後半のものはなかなか良い、ただバロックのこういう作品をピアノ連弾に編曲するということにとまどいを感じる先生はいるかもしれない。  

 バッハの作品が圧倒的に多い。つまりバッハを中心に幅広くバロックを弾かそうとする先生にはうってつけの曲集である。

 フレージングは何というか非常に明快(単純)な付け方が多い。初心者には分かりやすくて良いのだが、気になるものもあるかもしれない。

 公平に見て「プレ・インベンション」に劣るとは思わない。ただ評価にマイナスがついたのは、ソロの47曲中20曲まで同じ曲である。この時代の良い曲を集めようとするとある意味必然的なのかもしれないが、そのことに関してだけはあまり良い印象を持てなかった。中身には関係のないマイナスなので気にしない先生は大いに使っていただきたい。

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