あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

シャブリエ ピアノアルバム   全音楽譜出版社

 カノンさんのリクエストによりシャブリエを取り上げます。シャブリエはフランスの奇才、近代音楽の先駆けとも言うべき人物。日曜作曲家だったので作品の数は余り多くない。音友版もあるがそちらにはごく初期のものも含まれている。全音版はそれを省いて、その代わりに有名なオーケストラ曲の編曲版が載っている。重要な作品はどちらにもある。なお私の所持している楽譜は相当古いので、ミスプリが修正されている可能性はある。

曲名 難易度 推薦
絵画的小品    
  1 風景  24  ☆
  2 憂い  15  
  3 旋風  20  
  4 木陰にて  19  
  5 モール風舞曲  20  
  6 牧歌  21  ☆
  7 村の踊り  19  ☆
  8 即興曲  24  
  9 はなやかなメヌエット  20  ☆
 10 スケルツオ・ワルツ  20  ☆
ハバネラ  19  ☆
ブーレ・ファンタスク  25  ★
エスパニア  28  ☆

1.シャブリエのエッセンスが全部入っているような曲、この曲が嫌いならシャブリエは肌に合わないということ。ロマン的というのではないがテンポの変化は激しい。全音版3ページ2小節右手1拍目裏AFとあるがAsFの誤り。8ページ3段2小節目右手上声DAsGとあるが、DFEの誤り。

2.弾くだけなら大して難しくはないが。この曲もやはりテンポの微妙な揺れが要求される。左ペダルは終わりのmarcatoのところまで踏みっぱなしてもいい。

3.速いと相当難しいが、ゆっくりだとこの曲の面白さが出ない。9小節目左手指413とあるが431の誤り。

4.冒頭にsenza pedalとあるが、右手のメロディーが入ってからは細かく最小限に使った方がいい。真ん中あたりまでがややつかみにくい。

5.「モール風」とは「スペイン風」(ただしイスラム教徒に支配されていた頃のスペイン)ということ。まあ、そんな感じがしないでもない。

6.わたしは「絵画的小品集」の中では一番好きです。ペダルをどう使うかに頭を悩ませる。

7.主題はノンレガートとスタッカートをうまく使う。中間部は少しテンポを落としても良いと思う。

8.まとめにくい。奏者の力量がよく分かる作品かもしれない。

9.分かりやすいのでシャブリエを最初にするには良いかもしれない。

10.前曲と並んで分かりやすい。4小節目の右手、18小節目の左手などは親指から別の指への素早い指換えで対処する。

○ハバネラ オケ版の方が有名かもしれない。こちらが原曲です。ハバネラのリズムが付点になっている箇所と複付点になっている箇所があるが、これはやはり区別するのだろう。

○ブーレ・ファンタスク シャブリエの最高傑作。とてもお洒落に弾きたい。

○エスパニア 結構ピアニスティックな編曲がなされているが、それでも私はこれはやはりオケで聞きたい。なお、一番最後の二重線のすぐ後の和音、私は右、左、右で取るほうがいいとおもう。

○その他の作品

曲名 難易度 推薦
バレエの歌 19

○バレエの歌 いかにもシャブリエらしいエスプリの利いた作品。最初はAllegretto、次にAllegroとなることに 注意。左のオクターブについている短前打音は親指をずらすように弾く。これがおしゃれに弾ければ相当センスがある。

あとがき  シャブリエはロマン期におけるフランスの作曲家としては、サンサーンスと並ぶほどの人である。というかこの時代、フランスにはろくな作曲家が出なかった。ロマン派の神髄ともいうべき音に感情を込める、音に意味を込めるという点において、フランス人というのはどうもそういうしつこさというか、くどさが肌に合わないのであろうか。

 そんな中においてサンサーンスはやはり稀代の才能を持っていた人物でフランスのこの時期の作曲家ではまず筆頭にのぼる。そしてシャブリエである。彼は音によって感情を表そうと、そもそもしなかった。彼が表したのは音による冗談、機知とでも言うべきものである。そして風景。

 ロマン派の根本的思潮に背を向けて独自の作風を貫いた彼は、現在近代音楽の先駆者とたたえられる。しかし和声的にはサティなどと異なりあくまでロマン派である。

 日本では余り演奏されない。そもそもフランス人気質というのはどうも日本人から最も遠いところにあるのではなかろうかというのが、私の考えである。しかしまずオケ版の「エスパニア」をお聴き下さい。いわゆる感動を求めようとはせずに、音楽を純粋に楽しんで下さい。楽しめる方ならば・・シャブリエをどうぞお弾き下さい。

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