あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ハチャトゥリャン 少年時代の画集  全音楽譜出版社

 ばっはさんのリクエストにより「少年時代の画集」を取り上げることにします。ハチャトゥリャンは「剣の舞」を子供に聞かせてやるとまず確実に喜びますね(ソロの編曲はなかなか良いものがない。連弾ではヤマハから良いのがあります)。ピアノ曲は数が少ないが、私の知る限り一番いいのは「トッカータ」と「ソナチネ」かなと思います。

番号 曲名 難易度 評価
 1 小さな歌   7  A
 2 スケルツオ   8  B
 3 お友だちは病気  10  C
 4 誕生日のパーティー  10  A
 5 エチュード  11  A
 6 昔のお話  11  B
 7 木馬  10  B
 8 フォークダンス   9  A
 9 バレエのひとこま  10  B
10 フゲッタ  12  C

1.ペダルは欲しい。装飾音は前に。左手のテヌートを余り押しつけすぎないように。

2.3段目の左手の書法はヘミラだということ。

3.3小節目左手最初の音、AになっているがAsのミスプリの可能性あり。

4.現代風ワルツ、結構派手。中間部最初の音型はヘミオラと考えた方がいい。

5.子供の受け、という点では、この曲集中№1かもしれない。

6.ペダルは欲しい。さほど困難な曲ではないが初心者には譜読みが面倒だろう。

7.これは譜読みは割合楽。

8.中間部右手の和音で下のメロディー音を強く出さなければならない箇所がある。これを厳密に要求するとなると相当難しい。

9.対位法で書かれているが、受け答えがほとんどなのでその意味の難しさはあまりない。バロックの好きな子に、「現代版の対位法」ということでさせてやっても良いかもしれない。最後の左手の音はDesで、あっているのだと思うが、絶対に長く延ばさないように。(わずかだがヘ音記号が落ちている、すなわちFという可能性もないではない)

10.9が気に入った子なら、与えてみても良いかもしれない。

総合評価     A-

 ハチャトゥリアンには独特の味がある。現代と中央アジアの民族音楽とをうまく融合させたその音楽には何か強烈なエネルギーというものが感じられる。

 この曲集でもそういうハチャトゥリアンの個性が明瞭に表れているものに、良い作品がある。たとえば5であり8である。そうでないものにも良いものもあるが、普通の現代物とほとんど変わらなくなってしまって、よく分からないといったものまで見受けられる。

 たいていは先生が前もって一部分なりと弾いてやり、子供の意志を聞いてから与える方がいい。勝手にぽんと与えてしまうと、3などは楽譜を見ただけで拒否反応が生ずるおそれがあり、10も9割方の子供からは最初の2段くらいで「やあめた」と思われかねない。

 しかし受けたときは、相当熱中して弾いてくることも十分予想できる。

 先生は当然持っているべき曲集である。

 

追加) Miyukiさんからのご報告により、ロシアの版では、私が指摘したように3番の3小節目の左はAs、9番の最後の音はその前にヘ音記号が入っているということが、確認されました。 

 ということでどちらも全音版はミスプリであると思われます。9番の註も変更・・絶対に長く延ばさないように、というような神経質になる必要はない。

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