あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

田中カレン  星のどうぶつたち     カワイ出版

最近ちょくちょく名前を聞く田中カレンさんの作品を取り上げてみることにする。

番号 曲名 難易度 評価
 1 星のうた 1   4  A
 2 おひつじ   5  C
 3 うさぎ   6  C
 4 やぎ   7  B
 5 こうま   5  A
 6 星のうた 2   5  A
 7 こぎつね   6  B
 8 おうし   6  B
 9 かに   8  C
10 きりん   7  B
11 星のうた 3   6  B
12 おおぐま こぐま   9  A
13 うお   8  B
14 りゅう  13  B 
15 こいぬ  14  B
16 星のうた 4   8  B
17 いっかくじゅう  14  A
18 ペガサス  15  A
19 はくちょう  18  A
20 ライオン  18  B

1.小さい子に弾かせたい。しかしそうすると補助ペダルが必須となる。私は自分の生徒にはペダルは足が届くようになるまでは使わないのだが・・この曲は・・困ったものだ。

4.中間部、ペダルなしで厳密に楽譜を守ろうとすると右手は相当困難になる。たとえば9小節目415,13小節目535としてあくまでスラーを守らせるか、ペダルに任せるか、あるいは6拍目を左で取るという手も考えられるが・・きれいな曲だが教材としては非常に使いにくい。

5.透明感を大切にして。

6.1と同系統。やはり補助ペダルがいるだろうな。繰り返しの後は一瞬の間をとるのが良い。

7.曲自体はAでも良いのだが。中間部の右手の指はどう弾かすつもりなのだろう。指換えを使うのが一番無難だろうが、見た目より弾きにくく、この曲を弾かしてやりたい小さい子供には苦しいことは確か。中間部はまたペダルを使う方がきれい。

8.8度ポジションの装飾音がある。手が小さいと苦しい。

9.この本はすべてそうだが、指使いが記されていない。この曲などは前もって先生がある程度記してやらないと、とんでもない指で子供が弾いてくる可能性大。

10.何気ないが不思議な魅力がある。

11.左は9度ポジションのみ。手が小さいと苦しい。

13.左に9度ポジション。トリルは数が多い方がいいと思う。

14.半音階の練習曲として使える、右手だけだが。指定速度どおりだともう少し難しい。

16.「星のうた2」が少し難しくなったという感じ。

17.右の連打は32が良いだろう。遅いと面白くない、指定速度に近づけること。D.Sの後も繰り返しをするのだと思う。

18.これは余り速く弾かない方がいい。ペダルの踏み変え箇所は作曲者が緻密な計算をしているようである、勝手に変えないように。

19.中間部をどれくらい遅くするかで難易度が大分変わる。書法が単純な分「子供向き」なのだろうが、これと次は大人が弾いて一向に差し支えない。

総合評価    A (B)   

 評価に少し困ったが・・曲集としてはAを差し上げても良いと思う。ただし教材としては相当使いにくいということで、B+ということ。

 私は美術的センスはからきしない人間であるが、それでもこの本の表紙は美しいと思う。私が子供だったらそれだけでこの本を好きになったかもしれない。

 独特の透明感に溢れた曲集である。星座を表した音楽ということでそういう作品を作ったのか、そもそもそういう作風なのでこういう題名にしたのかは分からないが(多分後者であろう)、曲と曲名が良くマッチしている。

 書法は単純化されていて不必要な難しさはほとんどない。始めの数曲は幼稚園か小学校低学年くらいにぴったりだと思う。しかしペダルは必須である。手の大きさについての配慮も一部を除いて、ない。(ひょっとしたら作者は配慮したつもりかもしれない、オクターヴは二曲を除いて、ないから。しかし八度ポジション、九度ポジションがよく出てくる)

 手の大きさからすると小学校高学年くらいからなら使えるという感じ。ただその年代になるとどちらかといえばロマン派的なものを好むようになる子が多い。この曲集は決してロマン的ではない。星のきらめきの如く理知的というか、硬質な響きが要求される。 

 最初は易しい曲が多いが、途中から突然難しくなり、最後の二曲は、途中でも触れたようにそれこそプロが指ならしかアンコールに使って何らおかしくない程度の難しさ。

 思うに作者は「子供向き」ということである種の分かりやすさを己に課したものの、後は自由にファンタジーの赴くまま作曲したのであろう。曲集としては私は好きだし評価したい、だが教材としては・・ムムム・・となる由縁である。先生が自分のお気に入りを発表会ででも渡すんでしょうかね。 

 生徒に渡すときには指使いをあらかじめ書いてあげた方が良い曲が多い(特に前半)。先生の研究が必須という曲集。

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