あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

池辺晋一郎 こどものピアノ小品集 雲の散歩/リズムの小箱  音楽之友社

 会発足後、最初に取り上げるのは池辺晋一郎さんの曲集です。私の知る限りではピアノ曲はこの曲集とあとカワイ楽譜から「お話ころんだ」というのが出てます。合唱曲の方が有名でしょうかね。

○雲の散歩

番号 曲名 難易度 評価
 1 いわし雲のうた   5  C
 2 雲、あかね色   6  B
 3 ちぎれ雲の思い出   5  C
 4 雲の散歩   5  B
 5 のんびりわた雲   6  C
 6 夜の雲はお月さまと話してる   6  B
 7 昼さがりの雲は子守歌を歌う   7  B
 8 まっすぐに、ひこうき雲   7  C
 9 雲がはこんできたもの   8  C
10 うす雲、日がさ、雨のきざし   9  A
11 メエエと啼かないひつじ雲  10  B
12 山のてっぺん、かさ雲ふわり   8  B
13 おぼろ雲すかしてぼんやりお日さま   8  C
14 きり雲すかしてくっきりお日さま  10  C
15 雪雲まっくろ、黒から白へ  11  C
16 入道雲の大きな顔  13  C
17 雲のはしが大地をつき刺す   7  C

2.自然に左手にメロディーが移行している。

9.珍しく無調系の作品。

10.臨時記号の練習になります。指定速度は大分遅いが、もう少し速いほうが雨の兆しの切迫感が出る。

9~11は同系の作品。10が一番成功している、11もまあまあ、9はいまいちと思う。

13.最初の7連ぷは2拍で7つなのか3拍で7つなのか定かでない、理論上はどちらにも取れる。

13~16.ここら辺は何というか描写音楽という感じ、たとえばそれぞれの雲のスライドのバックミュージックとしては良いのかもしれないが、教材としてはまず子供が喜びそうではない。

○リズムの小箱

番号 曲名 難易度 評価
 1 マッチぼうのマーチ   5  C
 2 やわらかなマーチ   5  B
 3 メヌエットのシルエット   6  C
 4 ちょっぴりかなしいガボット   6  C
 5 おどけたポルカ   6  B
 6 人形のマズルカ     7  B
 7 音階のワルツ   7  B
 8 音階のポルカ   8  B
 9 あいつ・こいつ・ワルツ   7  B
10 ジグザグ・ジーグ   9  C
11 たるんでるタランテラ   8  C
12 いばりん坊のポロネーズ   8  C
13 和音のメヌエット  10   C
14 和音のギャロップ  10  C
15 チャルダッシュでダッシュ  10  C
16 みんなで踊ったおけさ  10  B

2.右ページ左手のフレージングに注意。

3.頭の勝った子には良いかもしれない。

6.3小節目右手123とあるが、23の箇所が子供には苦しいだろう。312(3)が良いと思う。

7.私は好きではないが、ある種の魅力を持っていることは否定できない。聴かせてみて面白いと思う子供には有益でしょう。

8.ある程度速くないと面白くない、指定速度に近づけたい。お終いから9小節目右手の最初が5になってるのがよくわからない、1のミスプリなのか、その前とつなげないようにという指なのか。

9.始めと終わりは面白いが。

10.指定速度が四分音符の84となっている。付点四部の間違いの可能性あり?

総合評価      C

 池辺晋一郎さんの合唱曲は私好きなんですけどね、この本はあまり高い評価を差し上げることが出来ない。

 「雲の散歩」の後半を除いて、現代物にありがちな難解さというようなものは、ない。子供用の曲集らしく簡明にという方針が貫かれている。しかし簡明であればそれでいいのかといえば、もちろんそうではない。少なくとも私の生徒でこの曲集を喜ぶ子供があまりいるとは思えない。

 ただ使い道は考えられる曲集である。つまり現代的な音の使い方というものに慣らさせたいと教師が考えるときには、役に立つ。湯山昭や平吉毅州のような前近代の名残はなく、かといって三善晃のような晦渋さはない、平明でありながら完全な現代曲である。そういうものを学習させようと考える先生には、うってつけかもしれない。

 作者は相当ピアノはうまいのであろう。指使いは非常によく考えられている。

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