あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

ストリーボッグ やさしい二つの練習曲 Op.63 Op.64   全音楽譜出版社

 練習曲を取り上げるのは初めてである。というか実はこの閻魔帳では純然たる練習曲集を取り上げることは少ないと思っていただきたい。というのは曲の評価基準の中に、芸術作品としてという項目が大きなウェイトを占めているからである。練習曲の場合はむしろ練習曲として使えるかどうかということの方が重要であると思われる。だったらそのように基準を変えればいいと思われるかもしれないが、たとえばブルグミュラーも練習曲である。そして25の練習曲集など練習曲としての評価よりむしろ楽曲としての評価の方が高い場合がある。

 ということで下の表でも曲の評価は練習曲としての評価ではなく、あくまで楽曲として推薦できるものという意味である。 なぜこの曲集を取り上げたかといえば、初心者用の併用曲集に結構この練習曲集の中の曲が含まれているからである。

  番号 難易度 推薦
Op.63  1  5   
   2  5  
   3  5
   4  5  
   5  5
   6  5  
   7  6  
   8  7  
   9  6  
  10  6  
  11  6  
  12  7  
Op.64  1  9  
   2  9  
   3  9  
   4  7  
   5  8  
   6 10  
   7  8  
   8  8  
   9  8  
  10  8  
  11 10  
  12 10  

Op.63ー3 この本でおそらく最もポピュラーな曲。さまざまな題名で各種曲集に収録されているが「すずめの歌」というのが私の知る限りこの曲に一番ふさわしい気がする。

Op.63-5 これも有名な曲。3段1小節目右手半音階は131312の方がいいと思う。3小節目からの右手の指は全部23で弾く手もある。

Op.63-6 トンプソン教本でペダル修得用に使用している。

Op.63-8 手の小さい生徒には非常に難しい。

Op.63-10 この曲で右手の二声を練習させるつもりならば、たとえば3段目の右手上声は全て4から5の指換えにしてレガートに弾かせることとなる・・・相当難しくなる。

Op.64-4 Op.64は63に比して練習曲としての色彩が強まり、併用曲集に含まれる割合も少なくなるが、この曲などは「孤児」という名で出ている。

Op.64-8 「きつつき」という名で出ている。右ページ1段3小節目右手指135とあるが当然125です。

総合評価  D

 解説に「バイエル後半」とあるが、Op.63はともかく、Op.64の方はバイエルクラスでは無理だと思われる。テンポを非常に遅くすれば出来ないこともないが、(時々練習曲を非常に遅いテンポで弾かしているのを見かけるが)それはほとんど無意味である。

 Op.63の方には優れた曲も見かけられる。ただしこの曲集全曲知る必要があるかといえば、首をひねる。あちこちの併用曲集に優れた曲は収録されているから、それで充分のような気がする。

 指使いはほとんど問題がない。解説も問題ないが、それらはこの曲集自体の価値を高めるものでは無論ない。

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