あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 作品集 

 

パルムグレン ピアノ名曲集   全音楽譜出版社

 バッハさんからのリクエストのあった「パルムグレンピアノ名曲集」です。これも全音ですが、まあ、なんだかんだといっても、やっぱりピアノ関係者が一番お世話になるのは全音かもしれませんね。zen-on piano library以外では、たまに首をひねるのもありますが、質、量ともにやはり楽譜出版社のトップでしょう。

曲名 難易度 評価
3つの夜想的情景     
     1.星はまたたく  15  A
     2.夜の海  19  A
     3.曙  19  B
五月の夜  14  A
とんぼ  20  B
ロマンス  15  B
黄昏の幻想  11  A
粉雪  16  A
さあ行こう  22  B
24のプレリュードから    
      9.子守歌  13  B
     12.海  21  B
     14.ペザント  15  B
     19.鳥の歌   17  B
     23.ヴェネツィア  16  B
     24.戦い  17  B
フィンランドの歌と踊り    
      1.流れのほとりで  16  B
      2.歌あそび  19  B
      3.ある夏の夜に  13  B
      4.森の木々はささやく  17  B
二つのコントラスト    
      1.別れ  15  B
      2.アルルカン  17  B

○星はまたたく 題名の如く星の瞬きを感じさせるパッセージが右手に流れ、「あ、いいな」と思う。左のメロディーが美しいともっと良いんだけど。

 3曲まとめて弾くべきかどうかちょっと分からないが、3曲ともある意味で収まりが悪いというか、美しい断片、というような感はある。教材としては使いにくいかもしれない。

○とんぼ 右ページ4小節2拍目左手、FとなっているがおそらくFisの誤り。

○ロマンス 比較的分かりやすい。

○黄昏の幻想 これも分かりやすい、単純な書法でまとめられている。手が大きければ楽。

○粉雪 音による一片の絵。左ペダルを半分踏むと、粉雪にふさわしい音が出るかもしれない(ピアノによって出来ない場合もある)。

○海 解説にはフィンランドのアマチュアが挑戦する曲とあるが、どうということはない。チェルニー50番が弾ければ問題ない。(「さあ行こう」の方が音型的にやや弾きづらい)

○ヴェネツィア なぜこの題名なのか分からない。ヴェネツィアってこんな陰鬱な街でしたっけ。

○ある夏の夜に この本の中で最も分かりやすい。

総合評価    B

 北欧のマイナーな作曲家を、これで3人検討したわけだが(カスキ、メリカント、パルムグレン)、このパルムグレンが最もアカデミックな作曲家らしいという感じがする。メリカントは多分に素人っぽく、カスキは相当保守的で近代の香りはほとんどない。パルムグレンは年代にふさわしく印象派、もしくは表現派的色彩を見せている(トンプソンの4巻か5巻にパルムグレンを表現派と位置づけている)美術では印象派と表現派ではまるで違うのだが、音楽では似た位置なのかもしれない。

 逆に近代の香りがある分、やや取っつきにくいという感も否めない。慣れてしまうとその響きに魅力が感じられるのかもしれないが、ドビュッシーほどポピュラーではないので、慣れるほど耳にすることはあまりないだろう。

 私も弾いてみて、もっと真剣に弾きこなせば評価が上がる可能性もあるかなと思った曲が2,3あった。(会員の皆さんの評価が高ければ再度検討し直すことはあります)

 先生は持っていて損はない。

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