あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 連弾・二台ピアノ 

 

ピアノ・デュオ・コレクション 日本の作曲家によるオリジナル作品集 Ⅱ 全音楽譜出版社

服部公一の「にほんごのバッハ」、平吉毅州の「カーニバルがやってきた」、間宮芳生の「地球のともだち」 の3つの曲集から抜粋したもの。元の曲集はいずれもすでに絶版である。

曲名 作曲者 難易度p 難易度s 推薦
ようこそバッハ先生 服部公一  6  6  
おまつりバッハ 同上 11 12
バッハひとやすみ 同上  6  5  
さみしがりやのバッハ 同上  8  8  
きむずかしいバッハ 同上 12 14  
いたずら仔猫が二匹もいたのさ 平吉毅州  6 11
月明かりに踊っているのはだれ 同上  4 10
4月の風は花の匂いをはこんでくる 同上  3 11  
遠い日の舟歌 同上  4 12
カーニバルがやってきた 同上  5 11  
おつきさまいくつ 間宮芳生 10(7)  8
おやゆびピアノ 同上  5  6  
やまのこもりうた 同上  9  9
ダニの歌 同上 11 10  
民謡 同上  8  7  
ムカデのうた 同上 10 11

○ようこそバッハ先生 曲集全体の「にほんごのバッハ」という意味は日本風な音階を使用しているという意味であろう。 これも微妙に日本風の味わいがある。

○おまつりバッハ 二人で一つの流れを受け持つことが多々ある、相手をよく聞くこと。中級初めで弾けないことはないが、 相当うまい二人で4分音符=120くらいであわせると、結構派手になって映える。

○バッハひとやすみ これはバッハにも日本音楽にも関係ない。だから「ひとやすみ」なんでしょう。

○さみしがりやのバッハ やや感傷的なメロディーが綴られている。純然たるニ短調。

○きむずかしいバッハ primo35小節1拍目右手のDesはDのミスプリか? 減7の和音を使ってちょっぴりバッハらしく 始まり、中間部は全音音階も顔を見せ、現代風。

○いたずら仔猫が二匹もいたのさ secondにすべてがかかっているといっても過言ではない。

○月明かりに踊っているのはだれ この難易度でこんな素敵な曲が弾けるなんて、連弾はいいねえ。

○4月の風は花の匂いをはこんでくる primoはほとんどユニゾンで、ポジションの移動も無い。second47~8 の内声のF、Fisは右でとる。

○遠い日の舟歌 とても懐かしく、哀愁を込めて何かやるせないような気分で。secondは表現の豊かな人で。

○カーニバルがやってきた 現代流に言えばテーマパークに行ったときのような気分。リズムにのって楽しく。準推薦。

○おつきさまいくつ primoの最初は左右に分けていいだろう。primoの51小節からの音型は小さい手では非常に困難だが 右手の下の音を省いてしまう手もある。というか、教材としてはそうしないと使いづらいだろう。

○おやゆびピアノ primoはほとんど同じことの繰り返しだが、中間部で8分の6と4分の3の混交がある。アフリカのウガンダの 歌で遊び感覚の曲だが、少なくとも7度に全く抵抗のない手の大きさがないと遊べない。

○やまのこもりうた primo20小節のユニゾンが崩れているのはミスプリかどうか判然としない(primoだけ見れば ミスプリのようだが、secondoを見るとGesもあり得る)が、ミスプリとすれば右手のGesがAsの間違い。()内の音は つけられるものならつけてください、程度の意味かと思われる。

○ダニの歌 指定の速さは相当速く、譜面面より難しい。primo5小節目右手の和音にスタカートがないがおちた可能性あり。 いうまでもないが速さによって相当難易度は変わる。

○民謡 アメリカインデアンの歌。曲はきれいだが、教材としてはオクターブ楽に届かないと使用しづらい(オクターブは無いが 黒鍵を含む長7度がある)ということを考慮すると準推薦かな。

○ムカデのうた primoとsecondがよく調和している。連弾の醍醐味が味わえる。

総合評価   A-

服部公一、平吉毅州、間宮芳生三人のそれぞれの持ち味がよく出ている。元の曲集が現在入手困難なだけに、この曲集は ありがたいだろう。

最も使い勝手がいいのは、平吉さんのものでしょう。primoが生徒、secondは先生(上級者)と役割がはっきりしていて、 primoだけで弾いてもそこそこで、secondが入ると格段に世界が広がる。そして曲もロマンチックで美しい。

あとのお二人は、primoとsecondにほとんど難易度の差が無い。間宮さんは昔から現代風日本音楽とでも言うべき作品を 創ってこられたが、世界のフォークロアに手を拡げられているようだ。好きな人は好きだろうし、こういうのは嫌いだという人も いるだろう。「ムカデのうた」だけはほとんどの人に受け入れられると思う。ただこの作品集は、小さな子供用の教材ということには 二の次くらいの関心しか払われていないという感もある。

服部さんのバッハ風小曲はバッハ風とあるだけにほぼ必然的に対位法が姿を見せ、そして微妙に中途半端というか バッハ風にも徹し切れてないし、独特の世界を築いているとも言い難いような気がする。

先生は当然持っているべき本。

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