あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

バスティン おとなのピアノ教本 1   東音企画

バインダーかなにかのような面白い製本。大人用ということで「レッスン・セオリー・テクニック・初見」が一冊にまとまっている。

第一章 ピアノへのお誘い

○最初に「姿勢と座り方」「指番号」「音」「手の形」「手を軽く握ったテクニック」「指先のテクニック」「テニスボールを持ったイメージ」 の説明がある。 間違いなく大人向きの説明だが、中学生以上ならOKだろう。

○次に「鍵盤図」と「音の名前」の説明。アメリカの教本なのでシがBになっている。大人の場合は音大進学など考える必要はないので 、そのままでもいいかな。

○4分音符と2分音符の説明。練習課題。

○ハ長調の5指の位置の説明。

○「よろこびの歌」「月の光」「良きウェンセラス王」「ジャック君」の課題がある。いずれも難易度1、評価A。

○Cの和音の説明がある。「しずかな波」難易度1、評価C。

第二章 記譜法
曲名 作曲者 難易度 評価
ハ長調のプレリュード    1  C
どんどん進んで    1  B
ジングルベル ピーポント  1  A
音程のエチュード    1  C
駅に降りて 民謡  1  B
マーチ    1  C
夜に 子守歌  1  A
音程の練習    1  C
結婚行進曲 ワーグナー  1  A
星を見つめて    1  B
オーラリ― プールトン  1  A
大通りの行進    1  C
チャイム ウェストミンスター寺院の鐘  2  A

第二章から5線が登場します。1章で出てきたハ長調のポジションの音。右は中央のCから。

○ハ長調のプレリュード 大譜表ですが、実質片手。

○どんどん進んで 休符の練習。

○ジングルベル 後半のメロディーだけ。休符の練習かな。

音部記号と、これまでのまとめ的なおさらいがある。続いて音程の説明。

○音程のエチュード 重音の練習にもなっている。

○駅に降りて 強弱記号の説明がある。p、mp、mf、fの4つ。

○マーチ 和音の練習にもなる。

○夜に タイの説明と練習。

音程のおさらいがある。

○音程の練習 タイも使って、曲らしくはしてある。

○結婚行進曲 最初の1節を右左と弾かせている。

○星を見つめて メロディーを左右に分散させている。

○オーラリ― スラーが出てくる。

○大通りの行進 これまでのまとめ的。

音程のおさらいがある。

○チャイム 「チャレンジピース」という扱い。確かに初めての両手奏があってチャレンジかな。

最後にこの章で出てきたことのおさらいがある。
第3章 メロディの和声づけ
和音のプレリュード    1  D
まわるまわる    2  B
遠い鐘    2  C
和音のエチュード    2  D
おやすみ クリスティ  2  A
散歩    2  C
ローローローユアボート 民謡  2  B
しあわせな夢    2  C
ささやかな贈り物 Shaker melody  2  A
和音のエチュード    2  D
クンバヤ 黒人霊歌  2  A
ファンファーレ    2  C
彼はいいやつ イギリス民謡  2  A
聖者が街にやってくる アメリカ民謡  2  A
ペルシャの市場    2  B

○和音のプレリュード Cの和音の説明があります。和音そのものは前に出てきていますが。大人向きということでペダル使用の指定。

○まわるまわる この章から両手奏になりますが、まだ実質的には片手に近いものが多い。これは左にメロディ。

○遠い鐘 これは右にメロディ。あまり鐘っぽくはない。

○和音のエチュード G7の和音の説明があります。大人向きということで両手奏とほぼ同時に6度まで踏み込んでますね。

○おやすみ 後半に「メリさんの羊」のメロディが来る。「メリさんの羊」って、ひょっとしたらこれが原曲なの?

○散歩 CG7Cの進行の練習かな。

○ローローローユアボート 編曲はいまいち。

○しあわせな夢 両手で一つのコードの音を構成しているということの例。

○ささやかな贈り物 Shaker melodyってどういう意味なんでしょね。「民謡」というと微妙に違うか、作者不明で広まっている歌、 でしょうかねえ。それとも酔っ払いの歌?

○和音のエチュード CFCの進行の練習。曲とは言えないかも

○クンバヤ 結構あちこちで聞かれるメロディーです。

○ファンファーレ ハ長調のカデンツの練習かな。

○彼はいいやつ 「クマさんがやまこえて」なんて題名が付くときもある。

○聖者が町にやってくる この難易度ではベストの編曲か。

○ペルシャの市場 まあ、それっぽくはあります。フラットが出てくる。

ここでこの章のおさらいがある。
第4章 まん中Cポジションの読譜
まん中Cのプレリュード    1  D
ヤンキードゥードル アメリカの歌  1  A
谷におりれば ケンタッキーの歌  2  A
カンカン オッフェンバッハ  1  A
幻想即興曲 ショパン  2  A
誕生日    1  A
ト長調のメヌエット バッハ  2  A
朝の散歩    2  C
真夜中の足音    1  A
びっくり交響曲 ハイドン  2  A
跳んですべって    2  C
左手のワルツ    2  B

○まん中Cのプレリュード 中央のCを中心に左右対称に手を置いたポジション。左を順番に弾かしているので、曲としてはいまいちのものになる。

○ヤンキードゥードル これは定番。

○谷におりれば 両手奏。左右対称に動かしている。

ここで音程のおさらいがある。

○カンカン ト長調、臨時記号で処理している。つまりシャープの初登場。

○幻想即興曲 こういう編曲もできるんだねえ、という感じ。

ここでシャープのおさらいあり。

○誕生日 8分音符が出てくる。

○ト長調のメヌエット 作者は実はバッハではないというのはもうさんざん既出。5指で黒鍵を弾くので少し弾きにくい。

ここでさまざまなおさらいあり。

○朝の散歩 オクターブ記号が出てくる。最初は難しいかも。

○真夜中の足音 スタカートが出てくる。耳になじんだメロディーをもとに作ってある。

○びっくり交響曲 これまでの総合練習になる。

○跳んですべって 長調の響きと短調の響き。

○左手のワルツ 左にメロディー、右は和音の伴奏。

最後に各種おさらいあり。
第5章 ト長調
ト長調のエチュード    1  C
ストレッチ    1  C
起床ラッパ Traditional  1  A
エオリアンハープ    2  C
ヴィオラのワルツ    2  C
だれかさんが好き 民謡  2  B
ミュゼット バッハ  2  A
塔の鐘    2  C
野球の試合に ティルツァー  2  B
和音のエチュード    2  D
おやすみ赤ちゃん 子守歌  2  B
かるくこげよ 民謡  2  A
星空    3  C
和音のエチュード    2  D
夕暮れ    3  C
ラベンダーブルー イギリス民謡  3  B
おおスザンナ フォスター  3  A
前進    3  B
朝の虹    3  B
和声的5度と6度    2  D
レガートとスタッカート    2  B
ヴィヴァルディ  3  A

○ト長調のエチュード ポジションは左手が中央のCを含むG~D、みぎが1オクターブ上。

○ストレッチ 拍子記号の説明がある(これまでにも出てきてはいる)。

○起床ラッパ この章はここまで階名が書いてある。

○エオリアンハープ Gの和音が出てくる。

○ヴィオラのワルツ 出だしの速さに気を付ける。

○だれかさんが好き これ民謡なんですねえ。

ここで音程のおさらいあり。

○ミュゼット 右がレガート、左がスタカートの予備練習がある。これはいいかも。

○塔の鐘 これも左右が異なることをする練習。

○野球の試合に ポジションの移動がある。

○和音のエチュード D7の和音が出てくる。曲とは言えないかも。

○おやすみ赤ちゃん 1オクターブ下のG音が出てくる。

○かるくこげよ 「ちょうちょう」ですな。

○星空 12のクロスが出てくる。

○和音のエチュード GCEの和音が出てくる。

○夕暮れ 各種和音の練習かな。

○ラベンダーブルー 6度が出てくる。

○おおスザンナ 前半左、後半右がメロディ。この本は何気に左メロディが多い、長所かな。

ここで和音と音程のおさらいあり。

○前進 転調あり。

○朝の虹 変な曲と感じるか、面白いと感じるか。

○和声的5度と6度 曲というよりは、練習課題。

○レガートとスタッカート レガートというよりは、2音のスラーの練習。

○春 この難易度でもこういう編曲が可能と。

最後にこの章のおさらいあり。
第6章 新しいリズム
王様の宮殿    3  B
パリの街にて    3  B
ロンドン橋 イギリス民謡  2  A
ホールを飾ろう アイルランドの古い歌  2  A
美しきアメリカ ワード  2  A
天使のうた フランスのキャロル  3  A
ソナタのテーマ モーツアルト  4  A
ヒバリ フランス系カナダ民謡  3  A
アメリカ 国歌  4  A
朝の気分    3  B
ダイナミックを求めて    4  B
ケーソンソング グルーバー  4  A

○王様の宮殿 8分音符と8分休符が出てくる。

○パリの街にて ガーシュインの「パリのアメリカ人」でも念頭にあったのでしょうか。まるで違いますけどね。

○ロンドン橋 付点4分音符の課題。メロディーだけ。

○ホールを飾ろう 日本では「ひいらぎ飾ろう」と訳されてると思う。これもメロディーだけ。

○美しきアメリカ これもメロディーだけ、以上3曲で付点の練習。アメリカ人になじみのメロディーということだろう。 日本人なら「ぞうさん」大人なら「きよしこの夜」あたりが適切と思う。

○天使のうた この難易度ならこんなものか。

○ソナタのテーマ K.331のテーマ。

○ヒバリ ダルセーニョが出てくる。French-Canadianをどう訳するかは迷いましたが。ということは、この曲はケベック州の人たちの曲?

○アメリカ この難易度ではあまりかっこよくはならないなあ。

○朝の気分 グリーグかと思ってしまった。全然関係ないです。

○ダイナミックを求めて ffとppが出てくる。

ここでハノン的な4つの短い練習曲がある。

○ケーソンソング 割とよく聞く曲。

最後にこの章のおさらいあり。
第7章 ヘ長調
曲名 作曲者 難易度 評価
ヘ長調のエチュード    1  C
音程のダンス    1  B
海の歌    2  B
プレリュード    2  C
ジングルベル ピーポント  3  A
和音でとんで    3  C
12小節のブルース    3  B
トワイライトブルース    3  B
川ボートのブギ    4  A
美しく青きドナウ シュトラウス  4  A
クラシックダンス    3  B
ブルースにのって    3  B
ゆれる波    3  C
ブルームード    5  B

○ヘ長調のエチュード ヘ長調のポジションは必ず黒鍵を弾かなければならないということに注意。

○音程のダンス 一応曲らしくなってる。

○海の歌 アウフタクト。フレーズに注意。

ヘ長調の和音の説明あり。

○プレリュード 曲の形をとったというだけの練習。

ヘ長調のカデンツの「予備練習」がある。

○ジングルベル こんなものかな。

ここでヘ長調、ト長調のおさらいあり。

○和音でとんで 予備練習もある。

○12小節のブルース 3つのコードが出てきたところで、ブルースがくるというのはアメリカ系教本のお約束かねえ(笑。

○トワイライトブルース 最後に微妙な違和感あり。

ここで半音と全音の説明あり。

○川ボートのブギ 大人といっても、たぶん日本では若い人向きだろうねえ。

○美しく青きドナウ 子どもだと一段難しくなるだろう。

○クラシックダンス スタカートとレガートの違いを明確に。

○ブルースにのって ブルースの定型。これも最後が微妙。

長三和音と短三和音の説明あり。

○ゆれる波 ハノン的練習曲を曲にしたもの。

○ブルームード ポジションが頻繁に移動する。

この章全体のおさらいあり。
第8章 音階・和音と転回形
音程のマーチ    2  C
ブルースを歌おう    3  B
ロッキーにのぼって    4  C
ハレルヤコーラス ヘンデル  4  A
秋祭り    3  C
カントリーガーデン イギリスのフォークソング  4  A
間奏曲    5  B
バグダッドにて    4  B
イ短調のプレリュード    4  B
グリーンスリーブス イギリス民謡  4  A
スカボローフェア ブリティッシュ民謡  4  A
ダッタン人の踊り ボロディン  4  A
鐘のうた ウクライナのキャロル  4  A
エンタテイナー ジョプリン  5  A
アメージンググレイス アメリカ民謡  5  B
エリーゼのために ベートーベン  6  A

○音程のマーチ 7度までの練習。

○ブルースを歌おう 8度までの練習。

長音階の説明がある。

○ロッキーにのぼって 長音階の練習曲。

○ハレルヤコーラス 2/2拍子が出てくる。

ここで三和音と7の和音の転回形の説明あり。

○秋祭り 属7を使ったカデンツの練習曲。

ここで予備練習があるが、「もろびとこぞりて」である。

○カントリーガーデン 和音の練習になっている。この曲の編曲としてはトンプソンの方がいい。

○間奏曲 しみじみと、かな。

ここで平行短調の音階の説明あり。

○バグダッドにて 3段目後半あたりが、ほんものの中近東音楽とはたぶん異なるところ。

○イ短調のプレリュード 後半面白いかな。

○グリーンスリーブス 妙に弾きにくい編曲ではある。

○スカボローフェア メロディがこちらで流布されているものと微妙に異なる。

○ダッタン人の踊り これはいい編曲。

○鐘のうた 大人じゃないと右ページ1段目の左が届かないだろう。

○エンタテイナー 4分音符で書いてあるということは、ゆっくり目のテンポを想定していると思われる。早く弾くと一段難易度は上がる。

○アメージンググレイス ペダル必須。もう少しうまい編曲が可能だと思う。

ここでハノンの2番が「指を広げる練習」としてある。

○エリーゼのために 主題部分だけ。

最後にこの章のおさらいがあり、音楽辞典がある。

総合評価     A

まず特筆すべきは、製本の仕様。ファイルのように、紙の左側にたくさんの穴をあけそれを閉じているという仕様になっています。 非常に使いやすい。子ども向きの本でどうしてこうしないのかと考えましたが、子どもだと引っ張ったりしてページそのものを取ってしまったりする危険があるということでしょうかねえ。

理論からドリルから全部含まれていて160ページ、分厚いです。最後が難易度4くらいで、バイエル修了よりはまだ易しいところ。量としてはちょうどいい感じかなと思います。

中身の方も、アメリカ人の大人がよく知っていそうなメロディ、あるいは向こうの人にはおなじみのブルースなどを適宜配し、楽しみながら進んでいくという路線をとっています。日本人でも十分楽しめます。

進め方は、コードを中心に考えられているために、伴奏型が和音そのままという形がかなり多い。そのことが気になる先生以外にはお勧めです。

大人向きとありますが、子どもでも使えます。特に手が大きい子どもならば小学校3,4年生で大丈夫でしょう。さすがに幼稚園児は曲はともかく説明が理解できないかも。

値段は高い。まあ、この分厚さならこんなものかと納得はできます。

大人の初心者が入ってきたら、試しに使ってみたらどうかな。どちらかといえば男性の方が喜ぶかもしれません、私の直感的には。

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