あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

橋本晃一 おとなのためのピアノ教本 1    ドレミ楽譜出版社

最近複数の方からリクエストがあった「大人のためのピアノ教本」である。橋本さんには「やさしいポピュラー・ ピアノ・レッスン」というシリーズもあり、当会でも3巻まですでに検討していますが、この本はそのシリーズとは異なり、 理論的説明を大幅にくわえ「教則本」という色彩を前面に打ち出しています。

番号 曲名 作曲者 難易度 評価
 1 月の光に フランス民謡  1  B
 2 鐘が鳴る フランス民謡  1  B
 3 ジングルベル ピーポント  1  A
 4 さよなら ドイツ民謡  2  B
 5 喜びの歌 ベートーベン  2  B
 6 かえるの合唱 ドイツ民謡  2  A
 7 河は呼んでいる ベール  2  A
 8 聖者の行進 アメリカ民謡  3  A
 9 思い出 ベイリー  3  A
10 ロンドン橋 イギリス民謡  3  A
11 ローレライ 1 ジルヒャー  3  A
12 漕げよマイケル 1 アメリカ民謡  3  A
13 ローレライ 2 ジルヒャー  3  A
14 漕げよマイケル 2 アメリカ民謡  3  A
15 おんまはみんな アメリカ民謡  3  B
16 はじめてのブルース 橋本晃一  3  B
17 キラキラ星 フランス民謡  2  A
18 ユーアーマイサンシャイン デイヴィス&ミッチェル  3  A
19 かっこう ドイツ民謡  2  A
20 かわいいあの子 インドネシア民謡  4  A

最初に「鍵盤」「楽譜の読み方」についての説明がある。

次に右手の練習として1点ハ~ホ、左手の練習としてホ~ト音が出てくる。使用する指は1~3。左手の最初の音としては珍しい。

続いて「両手の練習1」であるが、両手といっても左右同時に弾くわけではない。

1.「月の光に」の最初の1節を右で、次に3度上のメロディを左で弾かせている。

「両手の練習2」があり、左右とも音域がC~Gになる。

2.「アーユースリーピン」の最初の1節を右で、次はそれに合うような左を付けて終わっている。

「両手の練習3」 ここで始めて両手の同時奏がある、ユニゾン。

3.両手のユニゾンが出てくる。この曲で初めて一曲を完全に弾いたという達成感を味わえる。

「両手の練習4」 3拍子が登場。左右の異なる演奏となる。難易度2。

4.少しやさしくしてある。左は初めGのみ、ここらへんはバイエルの影響であろう。

「両手の練習5」 スラーの練習。

5.左がCとGのみの編曲。この段階で入れるのなら仕方がないか、という感じ。

6.Cのコードの説明があり、この曲の伴奏はすべてドミソとなっている。

7a.Gのコードの説明があり、第一転回のシレソが出てくる。

7b.アルペジオの説明があり、左手の伴奏形を分散和音にしている。

8.Fのコードの説明があり、第二転回のドファラが出てくる。

9a.8分音符の説明があり、速度記号の説明がある。

9b.伴奏形をアルベルティ・バスにしている。強弱記号の説明がある。

付点4分音符の説明と練習曲がある。

10.指の縮小がある。

11.右手の音域がオクターブに広がっている。伴奏の一部を自分で考えるようになっている。

12.これで代表的な伴奏形が大体出てきた。

13,14. 11,12の伴奏形を変え属7の和音をくわえたもの。

全音と半音、臨時記号についての説明がある。

15.この段階ではやむをえないが、リズムを変えている。

16.半音の練習に自作の曲を一つ含めている。他の曲とまったく雰囲気が異なるのでやや場違いな感はある。

ト長調の説明と音階と練習がある。

17.ユニゾン。ト長調ではあるがFisは出てこないので、ここに置く意味はよく分からない。

18.ト長調のコードの説明があり、45の拡張がある。bは伴奏形を変えたもの。

ヘ長調の説明と音階と練習がある。

19.ヘ長調の練習、ユニゾンでやさしい。

ヘ長調の和音の説明がある。

20.伴奏形を変えてaとbがある。bの方は自分で伴奏を考える。

総合評価   A

収録曲のほとんどがAなんだから、総合評価もまあ、当然Aになるんですがね。

微妙な言い回しになっているのは、つまりまあ、ある程度は当たり前やな、という気持ちがぬぐえないから。

大人向き、ということで曲数が少なくてすむ。つまり曲らしい曲の極めて少ない難易度1、2クラスの曲がほとんど不要であると判断している(その判断は正しいと思いますが)ことで、評価Aの曲ばかりで固めることが出来たということでしょう。

そしてオリジナルは一曲だけ、後はおなじみのメロディーの編曲ばかり。そして大人向きということで、対位法的扱いは初めから無視ということになれば、当然これくらいのできばえになるでしょう。

ただ、世の中には、当たり前のことが出来ない人の方が多いわけで、当たり前の水準にきちんと仕上げているということは、やはり評価すべきものなんでしょう。

どちらかといえばポピュラーを学びたい人向けで、コードの習得を重要項目にしている。

上記からもお分かりのように、中学生以上くらい、専門家になることは考えていないものが対象になる。

子供に使えないこともないが、その場合は併用曲集というか、別の教本と併せること、もしくはこちらを併用曲集として使用すること。

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