あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

バスティン ピアノ ベイシックス ピアノ レベル1   東音企画

バスティンの1巻です(実質的には第二巻)。導入書は可もなく不可もなく程度の評価でしたが、これはどうでしょう。

曲名 難易度 推薦
行進しよう  1  
ほえるライオン  1  
おねぼうジョン  1  
トムキャット  1  
あたらしいロンドン橋  1  
 1  
サンタのそり  1
いたずらねずみ  2  
うしがえる  2  
おさるといたち  2
ペルシャの市場  2  
ぞうさんのワルツ  2  
あたらしい調  1  
ようきなアザラシ  1
いざ海へ  2
ゆうだち  2  
とりがなく  2  
おやまあ  1  
朝の集合ラッパ  2  
おばけ  2
山のぼり  1  
オランダのおどり  2  
だいすきなサッカー  2  
リズムにのって  2  
浮き雲  2  
おまつり  2  
ペダルの練習  2  
朝のプレリュード  2  
ふくろうおじさん  2  
いい日  2  
和音でとんで  2  
ロックのうた  3
マーチ  3  
アメリカ  2  
あら野のはてに  2
ラルゴ  3
アロエッテ  3  
おまわりさんとどろぼう  3  
ナチュラル  2  
ナチュラルあそび  2  
おまつり  3  
聖者がまちにやってくる  3  
喜びのうた  2  
ロックグループ  3  
宇宙遊泳  3  

最初に「おさらい」として、プリマーに出てきたことの復習がある。

○行進しよう Cメージャーポジションとして3曲。2度のみ

○ほえるライオン 3度、5度の復習。

○おねぼうジョン アーユースリーピングのメロディーを5度ポジションですむように修正してある。4度が出る。

○トムキャット シャープの復習が二曲。

○新しいロンドン橋 ロンドン橋のもじり。

○冬 フラットの復習が二曲。ハ短調。

○サンタのそり 「山の魔王の宮殿にて」の最初の形を使っている。

ここでハ長調の伴奏として、Ⅰの和音とⅤ7の和音が紹介されている(Ⅴ7の方はFGだけの簡略形)。

○いたずらねずみ 「さんびきのいたずらねずみ(ホットクロスパン)」のメロディーを5度ポジションですますように 変えてある。

○うしがえる スタカートが出てくる。

○おさるといたち 良く見かける曲。アメリカ民謡であろう。交差がある。

ここで速度記号が4つ紹介されている。Andante、Moderato、Allegretto、Allegroの4つである。

○ペルシャの市場 ヘ短調。黒鍵はDesのみ。

○ぞうさんのワルツ スタカートの和音の伴奏がある。

ここで調号の説明とヘ長調のポジションの説明がある。

○あたらしい調 「行進しよう」をわずかに変えてヘ長調に移調したもの。

○ようきなアザラシ 八分音符が出てくる。

ヘ長調の伴奏の説明と、形式というものについての最も簡単な説明がある。

○いざ海へ 「ちょうちょう」です。メロディーが一部日本で流布されているものと異なる。

○ゆうだち mfとmpが出てくる。スタカートの練習。

○とりがなく 「かっこう」だがこれは流布されているものと大分異なる。私はあまり好きになれない。

シャープの調号とト長調の説明がある。

○おやまあ ト長調導入のの曲。簡単。

○朝の集合ラッパ 準推薦くらいですかね。

○おばけ アクセントが出てくる。

1ページ使ってヘ音記号の読譜の問題があるが、もちろんこれだけで足りるはずもない。バスティンを使うのなら 読譜には注意をして補助手段を使うこと。

○山のぼり ト長調の左が1オクターブ上のポジション。

○オランダのおどり 上に同じ。3拍子。

ここでト長調の伴奏の和音の紹介がある。

○だいすきなサッカー メロディーが左にいくときもある。

○リズムにのって ブギ。いかにもアメリカ系教本。

○浮き雲 crescとdimとritが出てきた。

○おまつり ちょっぴり近代的なつもりだろうが、どうも単なる思い付きのような気がする。

○ペダルの練習 この段階からペダルを使わせるというのは、ちょっと驚く。

○朝のプレリュード 2段目は多分ふんわりと弾くのだろう。

○ふくろうおじさん アウフタクト。

○いい日 バスティンは同じメロディーを二回目に左によく回す。教材としての効果は+、音楽としては必ずしも そうではない。

○和音でとんで ポジションの移動あり。全く同じ形で移動するだけだから易しい。

○ロックのうた ジャズの基本的コード進行。

○マーチ これは普通のポジション移動。

○アメリカ 付点4分音符が出てくる。右手のみ。5度ポジションに無理やり押し込んでいて、指使いはあまり感心できない。

○あら野の果てに これも付点4分の練習。二曲ともアメリカ人なら絶対知っている曲ということで、付点のリズム を理解させているのだろうが、日本人にはそうはいかないからきちんと説明する必要あり。

○ラルゴ 「新世界より」の二楽章。D.CとFineが出てくる。それほどいい編曲でもないが。

○アロエッテ フランス民謡。親しみやすい曲だが5の連打があるのが教材としては少し気になる。

○おまわりさんとどろぼう ハ短調。

○ナチュラル これは指使いを書いてやった方がいい。

○ナチュラルあそび 確かに遊びですな。前半と後半の微妙な雰囲気の差がわかるかどうか。

○おまつり アメリカ人好みの動機。準推薦。

○聖者がまちにやってくる 微妙にメロディが違う。少し珍しい感じの編曲。私はあまり好きではない、準推薦くらい。

○喜びのうた 技法が制限されていて、いまいちの編曲になってしまっている。

○ロックグループ ポジションの移動あり。準推薦くらい。

○宇宙遊泳 バスティンのちょっぴり近代っぽいのは、どうもいまいちだと思う。中途半端なのである。

○総合評価    B

まあまあかな、というところ。やや期待はずれではある。

バスティン関係でこれまで見た中で最も評価できるのは「バスティン先生のお気に入り」と「クラシックメロディー」である。で、この本がそれらに比べて評価が低いのは、一つには主教材であるということで、技術的進歩の順を追っているだけに、作曲編曲上の技法の制限があり、これぞというできばえの曲が見られないということであろう。

もう一つマイナスとして感じられるのは、軽い、ということである。クラシックという高い山に登っていくんだよということを、なんとなく感じさせるようなものが皆無である。アメリカ系教本は基本的に軽いが、たとえばトンプソンなどははるかにクラシックの匂いがある。そんなものは不要とお考えの先生には良いだろう。

なお、教則本である以上、進度について考慮されているのは当然であり、その点についてはなんら問題はない。そして前記の技法上の制限ということも当然やむをえないのではないかという反論があるかもしれない。ただ、本当に優れた教則本は、技法上の制限などというものを感じさせないように曲を作成・配置しているはずなのである。そう考えるとやはり一級品とはいえないかなという気がする。

ペダルの導入が極めて早い。最近は補助ペダルに性能の優れたものが現れ、使用自体は問題なくなっているが、この段階において導入するというのは、私はやや抵抗がある。頭が古いのかもしれないが。

最近、バスティンを使っている先生が多いという話を聞くが、結局宣伝のうまさなのだろうかとちょっぴり思ってしまう。

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